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【乳酸菌おもしろ解説】第2回:ビフィズス菌BifiX(グリコ)

こんにちは、おなかラクト若井です。第2回目はグリコさんのBifiX(ビフィックス)です。特別な理由は無いですが、コンビニでよく売っているので買ってみました。

タイトルが「乳酸菌おもしろ解説」ですが、さっそくビフィズス菌を解説してしまってすみません(笑)

菌の基本情報

  • 通称:ビフィズス菌BifiX *

  • 菌株名:Bifidobacterium animalis(ビフィドバクテリウム アニマリス) ssp. lactis GCL2505

  • 生死:生菌

  • 有効菌数:100億個~800億個

  • 主な効果:排便回数の増加(150億個)、腸内の短鎖脂肪酸増加やGLP-1の分泌を促進(800億個)

“Bifi”には「ビフィズス菌」、“X”には「まだ見ぬ」「未来への期待」という意味が込められている。

https://jp.glico.com/laboratory/bifix/02.html

菌株名は、GCL2505ということで、こちらもグリコさんの独自菌のようです。

GCL2505の論文を一通り読みましたが、生きて腸まで届き、おなかの中で増えるというのが特徴のようです。今はまだ研究段階のようですが、1日800億個以上摂取で「内臓脂肪が減少」という効果も出てきているようです。名前のとおり、今後の研究に期待しています!

キャッチコピーは「短鎖脂肪酸を生み出すチカラ」

短鎖脂肪酸とは、酢酸、プロピオン酸、酪酸が含まれます。人間の腸内フローラが、食物繊維などを発酵するときに作られるものです。

短鎖脂肪酸は体のエネルギーの源として大きな役割を果たしている重要な物質です。

さらに、短鎖脂肪酸が生成されることで、腸内環境が弱酸性になり、悪玉菌が住みにくい環境を作ります。

ビフィズス菌は、どれでも一般的にこの短鎖脂肪酸のうち酢酸を多く生成することが知られています。

BifiXは、よく使われるビフィズス菌の基準株と比べて短鎖脂肪酸を増やす力が強いと記載がありますが、ホームページ上からは基準株が何を指すのかがわかりませんでした。

一定の効果はあるのだと理解しておりますが、外から知りうる情報だけですと肯定も否定もしがたいというのが感想です。

是非、日本で良く売られているビフィズス菌である、森永の「BB536」やChr.ハンセンの「BB-12」と比較してほしいので、今後の研究について期待しております!

論文評価

  • 論文数 :8報 *

  • 主な効果:「排便回数の増加」(150億個)、「腸内の短鎖脂肪酸増加やGLP-1の分泌を促進」(800億個)

  • 代替性 :有り

  • 総合評価:★★☆☆☆

    *PubMedにて「GCL2505」等を含む検索に基づく(おなかラクト調べ、検索日:2022年9月17日)

BifiXの特徴的な論文は2つありました!

1つ目は、BifiXが摂取後に腸内で10倍に増えるという試験結果です。通常ビフィズス菌は胃酸などに弱いですので、多くが死んでしまうのですが、BifiXは一定数が生きて腸まで届き、その後大腸で増加するとのことです。ビフィズス菌が大腸に多く留まることは良いことですので、有用な成果と言えます。
Ishizuka et al. J Biosci Bioeng. 2012, 113, 587-591.

2つ目は、BifiXを、肥満傾向のある(BMI:23以上、30未満)健常成人男女が、800億個含む飲料を毎日摂取すると、腸内の総ビフィズス菌数が増加することにより、内臓脂肪面積が減少したという結果です。
発酵乳という形態で緒に摂取しているのにも関わらず、内臓脂肪面積が減少したというのは良い成果と言えます。
Takahashi et al. Biosci Microbiota Food Health. 2016, 35, 163-171.

しかしながら、「内臓脂肪を減らす」という市場はガゼリ菌SP株が既に先行していることと、1日800億個も摂取しなければならない(ヨーグルト何個食べればいいんだ?)ので、実用化が難しそうです。

BifiXヨーグルトを食べてみました

BifiXヨーグルト 脂肪ゼロ 140g

コンビニで売っている140gのタイプです。まずは商品のスペックから。

商品概要

種類別名称:発酵乳
内容量:140g
無脂乳固形分:8.7%
乳脂肪分:0.2%
原材料名:乳製品(国内製造又は外国製造(5%未満))、食物繊維(イヌリン)、水あめ、ゼラチン、寒天/香料、増粘剤(キサンタンガム)、甘味料(スクラロース、アセスルファムK)、ビタミンD、(一部に乳成分・ゼラチンを含む)
保存方法要:要冷蔵10℃以下
アレルギー物質:乳成分・ゼラチン
賞味期限:(メーカーの製造日より)22日
小売希望価格:不明

配合菌数

記載なし
※機能性表示の届け出では、250g以下の商品は1つで、100億個以上のビフィズス菌BifiXが配合されていると記載されていたが、現在機能性表示がなされていないため、有効菌数が担保されているか不明。さすがに、800億個は入ってないと思われます。

健康機能食品表示

無し

栄養成分表示1個(140g)あたり

エネルギー:58kcal
たんぱく質:5.1g
脂質   :0g
炭水化物 :10.7g
 糖質  :8.3g
 食物繊維:2.4g
食塩相当量:0.15g
カルシウム:158mg
ビタミンD :10.3μg

味わい・食べやすさ(主観)

総合評価:★★★☆☆
甘み  :★★★☆☆
酸味  :★☆☆☆☆
甘味料感:★★★★☆
堅さ  :★★★☆☆
量   :★★★★☆
続け易さ:★★★☆☆

食べてみての感想

今風の味!スクラロースとアセスルファムKの味!最近の流行りのヨーグルトの味だと思います。砂糖や果糖ブドウ糖液糖を使用していない代わりに、甘味料と香料で味調整をしているためでしょう。

個人的に、ヨーグルトに限らず、スクラロースとアセスルファムKの味が苦手なのですが、今売れているヨーグルトというのは大体この味だと思いますので、うまくマーケティング・商品開発されているのだと思います。

ただ、この商品の特筆すべきところは、「イヌリン」2.4g!これは素晴らしい。

イヌリンとは、最近注目されている水溶性食物繊維です。通常の食物繊維より、腸内細菌のエサに数倍なりやすいと言われています。

イヌリン単独で効果を感じるのであれば、2~3gは最低必要とされていますが、この商品はビフィズス菌と乳酸菌に加えてイヌリンが2.4gも摂取出来ます。これはコンセプトと内容が合致している良い点だと思います。

価格は、コンビニで税込106円でした。価格も安い!かなり企業努力されているのだと思います。

量も140gで食べ応えばっちり!!

BifiXは9種類もバリエーションがあるようなので、自分の好みの味を探してみてはいかがでしょうか。

まとめ

研究成果については、まだ8報ということですので、BifiXの名前のとおり、「まだ見ぬ」「未来への期待」ということで、今後の研究成果に期待しています。

ただ、研究がいくら素晴らしくても、日本では売れない乳酸菌というのがたくさん存在しますので、”世の中に届ける”という意味では、大成功しているビフィズス菌だと思います。

価格やマーケティングは申し分ないくらい素晴らしいですので、研究者としては、もっと研究に還元していただきたいなというのと、原材料がもっとプレーンなものが出たら嬉しいなと思います。


おなかラクトの記事では、日々皆さんに有益な情報を、腸活・菌活の観点から発信していきます。


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