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英国放浪記(帰国編)

そうこうしているうちに、あっという間に6日目の朝を迎えた。朝食を済ませた我々は、小雨の中ヒースロー空港へと向かっていた。
思えばこの6日間、天気がスカッと晴れていたことなど、ただの1日もなかった。いつも静かに雨が降っていたり、霧が立ち込めていたりと、白く曇った空が背景にあった。
それとは対象的に、イギリスの人たちは思っていたよりもずっとフレンドリーだった。

ホテルの窓ガラスが割れていたとき、私の不安を払拭してくれるように明るく接してくださったフロントの方、オイスターカード(Suicaみたいなもの)が壊れたとき、改札で使わなくなったワンデイパスをくれたサラリーマン、楽器店で出会った店員さんやおじさんなと、様々な人と関わった。
そして更に驚いたのが、様々な民族の人が暮らしていることであった。ホテルで仲良くなったボーイさんは、ポーランドから出稼ぎに来ているし、セッションをしたおじさんはアフリカ系だった。添乗員さんいわく、ロンドンの人口はもはや移民のほうが多いのだそうだ。それもあってか、6日間滞在した中で、人種差別のようなものを受けたことは1度もなかった。
イギリスは伝統を重んじる国として有名だ。趣ある街並みやアフタヌーンティーなどの食文化、年中行事など、何百年にも渡って守り継がれてきたものがたくさんあった。同時に、新しい文化の発信地でもあると思った。ビートルズに代表されるロックミュージックはイギリスで生まれたしパンクファッションなどもイギリス初だ。
そして、自分たちの国や文化を誇らしく思っているように感じた。ホテルで居合わせたサッカーのイングランド代表の人たちにしても楽器店の店員さんにしても、自分たちの国のことを誇らしげに話してくれた。我々日本人だと、ついつい謙遜してしまいそうな場面であるが…

飛行機の中、眼下でどんどん小さくなるロンドンの町並みを見ながらそんなことを思っていた。次の旅では、日本の良いところにも更に出会ってみたい。

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