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「世界の知的財産権」グローバル視点で知的財産権制度の活用が必須の今、読むべき一冊

「世界の知的財産権」
主要各国・地域の知的財産権制度の体系的な知識と情報を網羅的に掲載。
なぜ手続きがそうなっているのかがわかるように歴史的経緯から解説。

世界の知的財産権

 本記事は、パテントサロン主催「知財系アドベントカレンダー2021」寄稿の機会を借りまして、いよいよ明日12/7販売となる、新刊「世界の知的財産権」に託す思いを書きたいと思います。

1.「世界の知的財産権」発売情報

2.知財活動はグローバル市場を視野に

  筆者は、知財・産業科学技術分野の作家として、これまで同分野の発展のために執筆を行ってきています(文末補足≪筆者刊行書の位置づけ≫)。
 前作「弁理士にお任せあれ」では、日本法に基づく産業財産権に関する業務解説を行いました。
 しかし、知財はグローバルに流通します。本書の第一章「世界の動向」は、世界人口の高齢化と労働力減少から解説をスタートしていますが、経済成長を考える上で、失われていく人と知識を補い、知的財産(ノウハウ、技術、発明、ブランド、デザイン、著作物、植物新品種等)の経済的な流動性を高めていく、市場取引を活発化させる新規ビジネスの創出が必要となります。経済成長の見込まれる世界の市場へ向けて、輸出先の拡大、生産拠点や研究開発拠点の海外進出といった企業のグローバル化において、更なる日本の文化(ソフトパワー)と社会システムの普及による経済圏の拡張、そのためのビジネスツールの一つである知財制度の理解を促進し、持続可能な経済成長を促す日本企業(大企業・中堅企業・中小企業)のイノベーションビジョンを描くことが望まれます。
 一国の科学技術力・産業競争力を示す重要な国際取引指標の一つに「技術貿易額」があります。これは特許権、実用新案権、商標権、意匠権、著作権といった知的財産権や、ノウハウといった技術知識の輸出と輸入額を示すものですが、技術貿易額は主要国において増加しています。また、日本の経常収支におけるサービス収支の内訳では、前年度の最も稼ぎ頭であった「旅行」が、コロナ禍において大打撃を受けた中で、健闘し黒字額1位となったのは、「知的財産権使用料」でした※。
 つまり、貿易において、知的財産権は重要な地位を占めており、知的財産権を有効に活用し、海外における事業活動をより一層充実させるためには、国際的な知的財産権活動の目線によって行動していく必要があります(※参考「世界の知的財産権」「第1章世界の動向」「2.世界の知的財産権に関する取引の現状を知る」)。

 そこで、国際的な知的財産権活動を支援する書として、「世界の知的財産権」を執筆しました。

3.WIPOおよび主要四カ国・二地域の知財制度の解説

 「世界の知的財産権」は、海外の知財法関連制度の解説書です。国連加盟国の193カ国が加盟するWIPO(世界知的所有権機関)、および世界の特許出願件数の約8割を占める、日本・米国・欧州・中国・韓国、並びに日本と関わりの深い地域である台湾を取り上げました。
 「知的財産権」と銘打たれている通り、産業財産権(特許権・実用新案権・意匠権・商標権)だけではなく、著作権・植物新品種権・GI、また不正競争防止法、独占禁止法の他、知財関連法域全般を扱っています(条約、コモン・ロー体系と欧州大陸法系、EU法、知的財産基本法、外商投資法、技術管理輸出条例、関税法、他)
 このような、広範囲に及ぶ画期的な書籍を刊行した理由は、「海外へ進出する事業者に対して、当地において必要な知財の知識と手段を提供すること」を目的としているからです。

4.海外の様々な知財リスクに備える

 当地において経営者が直面する様々な知財リスクに対する備えは、一法域だけ見れば済むものではありません。法域横断、更には法規則だけでなく、様々な手段による対策を事前に講じることで、取返しのつかない事態を防ぐ事へと繋げることができます。
 本書では、知的財産権制度に関わる各国の歴史的背景から、当該国の知財制度の独自の成り立ちを読み解き、そうした歴史の積み重ねにより成立した、国家体制や組織、法律や慣習、行動様式(異文化・考え方)を理解することで、我が国の法制度や運用との違いを掴めるようにしました。当該国の各法域を解説し、続いて、加速する国際的制度調和の中で、当該国で重ねられる法改正経緯の理解をシンプルに捉えられる様にし、併せて知財活動において気を付けるべきポイントを把握しやすい様に設計しました。
 知財活動に関わる皆様や、海外進出を考えられている皆様は、海外企業・海外の代理人・現地の方々と協働する、また交渉するに際して、日系企業が致命的な事態に陥る事を防ぐことができる立場におられます。円滑に事業活動を進めるために、本書が役立てられればと思います。

5.グローバル視点で情報一元化された知財制度の把握

 また、各専門分野の皆様や諸先生方におかれましても、各国の背景や暗黙知の存在があり、玉石混合で膨大かつ雑多な情報の中で、情報入手の煩雑さと精査にかかる労力とが相まって、他分野・多分野の情報収集に難儀されていらっしゃるのではないかと感じています。そのため、多数の信頼に足る情報元から精選し、経緯や背景から重要事項を整理することで、短時間で効率的にポイントを把握し、グローバル視点で知的財産権制度の把握を容易にできるように、腐心いたしました。記載した参考文献数は350点にも及び、万単位の頁情報全てに目を通し、わずか400頁程度にまとめたものが本書です。
 現在および未来において、我が国と世界各国が連携し、より良い知財制度を構築し運用し、健全な知財活動と産業および文化発展に資することが、著者の願いです。

6.壮麗な装丁。クリエイティブな「知的財産権の紋章」

「世界の知的財産権」表紙(裏は世界地図) 画・装丁 大樹七海

 著者は、科学技術と芸術文化の融合が、これからの産業発展のスタイルであると考えています。今回、世界の知的財産権制度の歴史紋章学を踏まえ、「知的財産権の紋章」を製作し、表紙の中央に配置し、世界に類を見ない色彩とデザインと印刷技術の追求により、内容に相応しい重厚な装丁を創り上げました。
 同紋章を創作した意義は、哲学や歴史学、及び人文科学や法律学などの社会科学、並びに物理学や化学や生物学などを含む自然科学などの総称としての「学問」及び「芸術」を継承した上で、その上に、無限の可能性のある知的財産を創出する、という精神を高らかに謳うことであり、これを表現したことにあります。
 人のクリエイティブな精神活動が、知的財産を産み、同時に、それを発展への原動力と促す知財法もまた、硬直したものではなく、クリエイティブな精神で育んでいくものである、という想いも込めています。 

7.著者から皆様へ

 本書が多くの方の情熱の着火となり、同じ志をもつ情熱を灯す人々と出会い、皆様が情熱を注いだ事業は、世界の人々に届くものとなるよう、心より願っております。
 本書を用いた企業・団体・教育機関等での講義、講演、教材作成等も喜んでお引き受けしますので、worldipright@gmail.comへ、ご連絡頂ければと思います。
                            大樹七海 拝

以下SNSにて最新情報を発信
[twitter] 世界の知的財産権:@worldipright1
[twitter] 大樹七海:@ookinanami 73
[Facebook] 大樹七海:facebook.com/ookinanami73
[note] 大樹七海:https://note.mu/ookinanami
[連絡先] 本書に関する講演・教育資料開発のご依頼につきましては、
worldipright@gmail.com へご連絡下さい。



補足 ≪筆者刊行書の位置づけ≫

📕【受験生向け】
「弁理士への道」(試験仮想体験漫画・弁理士試験解説)
 👉弁理士(試験情報)の普及

📕【一般読者向け】
「ビジネスツールとしての知的財産権」(スタートアップ企業漫画)
 👉ビジネスツールとしての知的財産権活用の普及

📕【事業者向け】
「弁理士にお任せあれ」(国内の産業財産権関連業務の解説)
 👉弁理士(業務情報)の普及

📕【海外進出事業者向け】
「世界の知的財産権」
(国外の知財関連業務の解説) 
 👉グローバルな知的財産権活動の普及


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