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ロシヤの神話


ロシヤの神話

 題名に注意して下さい。『ロシ「ヤ」の神話』です。『ロシ「ア」の神話』ではありません。
 青土社から出ている『ロシアの神話』とは、別の本です。

 本書で言う『ロシヤ』とは、普通に言うロシアのことです。
 ですから、青土社の『ロシアの神話』とは、内容も同じようなものだ、と思われるでしょう。

 しかし、本書と、『ロシアの神話』とは、だいぶ内容が違います。

 本書では、ロシヤの神というより、妖怪や妖精と呼びたくなる存在が、主に扱われています。
 家の守り神ドモヴォイ、水の主ヴォヂャノイ、森の管理者レーシイなどです。

 古代の―キリスト教到来以前の―ロシヤの信仰については、あまり扱われていません。そちらは、『ロシアの神話』のほうが、詳しいです。
 本書では、いまだに現役で信じられている(らしい)妖精たちが、活躍しています。

 ロシヤの妖精や妖怪について知りたいなら、本書を無視することは、決してできません。
 おそらく、日本語で読める文献としては、質量ともに、最も充実したものです。

 内容が充実しているぶん、お値段は高いです。厚さも厚いです。圧倒されます。
 でも、法外な値段ではありません。内容を考えれば、このくらいになるだろうと思います。

 第一章のジャンル分類のところは、ちょっと退屈です。
 けれども、ぜひ、そこを我慢して、読み進んで下さい。
 第二章からは、縦横無尽に、ロシヤの妖精たちが躍動します(^^)

 以下に、本書の目次を書いておきますね。
 内容が膨大なので、だいぶ省略した目次になることを、御了承下さい。

凡例
はじめに


第一章 ロシヤ口承文芸のジャンル分類
 プロップのジャンル分類
 など

第二章 森の精霊レーシイ
 一、ロシヤの森
 二、レーシイの特徴と機能
 三、レーシイと関係の深い人間
 四、レーシイの人物像
 五、レーシイと暦
 六、口承文芸の枠内で
 七、口承文芸の枠外へ

第三章 水の精霊ヴォヂャノイ
 一、水崇拝
 二、ヴォヂャノイの特徴と機能
 三、ヴォヂャノイと人間との関係
 四、ヴォヂャノイの人物像
 五、口承文芸の枠内で
 六、口承文芸の枠外へ

第四章 命を紡ぐ露の精ルサールカ
 一、ルサールカの特徴と機能
 二、ルサールカと儀礼
 三、ルサールカ像の多面性
 四、口承文芸の枠内で
 五、口承文芸の枠外へ

第五章 ペチカを守る先祖霊ドモヴォイ
 一、農民小屋
 二、ドモヴォイの特徴と機能
 三、ドモヴォイの人物像
 四、ドモヴォイと暦
 五、ドモヴォイから分化した農家の精たち
 六、先祖ドモヴォイ
 七、ドモヴォイとは?
 八、口承文芸の枠内で
 九、口承文芸の枠外へ

第六章 この世を飛び交う小悪魔チョルト
 一、チョルトの特徴と機能
 二、チョルトと関係が深い人間
 三、チョルトの人物像
 四、チョルトと暦
 五、口承文芸の枠内で
 六、チョルトとは?
 七、口承文芸の枠外へ

第七章 農民の一年――冬至から冬至まで
 固定祭日
  十二月 冬至 太陽のでんぐり返し
  など
  一月 ヴァシーリイの日
  など
  二月 主の迎接祭
  など
 移動祭日
  マースレニッツァ
  大斎
  パスハ週
  フォマー週
 固定祭日
  三月 聖母受胎告知祭
  四月 ゾシマとサヴァーチイの日
  など
  五月 春ニコラ
 移動祭日
  昇天祭
  セミーク
  先祖の土曜日
  トロイツァ
  聖神祭
  全聖人週
 固定祭日
  六月 夏至
  など
  七月 イリヤーの日
  八月 第一スパス
  など
  九月 聖母生誕祭
  など
  十月 聖母庇護祭
  など
  十一月 クズィマとデミヤンの日
  など
  十二月 冬ニコラ
  など

結び
 ロードとロジャニッツィ
 など

あとがき
参考文献
図版出典一覧
初出一覧



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