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おもに文学と翻訳について書いたものを公開する場所としてnote を使います。記事は投稿後に、変更することがあります。投稿後ひと月は頻繁に改訂が入ると思います。間違いを見つけたらコメントで教えてもらえると嬉しい。

マガジン

  • 私訳『竹取物語』現代語訳

    原文をあまり脚色せず、かつ読み物として読める、という訳を目指しています。(注意 古文文法の学習用ではありません。)

  • 私訳 “English Fairy Tales”

    著作権切れのイギリスのおとぎ話集 “English Fairy Tales”(Joseph Jacobs 著)から、気ままに訳しています。

  • 森鴎外『舞姫』現代訳と考察

  • オースティン『高慢と偏見』和訳(翻訳中)

    できるだけ原文に忠実に翻訳し原文の良さが感じられる翻訳を目指しています。というのも、既存の翻訳本はいくつも出版されているのに翻訳者の解釈で脚色されたものばかりだからです。先頭の章から少しづつやってますが、どのくらいのペースで、かつ、いつまで続くかは未定です。途中で挫折すると思います。

  • ディケンズ『クリスマスキャロル』訳注つき和訳(部分訳)

    気になる箇所を和訳しています。本作を子供向け作品やファンタジー作品だという色眼鏡で見ずに解釈することに興味を持ってもらえたら嬉しいです!言葉たくみなユーモアと社会に対する批判的メッセージが込められた作品なんです。 【翻訳方針】 ・原著にできるだけ忠実に訳す。分かりやすくするための意訳はできるだけ避ける。 ・言葉の掛け合い、ことば遊びを少しでも再現するように訳す。無理な場合は訳注で解説をする。 ・理解しにくい箇所には訳注で説明をつける。 ・訳しにくい箇所には訳注で説明をつける。

最近の記事

20分で読める 中島敦『山月記』全訳 現代語訳(令和版)

中島敦の小説『山月記』を現代語訳したので公開します。 はじめに『山月記』は漢文調の難しい表現を多用した文体が特徴でありそれが魅力のひとつです。しかし、学校の国語の授業で習ったときには読めても卒業してから再び読むのは難しいのではないでしょうか。大人になってからこそ作品をより深く味わえる作品だと思うので、『山月記』を再び読みたいと思う人のお役に立てるように、大人を想定読者とした現代語訳をしてみました。ぜひ、お気軽に読んでみてください。(本音をいうと、自分自身のために訳しました)

    • 投稿テスト用です

      これはテスト用の記事です。 本日は晴天なり。熾熱灯[1]は、明るい。 注釈[1]熾熱灯 白熱電球のこと [2]骨牌 カルタのこと

      • 『日清・日露戦争の陸軍脚気惨害は森鴎外の責任』は俗説:板倉聖宣の主張に由来

        対象とする読者 「森鴎外のせいで陸軍は日清戦争、日露戦争で大量の脚気患者と脚気死者を出した」と知っている人。 この記事の主題 「森鴎外のせいで陸軍は日清戦争、日露戦争で大量の脚気患者と脚気死者を出した」は、板倉聖宣(いたくら きよのぶ)が広めた俗説だということの考察。 この記事の結論 板倉聖宣は、1988(昭和63)年に出版した『模倣の時代』において、エリート教育批判をするのに森鴎外に目をつけて稚拙な理由づけで陸軍脚気惨害の責任はエリートの森鴎外にあると主張した。板倉聖宣は、

        • 芥川龍之介 『地獄変』 読書上の注意と良く見られる誤解

          『地獄変』の読解において良く読み間違えている人がいるので間違いやすい箇所をいくつかとりあげてみました。ちまたの解説やあらすじには読み間違いをしているものが非常によくみられます。ネタバレになりますのでご注意ください。 読む上での注意点『地獄変』は、語り手が語る形式の小説です。そして、ミステリー小説でみられる「信頼できない語り手」の手法で書かれた小説にあたります。そのことにより、どんなところに注意しながら読まないといけないのかを以下に並べてみました。 ・語り手が過去を思い出し

        20分で読める 中島敦『山月記』全訳 現代語訳(令和版)

        マガジン

        • 私訳『竹取物語』現代語訳
          3本
        • 私訳 “English Fairy Tales”
          2本
        • 森鴎外『舞姫』現代訳と考察
          7本
        • オースティン『高慢と偏見』和訳(翻訳中)
          3本
        • ディケンズ『クリスマスキャロル』訳注つき和訳(部分訳)
          9本

        記事

          10分で読める 森鴎外『牛鍋』現代口語化版、注釈付き

          明治43年に発表された短編小説『牛鍋』を読みやすく現代口語化しました。古い文体が苦手、森鴎外苦手と思って避けている人がいたらぜひお試しください。 内容は、三十前後の男が娘と牛鍋を囲んでいる場面を描いたもの。肉をめぐる攻防がユーモラスですが、そこから食に対する生物の本能について話が発展していきます。 現代口語化の方針基本方針であり本作には該当しないものも含みます。 (1)現代の日本語としてできるだけ自然な日本語となるように書き換える。意味が分かりにくい場合には、言葉の順序を

          10分で読める 森鴎外『牛鍋』現代口語化版、注釈付き

          10分で読める 森鴎外『杯』現代口語化版、注釈付き

          明治43年に発表された短編小説『杯』を読みやすく現代口語化しました。古い文体が苦手、森鴎外苦手と思って避けている人がいたらぜひお試しください。 内容は、たんに少女たちが泉で水を飲むだけの話です。ですが、他者に迎合せず自分をつらぬけとのメッセージ性が感じられる寓話なようなお話となっています。 現代口語化の方針(1)現代の日本語としてできるだけ自然な日本語となるように書き換える。意味が分かりにくい場合には、言葉の順序を変えたり、文を分けたり、言葉を足したり、言葉を置き換えたり

          10分で読める 森鴎外『杯』現代口語化版、注釈付き

          15分で読める 森鴎外『普請中』現代口語化版、注釈付き

          明治23年に発表された『舞姫』と比較して読まれることがある本作品を気軽に楽しんでもらいたい、というのが目的で現代口語化してみました。あらすじで終わらせず、ぜひ全文で読んで欲しい。 明治43年に発表されたこの小説は口語体で書かれており、あえて現代語にしなくても読めることは読めます。しかし、現代人からすると違和感がある言葉づかいが使われて読みにくいところが多々あります。 現代口語化の方針(1)現代の日本語としてできるだけ自然な日本語となるように書き換える。意味が分かりにくい場合

          15分で読める 森鴎外『普請中』現代口語化版、注釈付き

          森林太郎(森鴎外)と陸軍の脚気惨害についての通説は本当か?

          文豪 森鴎外のことを調べていると、よく目につくのが脚気論争、そして明治陸軍でおきた脚気惨害のこと。 作家 森鴎外のもう一つの顔、陸軍軍医 森 林太郎は非常に世間の評判が悪い。森 林太郎が脚気の原因を誤ったため陸軍に大量の脚気患者と死者を出したといわれている。 実際どうなんだろうかと調べてみると話はそう単純ではなかった。 気になって調べたことを書いていたらまとまりなく大量の文章になってしまいました。(まだ書き足りなくて、あちこち見直して修正中 2022/4/27~) なので

          森林太郎(森鴎外)と陸軍の脚気惨害についての通説は本当か?

          イギリスのおとぎ話 The Old Woman and her Pig の英日対訳

          イギリスのおとぎ話集 “English Fairy Tales” Joseph Jacobs 著 より、おとぎ話を1つ訳してみました。 英語原文のもと(パブリックドメインです) https://en.wikisource.org/wiki/English_Fairy_Tales/The_Old_Woman_and_her_Pig English Fairy Tales by Joseph Jacobs より 注 逐次訳ではなく多少の意訳をしています。 読む前に知っておい

          イギリスのおとぎ話 The Old Woman and her Pig の英日対訳

          Joseph Jacobs著 The Story of the Three Little Pigs(邦題 三匹の子豚)の英日対訳

          有名なイギリスのおとぎ話「三匹の子豚」を本来の古い形を残すJoseph Jacobs の「The Story of the Three Little Pigs」から訳しました。絵本などで知った教訓的な話と異なっていて興味深い。三匹の誰が年上かも書かれていません。 英語原文の元(パブリックドメインです) https://en.wikisource.org/wiki/English_Fairy_Tales/The_Story_of_the_Three_Little_Pigs E

          Joseph Jacobs著 The Story of the Three Little Pigs(邦題 三匹の子豚)の英日対訳

          私訳『竹取物語』第3章|読み物としての現代語訳

          おことわり (1) 章の分け方、章のタイトルは独自のものです。 (2) 意訳を含みます。逐語訳ではなく、古文学習向けの現代語訳ではありません。 読む前に知っておいて欲しい言葉【変化】ここでは、神仏が本来の姿を変えて現れること。 第3章 竹取の翁、かぐや姫を諭す その様子を見た翁は、かぐや姫に言った。 「我が愛しい子よ。変化の人でいらっしゃるとはいえ、ここまで大きく成長されるまでお育てした愛情は並大抵ではございません。どうか翁の頼みを聞いていただけないでしょうか」  かぐや

          私訳『竹取物語』第3章|読み物としての現代語訳

          私訳『竹取物語』第2章|読み物としての現代語訳

          第2章 かぐや姫、言い寄られる([*数] は訳注があることを示す)  男たちは、人が行きそうにもない所まで歩きまわったが、何も得られはしなかった。家の使用人たちに何か言おうと声を掛けても、相手にさえされない。  家のそばを離れない貴公子たちは、そこで夜を明かし日を暮らす者が多かった。しかし、強い思いがなかった者は「ただ歩きまわっていても、つまらない」と思うようになり、来なくなっていった。  そんななか、色好みと評判の五人だけは言い寄り続け、思いが止むことなく夜も昼も家に訪れ

          私訳『竹取物語』第2章|読み物としての現代語訳

          私訳『竹取物語』第1章|読み物としての現代語訳

          脚色しすぎずに読み物として訳すことを目標にして書きました。読みやすさを優先して多少の意訳もしています。古文の勉強用ではありません。 章分けと章のタイトルは独自のものです。 おことわり 本作品は何を元に訳すかで違いがでる箇所がありますが複数のなかから私の好みで選びました。解釈が分かれる箇所も私の好みで選んでいます。 読む前に知っておきたい言葉【翁】 年老いた男性 【嫗】 年老いた女性 第1章 竹取の翁、子を授かる([*数] は訳注があることを示す)  今となっては昔のこ

          私訳『竹取物語』第1章|読み物としての現代語訳

          読みやすい『走れメロス』太宰治(現代表記化、総ルビ化、注釈つき)

          太宰治『走れメロス』を読みやすく改変したものを公開します。原著に対し以下の変更をしています。現代人が読んでも違和感の少ない表記であること、理解しやすいことを目指しました。 これらの変更にあたって原著と同じ読み方を維持するようにしたので、原著の朗読を聞きながら読むこともできます。ただし、複数の読み方が可能な箇所の差異はありえます(例えば「明日」は「あす」「あした」のどちらにも読める)。 注意 読み仮名において、「低声」と「呼吸」については丸かっこで囲って実際の文字とは異なる

          読みやすい『走れメロス』太宰治(現代表記化、総ルビ化、注釈つき)

          翻訳や現代語訳の自分の記事一覧

          これはプロフィール用記事です。2021年11月27日時点の一覧をまとめています。 現代語訳『舞姫』森鴎外 縮約『地獄変』芥川龍之介 現代語訳『たけくらべ』樋口一葉 翻訳『高慢と偏見』ジェイン・オースティン 翻訳『クリスマスキャロル』チャールズ・ディケンズ【大人向け和訳】 翻訳『Le Petit Prince(星の王子さま)』サン=テグジュペリ【大人向け和訳】

          翻訳や現代語訳の自分の記事一覧

          【現実的な考察】樋口一葉『たけくらべ』たけくらべ論争に対し、作品のなかに理由を求めてみた

           美登利が物語の最後に元気をなくしてしまった理由について、様々な議論がなされてきました。いわゆる「たけくらべ論争」です。  まずは契機が初潮であるという説。それに対して、初潮だけでは理由として不足だということで水揚げ説、初店説、検査場説など色々な説が出されています。ですが、これらは遊女となる身の上に要因を求め、作品世界から離れたところで議論をしていると感じます。  この記事では、美登利が元気をなくしたことの説明を物語のなかに求めて現実的に考察してみました。 吉原に対する認

          【現実的な考察】樋口一葉『たけくらべ』たけくらべ論争に対し、作品のなかに理由を求めてみた