「楽しいアルヨ」←なぜ中国人をイメージする?
◆「今日は暑いアルネ」
こういった話し方を聞いたあなたは、間違いなく中国人をイメージしましたね?
私もです。
ですが、実際に「~~アルヨ」と中国人が話す様子を見聞きしたことってありますか?
私は、ない。
一度もない。
「アルヨ」と話す中国人なんていないのに、「アルヨ」を聞くとなぜか中国人をイメージしてしまう。
というわけで、今回のお題。
1.そもそもどんな人が「アルヨ」を使うのか?
実際に「アルヨ」と話す中国人は誰なのか。
まっさきに浮かんだのは、『らんま1/2』のシャンプーである。
乱馬を追って日本に渡ってきた中国人の少女、シャンプー。
彼女は、以下のような言葉遣いをしている。
どれも、「中国人が話す日本語っぽい」と感じる。
余談だが、私は「シャンプー推し」だ。
恋に積極的な言動、カタコトな言葉遣い、紫色の髪色が実にカワイイ。
次は、『銀魂』で活躍する神楽である。
作品のヒロインである彼女は、実は中国人ではない(夜兎族という戦闘種族)。
が、その見た目や服装は明らかに「中国人キャラ」であり、作中では他の登場人物に「チャイナ」と呼ばれることがある。
『Dr.スランプ』に登場する「摘さん一家」も忘れてはいけない。
中国の山奥からロケットで月を目指したものの、アラレちゃんに撃ち落されてペンギン村に定住することになったファミリーだ。(ぶっとんだ設定だぜ🤯)
画像は長女の摘鶴燐だ。
ペンギン村に住む空豆タロウとのデートで、「ある」を連発している。
シャンプー、神楽、摘鶴燐これらの人物に共通するのは・・・・・・
全員が架空のキャラクター!!
ということ。
実は、「~~アルヨ」などのように、特定のキャラクターと結びついた特徴ある言葉遣いを『役割語』という。
『日本語教育教科書 日本語教育能力検定試験 完全攻略ガイド 第5版』には、次のように説明されている。
つまり、「役割語」は創作作品でのみ使われる。
現実世界で「アルヨ」と話す人がいないのは、このためだ。
その証拠に、中国の方に、
と尋ねると、
と即答される。
漫画・アニメの作品がわかりやすいが、小説にも「アルヨ」は登場する。
宮沢賢治の『山男の四月』という小説を紹介したい。
(著作権が切れているので、青空文庫で読めます!)
いかにも「中国人らしい」と、認識できる言葉遣いではないだろうか。
2.「アルヨ」の起源とは?
現実の中国人は、「アルヨ」と話さない。
では、「アルヨ」はどこからやってきたのか?
キーワードは、「ピジン」である。
この耳慣れない単語とは、日本語教育の勉強を通して出会った。
日本でいうなら「日本人と外国人がやりとりするために作られた間に合わせの言語」のことだ。
江戸末期~明治時代、外国人との接触が突然増えた。
その際、言葉のやり取りが必要であるが、お互いの言語を学ぶのには時間がかかる。
そこで、「とりえず通じればいいんだわ!!」という簡単な日本語が生み出された。
例をひとつ。
などは、すべて「あります」に統一された。
述語のパターンを減らし、簡単な日本語にしたのだ。
例文も挙げるとわかりやすくなるだろうか。
ここから、丁寧さが取り除かれ・・・・・・下記のようになった。
実際のところは、「アルヨ」は中国人に限らず欧米人とのやり取りにも使われた。
しかし、さまざまな経緯を経て、創作作品における中国人の言葉遣いとして採用されることになったのだ。
3.なぜ中国人キャラは「~~アルヨ」と話すようになったのか?
ここで、「アルヨ」と話すキャラと、話さないキャラを列挙したい。
「アルヨ」と話すキャラ、話さないキャラ・・・・・・違いを比べてみようではないか。
あっ!(゚ロ゚)
なのでは!?
シリアスな展開が多いバトル漫画で、「アルヨ」が使われたら雰囲気が台無しだ。
たとえば、『BLEACH』に登場する砕蜂。
『BLEACH』という作品は、スタイリッシュな絵とオサレな台詞で構成され、実に「かっこいい世界観」であふれている。
そのうえ、砕蜂はクールなキャラだ。
彼女が、「アルヨ!」なんて言ったら興ざめしそうである。
話を戻す。
「アルヨ」はコメディ作品に使われる。
その理由は?
わからなかったので、三日ほど考えた。
そして気づく。
「アルヨ」がコメディ作品に使われるワケ。
それは、
コメディ作品には「キャラの個性を出す」ことが求められるから
なのではないだろうか?
バトル作品であれば、キャラの個性は「戦い方」「武器」「能力」などで出せる。
たとえば、格闘漫画『バキ』シリーズには実に多くのキャラクターが登場する。(「バキ・刃牙ガイド」というサイトによると、319人)
そんななか、中国人の列海王は「中国拳法を使うキャラ」としてシッカリ差別化されているッッ。
『らんま1/2』『銀魂』『Dr.スランプ』などのコメディにもユニークなキャラがたくさん登場する。
『Dr.スランプ』のニコちゃん大王なんて、見た目も話し方(「~~だがや」=名古屋弁)も強烈すぎだ。
しかし、前述の摘さんファミリーも「~~アルヨ」という個性的な話し方をすることよって、しっかり「キャラづけ」されている。
コメディ作品では「戦い方」などでキャラを差別化するのは難しい。そのため、他の要素で差別化する必要がある。
その一つが「話し方」であり、その話し方の一つが「~~アルヨ」なのではないだろうか?
以上のように、「~~アルヨ」という話し方は、作家の、
という意図があったのではないだろうか!!
というわけで結論です。
ただ、最近は「~~アルヨ」と話すキャラを見ない気がする。
「シャンプー」「神楽」「摘鶴燐」という例をみると、「~~アルヨ」キャラは中国人・美少女・かわいいというイメージがありそうだが・・・・・・。
noteで小説・漫画を創作されている方、「アルヨ」と話すキャラを創ってみてはどうアルカ??
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