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1on1で質問しても、部下の沈黙が続くワケ

「今年度は1on1を人材育成の柱として取り入れる!」とトップダウンで決めた企業様があります。今春、導入セミナーをさせていただきました。参加していただいたのは、全国の拠点で日々頑張っているリーダーの方たち。

導入セミナー実施前に経営陣の方からお伺いしたのは、 

  • 今年度から当社は、人を大切にする会社として生まれ変わる。

  • そのために、今年度から1on1を導入する。

  • だから1on1をする側であるリーダーの育成研修をお願いしたい。

  • 手法はオンラインで。

 見事なまでに的確な指示。

打ち合わせに来られていた社長直轄部門の役員の皆様の言葉の鋭さと、その他人事部門や営業部門の役員の方たちの「今年は何が始まるの?」という曇った瞳の対比が印象的でした。

でも、いただいたお仕事は全力で。

人事担当者の方に細かい確認を重ね、研修時間内でお伝えできる精一杯のプログラムを作成。すぐに現場で使えることを目標に実施しました。

研修の最後は、私が社員の方とする「1on1のデモンストレーション」。研修での「伝える」時間から、「見せる」時間に転換。
「お伝えしたスキルを実践の場で使ってみると、こうなります。こう使ってください。」という実践の場を想定した時間にしました。その時の皆様の、まさに言葉通り「食い入るような眼」は忘れません。

「これだけ熱心に学んでいただいたし、後日役に立つ資料もたっぷりお渡ししたので何とか上手くスタートしてくだされば……。」という気持ちで研修を終えました。

そして今夏。再びその企業様から1on1活用セミナーの依頼がありました。

現状の課題をお伺いしたところ、

  • リーダーは研修で学んだことを意識しているが、上手く話を引き出せない。 

  • 単なる悩み相談になっている。

  • 部下との間で沈黙が続く。

  • 「何かやりたいことはある?」と聞いても答えが返ってこない

など。

この中で、「何かやりたいことはある?と聞いても答えが返ってこない」というご相談を受けることが多いため、今回は、この課題についての対応方法をお伝えします。

そもそもお互いに慣れていない1on1の場で、リーダーに「やりたいことはある?」と唐突に聞かれて「はい、〇〇をしたいです!」と明るく元気に答えることのできる部下がどのくらいいるでしょうか。そんな絵に描いたような理想的な1on1ができる関係性なら、1on1という場でなくても「〇〇をしたいです!」と言ってくるはずですね。

答えが返ってこないから、自分の部下は「やる気がない」とか「考えていない」と決めつける前に、ひとつ試していただきたい方法があります。

「何がやりたいか(Will)」ではなく
「何ができる・できそうか(Can)」
「何がうれしいか(Want)」を聞いていくことです。

ただし、そもそも自分のCanやWantを明確に言語化できる人も多くありません。だからこそ1on1という場を活用して、一緒に言語化することから取り組んでいただきたいと思います。

たとえば、「これまで営業サポートの仕事をしてきたけど、その経験を活かして提案営業ができるかもしれない。」「周りの方が喜んでくれることが一番うれしいので、その観点を大切に人事の仕事ができたらうれしい。」など、その人らしいCanとWantを一緒に探してみてほしいのです。

そのために、

  • 今週、仕事で一番うれしかったことは何?

  • お客様にほめてもらった言葉で今でも覚えている言葉はある?

  • 何をしている時が時間を忘れて没頭している?

など、リーダーの皆様は質問力を磨いていくことが必須です。「いくら聞いても答えが返ってこない」と言う前に、ご自身がどんな質問を投げかけているのか振り返ること、そしてどんな質問をするか準備をすること。

慣れないうちは、リーダーの方にはしっかり質問の準備をしておかれることをお薦めします。そして、部下のCanやWantにつながるような言葉が引き出せた質問は、必ずメモをしてください。

それは、リーダーの方にとって宝物の質問です。

そして、その質問を他のリーダーの方たちと共有する仕組みを作ること。この仕組みづくりができたら、「私も1on1をする側になって部下を育ててみたい」と考えるリーダーが増えてきます。

1on1は漢方薬です。
高熱を短時間で平熱に下げる解熱剤のような効き目はありません。でも、正しく続けることで必ず成果が出ます。成果が出るまであきらめないこと、これは担当者に必須のマインドです。

 まずは相手が答えたくなるような質問をひとつ考えることから、始めてみませんか?

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