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営業フレームワーク「BANT」は意味がない説

openpage代表取締役の藤島です。
カスタマーサクセス観点で考えたときに、営業のあり方を再考するというテーマで発信をしています。
openpageもセールステック製品として営業支援に用いられていることも増え、その経験を元にお話しします。
今回のテーマは、営業でよく使われるBANTフレームワークは意味がないのでは?という記事です。
その理由を解説します。

BANTのB(予算): 予算があるから売れるわけではない

すでに予算がついているとしたら、それはもう顧客が製品の必要性を認識して、製品選定が済んでおり、あとは製品を購入するだけという状態です。
しかし、よほど顕在化されている市場の製品じゃないと、そんな状態にはならないため、Bのバジェット確認は意味をなさない場合があります。

仮に予算が付いている状態だったら、そもそも必要性を社内に話して、予算化できているということですので、そこまで企画出来ているのであれば営業はいらないです。

予算が取れているなら顧客は買うだけなので、ネットでECみたいに買えればよく、営業が介在するのはむしろ双方のコストという考え方もできます。

営業の腕の見せ所は、予算がない状態からの提案ではないでしょうか。
そもそも顧客は自社を改善するためのあらゆる選択肢を、万能の神のように把握しているわけではありません。

うまくいきたいと思ってるが、どう進めればいいかわからない領域はたくさんあります。やり方がわからないのでそもそも予算がついていないのです。

そこに、自社の製品は御社の成長を支援する新しい選択肢で、予算化はされていないが予算をつけてでも取り組むべきROIがある、と営業が言えるかがキモです。

なお、openpageの製品には、ROIの説明を行ううえで、顧客の期待リターンを伺いながら、見積もりを出すということができる機能があります。

ROIさえ出れば、予算は後からでもつけられるのです。
よくある、うちは予算がないからという断り文句は、予算がないこと自体で断っているわけではありません。予算を割く意味や価値が見出せない=ROIが合うとは思えないからそう言われてるのです。

予算がついてるけど効果や価値が微妙な製品の営業と、予算はついてないけど明らかに高い効果や価値がでる製品の営業なら、後者のほうが売れる可能性が高いですし、営業をする価値があります。

仮に予算化されてしまっていれば、選択肢がすでにある状態なので、価格競争になったり、選ばれる確率が減ります。なので予算を確認すれば売れるという話ではないのです。

BANTのA(決裁権)決裁権がある人がキーマンとは限らない

決裁権は、かなり営業目線の悪い表現だと思います。
そもそも、会社をうまく活かせる、成長させる、改善させるというのは、すべてが決裁者が推進したものではありません。
役職者でなくとも、会社の大きな成長や改善に貢献する、というシーンはいくらでもあります。
一方、金額決裁を出せる人に仮に会ったとしても、業務の細かい状況は把握しておらず、仮に売れたとしても契約後の運用で失敗して解約になるシーンだってあるのです。

決裁権があるかどうかより、会社を変えたい、成長させたい、良くしたいという気持ちがどれだけ強い相手なのかのほうが重要です。
新しい取り組みをしようとすると、会社では反対されます。
その反対を乗り越えてまで、社内を説得できる人間なのかが本当に見抜くべきポイントです。
もちろん役職者のほうが反対を乗り越えられやすいのですが、それはmust条件ではなくwant条件です。

openpageでは、商談におけるステークホルダーを管理して、誰が何に興味があり、どれだけ真剣に商談に臨んでいるかを分析できるレポート機能があります。
これを見ると、必ずしも決裁権のある人だけが商談を動かしているわけではないことがわかります。

特定業務の運用担当や、あるプロジェクト担当が強烈に推進しており、決裁者はその人の意見に任せている、というケースもあります。
決裁権の有無は営業の可否に必ずしも影響するわけではないのです。

BANTのN(ニーズ)重要だからこそ深く背景をしり、十二分に応える提案を行う

ニーズは重要です。ニーズがなければ購入しません。
ただし、ニーズは、それ以前に課題感や高い優先度が会社にあって発生するものです。課題や挑戦なしにニーズは起きません。また、優先度が低いものは重要なニーズとは言えません。

企業や事業、組織の戦略上、今年1年、そして今後の数年を見越したときに、取り組まなければならない大きな課題や山がある。

これを超えるためには、●●と●●をしなければならない。この●●の部分にニーズが眠っています。

つまり、ニーズ単発だけで把握すると近視眼的になり、ニーズが生まれた背景や理由まで知っておかなければ、本当に重要なニーズなのかわからないのです。

ニーズの強さは社内説得のモチベーションになります。
ニーズが強くあるほど、社内を説得しようとする動きは強くなります。

また、営業としての腕の見せ所は、自社の提案は顧客のニーズに対して完全に合致しており、ニーズ期待を大きく超える効果が出ると、最適な提案することです。

openpageでは、顧客ニーズを拾いあげながら、そのニーズに応えるための提案をまとめて顧客に共有できる機能があります。

顧客に提案を共有してどれだけ刺さっているかも計測できるようになっており、ニーズに対して的確な提案が出来ているかをチェックすることができます。

つまり、ニーズは重要だからこそ、その背景や課題、優先度をしっかり把握したうえで、最適な提案をできる、というところまでやり切ることが重要です。ニーズがあれば売れるという訳ではありません。

BANTの T(タイミング)は断り文句の嘘。これに流される営業は一流じゃない。

このタイミングというのは、断り文句にいいように使われやすいです。
今じゃない、と言っておけばそれっぽい断りになります。予算がつけられるタイミングが来たら、などもそうです。しかしこれは嘘だったりして、この嘘が営業社内の報告にも活用され、タイミングがずれたなら仕方ない、と本来できたはずの反省がなされず流されてしまうことがあります。
つまり、タイミングには嘘が混ざりやすいのです。

本当にタイミングを見極めるなら、顧客と話し合って、ニーズに対して実現したい姿に向かううえでの、具体的なタイムラインを詰めておくべきです。
社内説得、上司承認、決裁者承認、テスト利用、本格利用、効果実現…まで、ゴールを目指していくうえでのざっくりの時間軸です。

そもそも、顧客の課題があり、ニーズがあって、予算が取れるのであれば、すぐにやるべきという話もあります。
早くやらないのは、ROIが見えてない、業務上の優先度が低い、実現可能性がなさそう、という、提案の詰めの甘さに起因します。

営業の提案を聞いても、カスタマーサクセス(うまくいっている)の姿が見てないから、商談が前に進まないのです。

タイミングは言い訳に使われやすい、と強く自覚しましょう。
そのうえで、
・そもそも本当に自分の提案に価値があると思ってもらえたのか?
・効果がありそうだ、投資したいと真剣に考えていただけたのか?
という、ニーズに対して応える提案が出来たか否かに向き合うことが、タイミングよりも重要です。

openpageでは、顧客と導入を進めていくうえでのタイムラインと、そこに向かっていくためのタスクを共同管理する機能があります。
これを見ると、導入価値、取引価値さえ理解出来れば、スムーズに進むものです。
営業が提案した価値に対する共感がないから、優先度が下がってしまい、ズルズルとタイムラインが伸びていくのです。

BANTのまとめ

B 予算は「価値ある提案」で新たに作りにいきましょう。
A 役職は関係ない、会社を動かす熱意ある人こそキーパーソンです。
N ニーズは課題・優先度とセットで把握、そのうえでニーズに応えるカスタマイズ提案を本気で行いましょう。
T 価値ある提案ならタイミングは今すぐです。

openpageはBANTのうち、N(ニーズ)を強く理解して、顧客のニーズの共通認識を作り、デジタル上で提案を行い、ニーズに対して適切な提案が出来ているかチェックすることが出来ます。営業の提案力を高めたい方はぜひお問い合わせください。