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花の顔―実を結ぶための知恵


花の顔―実を結ぶための知恵

 植物の花の、本来の機能は何だったのかを、思い起こさせてくれる本です(^^)

 植物の花は、ヒトが見て楽しむために、生まれたのではありません。植物の生殖のために生まれました。
 美しい花が多いのは、美しく目立つことによって、花粉を媒介する者たちを惹きつけるためです。
 たまたま、ヒトも「美しい」と感じる花が多かったために、ヒトの観賞用に、多様な花が生み出されました。

 花の本来の機能は、「自分ではない他の花に、花粉を届けること」です。
 現代の花は、多くが、昆虫や鳥などの動物に、花粉を媒介してもらいます。ですから、彼らをいかに惹きつけるかという点に、工夫を凝らしています。

 でも、凝った形の花を作るには、コストがかかります。植物の側から言えば、なるべく低コストで、花を作りたいはずです。
 いっぽう、花粉媒介者の側から言えば、花粉を運ぶことなんて、どうでもいいわけです。花粉や花の蜜など、栄養価の高いものを食べることこそが、目的です。
 このために、花粉媒介者の中には、「蜜だけ盗み飲みして、花粉を運ばない」などという、ずるい行為をするものも出ます。

 植物の側は、そんなずるい行為を許さないように、花の色や形などを工夫します。植物と、花粉媒介者との、知恵比べです。
 このせめぎ合いを、本書は、わかりやすく紹介しています(^^)

 どのページにも、美しく、精密なカラー写真が載っています。「よくぞ、こんな細かい部分まで撮ってくれた」と、感動します。
 植物などの生命の不思議を、考えさせてくれます。

 以下に、本書の目次を書いておきますね。

はじめに

第1章 白い花・緑の花
 オモダカ
 カラスビシャク
 ミズバショウ
 コバイケイソウ
 ヤマユリ
 アマドコロ
 ネギ
 ニラ
 ハマユウ
 イヌビワ
 など
第2章 黄色の花
 ツルアダン
 ゼンテイカ
 キショウブ
 フクジュソウ
 ヒイラギナンテン
 クサノオウ
 マンサク
 アブラナ
 ヘビイチゴ
 オヘビイチゴ
 など
第3章 赤・ピンクの花
 ショウジョウバカマ
 コオニユリ
 チューリップ
 カタクリ
 クマガイソウ
 ネジバナ
 ヒガンバナ
 ミゾソバ
 オシロイバナ
 ポーチュラカ
 など
第4章 青・紫の花
 ミミガタテンナンショウ
 ミズアオイ
 ツユクサ
 ホトトギス
 コバギボウシ
 アヤメ
 ノハナショウブ
 シラン
 タマノカンアオイ
 ヤマトリカブト
 など

花にくる昆虫や鳥
さくいん



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