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倒置すればペテンになる捏造は書かない。



「 倒 置 法 で 直 す と ペ テ ン に な る 」


 僕は、某レコード会社で約20年、ディレクターをしています。

 関西の田舎出身で、バンドをしていました。工業高校を出て、建築作業員をしながら、音楽活動を続け、夢破れ、お世辞にも一流とはいえない大学へ進学し直し、運良く、今の会社に拾ってもらいました。

 入社2年目で(バンドをやっていたという理由だけで)宣伝部から制作部に転属となり、半年間のアシスタント業務(修行)を経て、2004年にディレクターとしてぬるっと独り立ち、ヨチヨチ歩きのまま––––

 2005年〜2017年まで、ある1年を除いて、毎年、チャートのトップ10に入る作品をリリースすることができました。その中には、1位を獲得した作品もあるし、ミリオンセラーもあります。自分でスカウトした無名の新人をトップ10の常連まで持っていった経験もあります。そのアーティストは、日本やアジアだけでなく欧米でも大型フェスのメインステージに立つほど成長してくれました。「ある1年」に、チャートインする作品がないのは、彼らのマネージャーも兼務するようになり、リリース自体がなかったからです。

 師匠が自分でミュージックビデオも撮影するディレクターだった影響で、僕も映像のディレクションもするようになりました。ただし、予算が少ないときだけと決めています。予算が潤沢にある、つまり、人気アーティストのMVは、専業の映像作家さんにとって大きなチャンスでもあるので、兼業の(しかも、本職は音楽のディレクターである)僕が撮ることは、彼らにとっての機会損失でしかなく、なんだか職権濫用のように感じるからです。

 だから、バジェット数十万円という映像ばかりつくってきました。自分で監督と編集を行えば、その分、予算が浮くし……

 そうしている内に、映像をつくることも大好きになっていきました。いつしか、僕の映像を気に入ってくれた社外からオファーが届くようになりました。そのスタートが海外のハイ・ファッション関係だったこともあり、数年は(音楽以外では)ファッション系のビジュアル制作ばかりしていました。

 MVは、

・演技ではなく演奏の撮影
・セリフがないことがほとんど

 なのですが、ファッションの仕事を通じて、必然的に、セリフを含む演技に対するディレクションを学ぶことができました。

 そんなこんなで、2018年以降、クリエイターとしての仕事も増えていきました。同時に、社内でもクリエイションを統括するような(一般企業でいうところの)部長職になったこともあり……個人ではなくチームで、ファッション業界にとどまらず多種多様なクライアントの、映像制作やアートディレクションだけでなくプロモーション全体の企画立案から制作、その先にあるアウトプットの検討まで、広告のクリエイション全体に携わる機会が増えていきました。

 大手代理店と組むことも多くなり、いくつか賞をも頂いたり、バズったり、いわゆる「クリエイティヴ・ディレクター」と呼ばれるようになっていきます。バイネームの依頼も増え、自ずと多種多様な企業の経営層や(to G 関連の仕事も入るようになり)政治家や官僚の方々にプレゼンする機会も増え、結果、コンサルティングを頼まれるようになりました。

 その裏で、コンサートやイベントを演出する仕事も増えました。ライヴハウスからドームまで、あるいは、コロナ禍のオンライン公演やメタバースでの新たな試み––––文化庁や観光庁と組み、地域創生を目的とした演劇や物語、ARコンテンツをつくったりもしました。

 クライアントは、GAFAM(のいくつか)をはじめグローバルなテクノロジー企業、通信キャリア、出版社、スーパーゼネコン、上記の通り、国内外のファッションブランド、広告代理店、政府や地方自治体、そして、アーティスト本人––––扱う予算も、昔からの音楽つながりで十数万円のときもあれば、数億単位にまで及ぶこともあります。

 さて、そろそろ、この鼻に付く(ともすれば、胡散臭い)キャリアにまつわる話はやめて、本当の自己紹介をしたいと思います。

 まず、声を大にしてお伝えしたいのが、上記の実績のどれ1つとして「自分である必然性があったか?」––––問われると、答えは「否」というコトです。

 特に、ミリオンセラーを出すコトやトップ・アーティストを担当するコトは、ボクでなくとも、数字の結果は大きく変わらなかったと思います。ボクじゃない方がもっと売れた可能性だってあります……。

 クリエイターとしてのキャリア形成や賞の獲得も同様です。

 よく「ヒット(あるいはバズ)が生まれたとき、こんなことをした」と、成功談を語る人がいますが––––倒置法を当てはめると、ペテンだと証明できちゃうときも少なくありません。

「こんなことをしたから、ヒットした(バズった)」の方は、ほとんどの場合、成立しなからです。

 僕は、そんな再現性のない(自分だけにとって)過去の栄光を書くつもりはありません。このノートに書いていくのは––––

 ちっぽけな「ボク」なんていう個人の成功談(そもそも成功してないし)ではなく、音楽業界全体の歴史から「成功」だけでなく「失敗」も冷静に見つめ直し、普遍性を抽出した(メソッドを見出した)結果、炙り出された––––

「何を、歓迎し、
 何を、嫌悪すべきか?」
––––です。

 ––––音楽業界の中のボクが扱う「音源」という商材は、朝起きて、枕元のスマホを、数回、クリック/スライドするだけで、いとも容易く手に入ります。しかも、映像付きで無料……

 ––––新商品(新曲)が「10」あるとき……音楽業界の中のボクは、特に売れそうなオススメ(もっともヒットしそうな曲 = 勝負シングル)であればあるほど、決して、売ろうとはしません。YouTubeだけじゃなく、テレビやラジオ、はたまた、レコード店の試聴機まで、無料で聴けるように配りまくります––––

 そんなの、周りを見渡しても音楽業界だけです。

 そうなったのは、昨今、あたかもやっておかないとヤバイ的な雰囲気を醸し出している「DX」のせいでもあります(もちろん、それによって助けられた部分も多々ありますが……)。

 売ろうとしない「音楽業界の中のボク」は、一体、何をする仕事なのか?––––その真相を書いていきます(極論 –––– “だから” 音楽ディレクターだけじゃなく、映像作家やクリエイターになり、色々とコンサルし、今、これを書く必要が生じているとも言えます)。

 これは、どんな方に向けたノートなのか?––––

 自分では、以下の方向けと思っています。

① 音楽業界を目指している人
②「DX」あるいは「xR」の本質を知りたい人
(その中で、人工知能がもたらす未来にも触れます)
③ 結果、それは「音楽業界の中のボク」のため––––

 ––––2つの利他と、1つの利己。
   ビジネスマンとは、そういう人種です。

「音楽業界の中のボク」は、当然、聖人君子でも純粋な「善」でもないです。ただし、絶対的「惡」でもありません。「DX」と同じく、清濁併せ持つ良くも悪くもな存在です。

 そして、今のボクは、もう……
 毎年、トップ10を輩出するディレクターでもなければ、
 たくさんのオファーを頂戴するクリエイターでもありません。

 それでも、ボクを担当に選んでくれている(ボクのせいで、ボクのところに残るしかなかったのかも知れないけど)アーティストたちがいて、

 僕は、その夢を、どうしても叶えたいのです。

 彼らが夢見ているのは、ロックスターや人気者になることじゃありません。ましてや、いい暮らしをしたいなんてこともない。

 慎ましやかに、でも、どうしても、
 音楽で、生きていきたい––––

 ただ、それだけです。

 音楽業界の中のボクは、
 もう、十分、音楽に救われてきました。
 今度は、僕が、恩返しする番。

 この「ノート」を通じて、
 今はまだ知られていない新人の音楽を、
 せめて、知ってもらう。
(好きになってもらうのは、
 ボクがやれる仕事ではないので……)

 そのために、僕がお伝えできる
 あらゆるを、何十万文字に乗せて、
 何十人でも、何百人でも、何千何万でも、
 数人でも、一人でも、
 感覚を共有できる方と出会い、
 そんな、まだ見ぬ「あなた」にこそ、
 ボクが担当している「音楽」を、
 お届けできればと思っています。

 2024年、初夏。
 いつか(そんなに猶予はないけど)
 それが、できていますように。

今年も、また、夏が始まる


 「 だ か ら 、 遠 い 未 来 も 人 は ア ナ ロ グ に 旅 を す る 」 と い う マ ガ ジ ン


(人間に限って)世界の半分以上は「想像による創造」で出来ている––––

鳥は自由に国境を飛び越えていく
人がそう呼ばれる「幻」の「壁」を越えられないのは
物質的な高さではなく、精神的に没入する深さのせい

 レコード会社の音楽ディレクターとして働きながら、クリエティヴ・ディレクターとして、アート/広告/建築/人工知能/地域創生/ファッション/メタバースなど多種多様な業界と(運良く)仕事させてもらえたボクが、古くは『神話時代』から『ルネサンス』を経て『どこでもドアが普及した遠い未来』まで、史実とSF、考察と予測、観測と希望を交え、プロトタイピングしていきます。

 音楽業界を目指す人はもちろん、「DX」や「xR」の(良くも悪くもな)歴史(レファレンス)と未来(将来性)を知りたいあらゆる人向けです。

 本当のタイトルは––––

「本当の商品には付録を読み終わるまではできれば触れないで欲しくって、
 付録の最後のページを先に読んで音楽を聴くのもできればやめて欲しい。
 また、この商品に収録されている音楽は誰のどの曲なのか非公開だから、
 音楽に関することをインターネット上で世界中に晒すなんてことは……」

【 目 次 】

第1章 だから, 遠い未来も人はアナログに旅をする.
1−1「送る」について。だから、遠い未来も人は旅をする
1−2 すでに起こった未来
1−3「音楽」と「音源」にまつわる産業史
1−4「音楽が売れなくなった」という嘘と本当のところ
1−5 どこでもドアが発明された! 鉄道会社はなくなるだろうか?

第2章 悪くなれば, 悪くなるほど, 良くなる存在.
2−1「脆い」の正しい反意語
2−2 最高/最大/最新のテクノロジーは必ずしも体験の上質さと比例しない
2−3「音楽」と「文学」におけるデジタライズの違い
2−4 変化に対する反応速度は狙って出せる

第3章 ○○○○○ - 誰がそれを行うべきか?
3−1 新たな価値❶:回帰的だが新たな価値
3−2 新たな価値❶ を別視点から考察する
3−3 新たな価値❷:ENTER-TECHという最先端価値
3−4 新たな価値❷ を別視点から考察する
3−5 ○○○○○・マーケティング
3−6 音楽業界は、なぜ、変化が激しい(変化に脆い)のか?
3−7 音楽だから(だけが)不利なコトは、
           音楽だから(だけが)できるコト

第4章 古い記録が新たな記憶を創る魔法.
4−1 オープンソースの時代
4−2 古いモノを新しいコトにする魔法
4−3 コンテンツというのもマテリアルな用語なのかも知れない
4−4 新世界

第5章 未来は常に始まっている.
5−1 VUCAや突然変異を歓迎する性質
5−2 多重世界の在り処
5−3 夢は4種類
5−4 コンテンツを終息させるかもコンテクストの収束

第6章 昔から世界の約半分は想造で出来ていて,
    未来の世界の半分以上は想造で出来ていく.
6−1 昔から世界の約半分は想像で出来ている
6−2 アートと記録に関するパラダイムシフトの歴史
6−3 未来の世界の半分以上は想造で出来ていく
6−4 非物質化する社会が解く呪い

第7章 新たな法治を行うのは誰か?
7−1 何度でも巻き戻しが効く可逆的未来
7−2 進化と問題という双子
7−3 違法な行政と正しい無法者
7−4 新たな法治
7−5 2つの “超” 現実

第8章 いつかこの世界はこの世界ではなくなる.
8−1 永遠に完成しない未来のオブジェクト
8−2 ① 形と動きと声でつくるミカンの話
8−3 ② オーディエンスがいなくなった話
8−4 ③ 或る高校生と愉快なアバターたちの話
8−5 ④ 誰しもがサーファーになれる時代の話
8−6 ⑤ 空想上の地下にある反転都市での話
8−7 ⑥ 行動を定量化して循環させる社会の話(未完)
8−8 常新性の希望

 跋  好きこそ物の上手なれ.

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(以下は、音楽業界を目指す人以外は読まなくても……)

「 音 楽 業 界 を 目 指 す 方 へ 」


 ––––ここに書いていくのは、大学や専門学校、あるいは、イベントに、講師や登壇者としてお招きいただいた際、音楽業界を目指す学生さんや若い方々に(僭越ながら)お伝えしている『音楽業界で働くことの可能性』の話です––––

 ボクは、その冒頭、
 必ず、2つの質問をするようにしています。

 1つ目は「あなたは、音楽業界へ入って、何になりたいですか?」

–––– すると、こんな答えが返ってきます。

「ライヴ制作になりたい」
「マーチャンダイジング(グッズ制作)を担当したい」
「ファンクラブ志望です!」

 ディレクターになりたいという人は、ほぼ、いません。ここ十年、その傾向はより強まっています––––ボクは、それを残念とは思いません。やりたいと思う人しか向かない仕事だし、音源だけでなくライヴやグッズを制作する担当も、ファンクラブを運営する人たちも、本当に重要な役割を担っているからです。

 次に、似て非なる「あなたは、音楽業界へ入って、何をやりたいですか?」という質問をします。その回答は––––

「ライヴの演出を一緒に考えていきたい」
「新人を発掘したい」
「(アーティストに関する)面白い企画をつくりたい」

 おおよそこんな感じになります––––そこで、僕は、事実に基づいて以下の話をするしかなくなります。

「ライヴの演出を考えたり、(音楽アーティストの)新人を発掘したり、面白い企画を考えるのは、ほとんどの場合(※レコード会社では)ライヴ制作でもマーチャンダイジングやファンクラブを担う部署でもありません。それを行うのは、基本、ディレクターです。別名、「A&R(アーティスト・アンド・レパートリーの略)」–––– アーティストにまつわるあらゆるをコーディネイトする人たちです(※ プロダクション(事務所)のチーフマネージャーが担う場合もある)」

 あっと言う間に、絶望に近い失意が教室に蔓延していきます–––– 「音楽業界に入るのでさえ狭き門なのに、入ったあと、音楽的な仕事ができるわけではなく、“それ以外” の仕事が待っているのか」–––– そんな内心が聞こえてきそうです。

 ボクは、いつも、そこに、

「どうせ、自分なんて、ディレクターになれる訳がない」

 という前提があるように感じるのです。

 どんよりと重苦しい空気の中で、ボクは、以下の自己紹介を行います。

「僕は、地方の田舎出身です。最先端とは無縁だったし、いわゆるヤンキー高校出身で、お世辞にも一流とも二流とも言えない大学を出て、レコード会社に入りました。楽譜も読めないし、自分なりに夢中になってバンドをやっていたけど、大して上手くもない楽器演奏が、この仕事に、あるいは、入社試験で、競争力として機能することはなかったです。でも、運良く、新卒のディレクターとして働いています」

 彼らの目に、ほんの少し光が戻ります。
 ボクは、そのまま、一縷を紡ぎます。

「皆さんが、本当にやりたいことを正直に言ってください。少なくとも、それを言えるようになってください。たとえば–––– 『私は、アイドルが好きで、自分の理想とするアイドルをつくりたい!』とか–––– 『私は、ダンスに青春を捧げてきた。だから、ダンスグループを担当して、新たなカルチャーをつくりたい』–––– など。本当は、『何になりたいのか?』ではなく、『何をしたいのか?』を目標にすべきなんです。『社長になりたい!』という空っぽではなく、『ホニャララで人々を楽しませる会社をつくる!』と言える中身のある人になるべきなんです–––– それは、きっと、あなたの「できる」コトにつながっているはずです」

 そして、「音楽業界へ入って “何に” なりたいか?」という引っ掛け問題を打つけた非礼を詫びます。再度、うちの業界に限らず、仕事において「どんな “役職” になりたいか?」ではなく「どんな “役割” を果たしたいか?」の方が大切な旨を伝え––––

・ライヴの演出
・新人発掘
・面白い企画立案––––を、したい!

 という気持ちを実現する『スキル』を、
 自分なりに、精一杯、伝えていきます。

 その一部を、このノートに記していきます。

 もう一度、きちんとお断りをしておきたいのは、ライヴ制作/ファンクラブの運営/グッズ制作も、非常に大切な仕事で、彼らよりディレクターの方が重要であるとか、やりがいがあって楽しいとか、決してそういう話ではありません。実際、講義の最後まで変わらず、元からの夢を目指す生徒さんもたくさんいらっしゃいます。

 僕が伝えたいのは、業界分析や自己肯定の足りなさから––––

・やりたい仕事(wanna)
・やれる仕事(can)
・やらないといけない仕事(have to)

 ––––の間にズレが生じ、本来、ディレクターを目指すべき人が、「wanna」でも「can」でもない「ただ、やらないといけない仕事」に就き、本望を語ることすらせず、ズレたまま仕事を続けた結果、音楽業界に失望し辞めていく事態は、避けるべき!

 ということです。そこには、二重の悲劇がよこたわっています。

 ––––本当はディレクターになれる能力を持っているのに、自分で勝手にやれないと思い込んだ結果、業界から去る = 夢を諦めるような事態
 ––––その人のせいで枠を奪われ、本当は音楽業界に入れたかも知れない人が、今は、別の業界で夢を諦めているような事態

 いずれも、憧れが諦めに変わるのは、まだまだ先で良かったはずなのに……(事実、僕は、高卒で建築関係の仕事に就き、その後、どうしても夢を諦め切れず、大学に進学し、今に至ります)。

 やらないといけない(have to)仕事と、やるべき(must)仕事は、まったくの別モノです。雨が降っているから(外的要因で)傘をささないといけない思考と、日焼けをしたくないから(内的要因 = 自身の希望で)傘をささないといけない志向が、まったく異なるように。(特に、音楽業界など、エンタメを仕事にする際には)後者である自身の内側から沸き起こる情熱に従って『must work(あなたこそやるべき仕事)』を見つけるべきです。

 だから、必ず、以下を伝えるようにしています。

「音楽業界で、ディレクターになる資格は『音楽を好き!』以上です。だって、ボクたちは、音楽をつくるプロではなく(それは作曲家の仕事)、音楽の楽しみ方をつくるプロ–––– 音楽ファンの延長を目指すのだから、楽譜なんて読めなくていいし、楽器も演奏できなくていい、バンドの経験もイベントを主催した思い出も必要ない(あるに越したことはない/マストではないという意味)、音楽の楽しみ方だけを知っていればいい。三度の飯より音楽を好きなだけで、音楽業界に入る才能も、ディレクターになれる素質もあります。

 あなたの邪魔をしているのは––––

『どうせ』
『なんて』
『くせに』

 という、誤った『三大自己過小評価』です。

『どうせ』一流大卒じゃない自分『なんて』音楽業界に入れない。楽譜も読めない『くせに』ディレクターを目指すのは間違ってる––––だから、ライヴ制作、ファンクラブ、MDを目指す––––それこそ(何かの代わりではなく)その業務にこそ誇りを持って働いている方々に失礼です。

 まずは––––『やりたい!』『やれる!』『やらないといけない!』が、三位一体となった『やるべき仕事』を、目指すところから始めましょう。

 もし、それが––––

 私はライヴが好きだから、とにかく、ライヴ制作をしたい!
 ファンクラブに不満があって、私ならそこを変えられると思う!
 私は音楽も好きだけどファッションも好き。だからグッズをつくりたい!

 であれば、それは素晴らしいことです。
 ただし––––

 ライヴの演出を考えたい!
 新人を発掘したい!
 面白い企画がつくりたい!

 つまり、あなたは「自分の好きな音楽を、今度は自分の手で世に広めていきたい!」と願っているのであれば、『それをやるディレクター(A&R)』を目指すべきだと思うのです」––––

 最後に、僕が、もう一度、

「あなたは、音楽業界へ入って、何になりたいですか?」

 と、質問をすると、半分近くの生徒は、

「ホニャララをやるA&Rになりたい!」

 と、具体的な夢を語って、目を輝かせてくれます。

 僕は、デジタライズやインターネットなど様々な新しいテクノロジーが音楽業界にとって『恐ろしい脅威』だけでなく『心強い味方』になってくれたように、「DX」や「xR」の『使い方』が、音楽業界を目指す方々にとっての『新たな希望』になることを、心から願っています。

 一人の音楽ファンとしても。


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