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仏教の説話と美術 大文字版


仏教の説話と美術 大文字版

 題名どおり、仏教の説話と美術を解説した本です。
 類書には、ハードカバーで、お値段も高いものが多いです。そんななか、本書は、文庫本で、入手しやすいところがいいですね(^^)

 仏像や仏画を見る時、彫られたり、描かれたりしている場面が、どういう場面なのか、気になりませんか?
 気になる人には、この本をお勧めします。仏教のさまざまな言い伝えが、コンパクトにまとめられているからです。

 仏教にも、他の宗教と同じく、宗祖―お釈迦さまですね―や、その周辺の人々にまつわる話が、多く伝わっています。
 日本では、それらの話を教わる機会が、ほとんどありません。仏教が(比較的)盛んな国ですのに。
 仏教の説話を知らないままでいることは、日本文化の大事な一部分を、知らないままでいることになります。

 東南アジアや、シルクロードの文化が好きな方にも、この本はお勧めです。
 なぜなら、東南アジアの文化にも、シルクロードの文化にも、仏教の説話は、多大な影響を及ぼしているからです。

 例えば、カンボジアのアンコール・ワットです。有名な仏教寺院ですね。
 あそこの壁画は、仏教の説話を知らなければ、理解できないものばかりです。
 また、敦煌【とんこう】などの、シルクロードの壁画にも、仏教説話の場面が多いですね。

 以下に、この本の目次を書いておきます。

自序

第一部 仏教の説話
 まえがき
 第一章 本縁【ほんえん】説話
 第二章 譬喩【ひゆ】・本生【ほんじょう】・仏伝
 第三章 仏伝文学
 第四章 本生譬喩文学

第二部 仏教説話の美術的表現
 第一章 仏教と美術
 第二章 説話図遺品の分布
  (一)インド
  (二)南海
  (三)中央アジア
  (四)中国・日本
 第三章 仏教説話図描出の仕方
  (一)一構図内に数景を描く場合
  (二)順次に場景が移行する場合
  (三)一構図一景の場合
  (四)仏伝図の特殊な描法
 第四章 仏教説話図と典拠

第三部 美術にみる仏教説話
 1 猿の橋渡し
 2 孝子の蘇生
 3 六牙【ろくげ】白象の物語
 4 善事太子の冒険
 5 投身飼虎【とうしんしこ】
 6 命に代えて鳩【はと】を救う
 7 布施に徹した太子
 8 鹿と忘恩の男
 9 キンナラに教えられた国王
 10 三重苦を装う王子
 11 空を飛んだおしゃべり亀
 12 首を布施した月光王
 13 夜叉の青年と龍女との恋
 14 スダナ王子と美しい妖精
 15 海水を汲み干そうとする大施【だいせ】青年
 16 燃燈仏【ねんとうぶつ】の予言
 17 得眼林【とくげんりん】
 18 舎利弗【しゃりほつ】と外道の通力【つうりき】競べ
 19 維摩【ゆいま】と文殊の対論
 20 善財童子の求法【ぐほう】遍歴の旅
 21 幻の城の喩【たと】え
 22 蓮華化生【れんげけしょう】
 23 観音の救いはいつ、どこにでも
 24 地獄の責め苦

第四部 本生【ほんじょう】物語
 一 ルル鹿本生物語
 二 尸毘王【しびおう】本生物語

第五部 仏教美術の基本
 起源と伝播
 種別
 仏像
 仏画
 仏教図像学

解説



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