”南”ちゃんVS”南”の島←アクセントが違う
『タッチ』って、スゲー。
野球のルールを知らない妻が、夢中に読んだ野球漫画だからだ。
私も久しぶりに読んだ。
そこでふと思う。
この子って、”南ちゃん”だよな。
この"南ちゃん"の発音を、脳内再生していただきたい。
脳内再生が難しい場合は、下のyoutubeを再生していただくと、わかりやすいかと思う。
(私が発声したものです。ボイスチェンジャーで声を変えてあります)
南ちゃんの発音は、
だ。
1音目が高く、2・3音目は低い。
一方、方角の「南」は、
である。
こちらもyoutubeを用意した。「南の島」と発声している。
1音目が低く、2・3音目は高い。
音階で表わすと、「みなみ」である。
同じ「南」であるのに、アクセント(音の高低)が違う。
一体、なぜなのか??
というわけで今回のお題。
0.高低アクセントについて
(読み飛ばしてもOK!)
英語の「強弱アクセント」に対し、日本語は「高低アクセント」である。
理解しづらい方は、ピアノの音(ドとミ)でイメージしてはどうだろうか。
このように、日本語は「高低アクセント」なのである。
1.他の方角はどうなのか?
「南」以外にも、方角が名字(人名)である人はいる。
東さん、北さん、西さんなどだ。
それらの人名のアクセントは、方角と同じなのだろうか?
なんと、人名と方角でアクセントが違うのは、「南」に限らないではないか。
うーん、南以外も同じなんだなぁ。
2.方角以外はどうなのか?
では、方角以外に”一般的な名詞”はどうだろうか。
名字の一覧を見て、人名になるとアクセントが変わるものをいくつか抽出してみた。
たしかに、柔道家の「ヤワラちゃん」こと、田村亮子さんが結婚して谷亮子さんになったときは、
と思ったものである。
(当時、柔道をやっていたので鮮明に覚えている)
3.人名アクセントを並べてみる。
人名になると、アクセントが変わるものはたくさんあることはわかった。
では、人名となったものに規則性はあるのだろうか?
すべて「一音目は高く、二音目から低くなる」という規則がある!!
これは重大なヒントなのではないだろうか?
もしかしたら、人名(苗字)はすべて「一音目は高く、二音目から低くなる」という規則があるのかもしれない。
さっそく、日本で多いとされる名字のアクセントを見てみよう。
規則性、ないやないかーい\(^o^)/
どの人名も「一音目と二音目の高さが違う」という規則性はある。
だが、これは基本的にすべての単語に当てはまる規則(=人名以外にも当てはまる規則)なのだ。
うーん、なかなか謎は解けない。
4.そもそもアクセントは、なぜ存在する?
アクセント(音の高低)は、なぜ存在するのだろうか。
文字ではなく、音声でこう聞いたとする。
あなたは、どのような状況を思い浮かべるだろうか?
⬇️⬇️
このように、鶏を思い浮かべた人がほとんどではないのだろうか。
しかし、
には、別の解釈もできる。(10秒考えてみてください)
⬇️⬇️
つまり、
という情報は、
という2つの解釈ができるのだ。
しかし、我々は「ニワトリがいる」という音声情報を聴いたとき、「鶏」と「二羽鳥」を区別できる。
なぜか?
アクセントが違うからだ。
「鶏」の場合は、
である。
(↓わかりにくい方へ。ピアノ版です)
一方、「二羽鳥」は、
だ。
(↓ピアノ版です)
我々はアクセント(音の高低)によって、言葉を判別している。
言い換えれば、アクセントがあるからこそ、言葉を正しく認識できるのだ。
5.アクセントによる判別
YOASOBIというアーティストの「アイドル」という曲をご存じだろうか。
この歌の歌詞に、
という部分がある。
グループの中心的存在に対し、他メンバーが「私たちなんて最初からおまけだよね」といらだっているものだ。
この「ハナ」は「端」と書き、”最初から”という意味である。
しかし私の娘(5歳)は、
と聞いてきた。
まだアクセントによる判別ができず、「ハナ(端)」と「鼻」だと勘違いしてしまったのである。
(抽象概念である「端」を知らないのも当然であるが・・・・・・)
他にも、
という文を例に挙げよう。
これも、
と
では、だいぶ差がある。
このように、アクセントは日本語を理解するのに重要な働きをする。
そこで、本題に戻ろう。
今回の問いは、
である。
人名の「南」も方角の「南」も、どちらも日常生活において非常に重要な言葉である。
文脈で区別できると思うが、それではいちいち思考の手間がかかる。
そこで、アクセント(音の高低)に違いをつけ、簡単に区別できるようにしたのではないだろうか?
といわけで、結論。
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