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サザンオールスターズに救われた、2019年の初夏

2019年5月12日。私は東京にいた。

あまり眠れない夜行バスで四国から新宿まで行き、この日はあるネット媒体を専門とする広告代理店の最終面接。

当時、就活があまりうまくいかず悶々と「将来生きてけるのかなあ、、、」といった不安や、周りが内々定を得ていくことへの焦燥感に押しつぶされそうになりながら東京に向かっていた。

同じ日、サザンオールスターズのライブツアー「“キミは見てくれが悪いんだから、アホ丸出しでマイクを握ってろ!!”だと!? ふざけるな!!」の埼玉メットライフドーム公演があり、たまたま当選していた僕は就活で東京に行きつつそのライブにも行こうと決めて東京へ向かっていった。


サザンのライブには、2015年の「おいしい葡萄の旅」と桑田さんの「がらくた」に参戦して今回で3回目。今回のライブは40周年ツアーということもあってかファンクラブに入っていても希望していた場所はFC1次では全滅。2次でようやくこの日のみチケットを用意できた。


だがしかし。

正直、楽しみではなかった。


「楽しみではなかった」というと語弊があるが、「それどころじゃなかった」っていうのが大きい。3月から面接を受け続けて内定は一つもなし。正直、サザンのライブなんて行っている暇なんてなかった。

当然、この日に「たまたま」東京で選考があったからライブも行ったというわけで、実は1度公式のチケットリセールに転売申請をしたくらいだ。(選考日程が決まって、リセール申請をとりさげた。)

そんな状況で、サザンのライブなんて楽しめないし、行くまで正直そんなこと頭の中になかった。


お昼前、山手線区間内のある企業のドアをたたく。

「○○大学から参りました、○○です。よろしくお願いいたします。」

面接が始まった。


結果は、正直まったく手ごたえなし。感じたままを素直に言うと"圧迫面接"で自分の人格も否定されて、ほんとに辛かった。

そんな気落ちした状態でのライブだった。


新宿のトイレでリクルートスーツからTシャツとスキニーに着替え、革靴からスニーカーに履き替えて西武線に乗り込む。


さっきの面接で言われたことを少し引きずりながらも、一方で「せっかくのライブ、ちゃんと楽しもう。」という意気込みだった。


約4万人が入るメットライフドーム。西武球場前駅は人でごったかえしていた。グッズを購入し、ゲートをくぐり座席指定券を発券してもらって、腕時計型サイリウムを受け取る。


大好きなサザンに会える。

という気持ちよりも、内定もらえない。という気持ちの方が強いままゲートをくぐり、開演を待つ。


開演前まで、「みんなの就職日記」をみてしまう。

今日面接を受けた会社は即日電話がかかってくるっぽい。

まあたぶん電話来ないか。

でも一応すぐにわかるようにだけはしておこう。

そんなある種"悪あがき"をしてみる。


「今日受けた会社は本命じゃない!」

本心だけど、落ちるのはつらい。


そんなことを考えながら、影アナが「精一杯楽しみましょう!!」とアナウンスをしている。やっと始まる。


18時03分。


場内が暗転する。メットライフドームは屋根で覆われているが、「半野外」なので場内は明るい。野外ライブのような感覚だ。


腕時計型サイリウムが光る。「1曲目から光るの???」そう思った矢先、音が流れた。その瞬間、コールアンドレスポンスをしながら拳を挙げていた。


1曲目は「東京VICTORY」だった。

意識していないのに、気づけば泣いていた。

今思うとただ精神が参っていたんだと思う。内定が出ず、人格をも否定され。

でも、この曲と桑田さんの気概に圧倒され。気づいたらただ涙を流していた。

「まだ頑張っていいんだ。」そんなことをこの曲から伝えてくれたと私は今感じている。


「東京VICTORY」で感涙した後も、「壮年JUMP」「希望の轍」でさらに涙を流した。



「サザンに救われた。」


これが私がこのライブに参戦して感じた内容だ。

62歳の桑田さんをはじめ、60越えのメンバーが3時間半、歌の力を僕にくれたのだからまだまだ頑張らなければいけない。そんな風に思った。

桑田さんがライブの最後に


「みんな死ぬなよ、また会おうな。」


私は、次に桑田さんにまた会う時まで生きようと思う。精一杯。次に桑田さんにあった時まで、今まで以上に成長しよう。


翌日、LCCに乗り四国に帰るために成田空港にいた。

そこで、現在内定を頂き入社する企業の1次選考通過の連絡を頂いた。


あの日、サザンが見れたからちゃんと就活を最後まであきらめずに頑張れた。

人生において、あのサザンのライブは一生忘れることのできないライブになった。


時を駆けるよ Time goes round変わりゆく My hometown川の流れのようにビルの街にも Rising sun勝利の Final countdown自分を追い越してそれ行け Get the chance!!



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