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バカボンの兄 詩集

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詩の末尾に初稿を書いた年月を付していますが、note投稿にあたり加筆しています。投稿後の加筆もあり得るので、ご了承ください。
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#命

詩/玉ねぎの命

玉ねぎの命

半欠けにラップした
冷蔵庫の玉ねぎが成長している
ちゃぶ台に乗せて観察する

命はどこから来るのか

親から子へとつながっていないと
生命体にならない
命はどうやら
玉ねぎの内部から来ている
生命体の裏側に
異次元への扉がある

(あるいは命の影として
投影されているだけの世界)

命はみえない、でも
この身に発現している とわかる
錯覚ではない
これに似たものを
僕は確かに知ってい

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詩/総意

総意

故意に力を加えなくても
変化していく
それ自身の力で寄せるのではなく
もっと大きなものに後押しされている

誰に何を知られなくてもいい
何者かになろうとすることをやめて
自由になる

私は元々いなかったのだし
そしてまたいなくなる

一人に一つずつの命ではなく
一つの
同じ命がある
人はこれによって生き
水はこれによって流れる

そのほかのことは
何もない

2006年12月

詩/無力ということ

無力ということ

あなたが仏教徒なら
それを仏性と呼ぶのでしょうか
あなたがクリスチャンなら
それをみ心と呼ぶのでしょうか
私はそれを命と呼んでいます

あなたが泣いているなら
命が泣いているのです

あなたが苦しんでいるなら
命が苦しんでいるのです

あなたが驕って(おごって)いるなら
命が驕っているのです

暗い道で
あなたが誰かを刺したなら
命がその人を刺したのです

あなたが悔いているなら

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