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妄想 短編小説 ショートショート

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頭の中で妄想した少しだけぶっ飛んだ事を描いております。
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#妄想小説

妄想 短編小説 『降り続ける雨』

妄想 短編小説 『降り続ける雨』

 仕舞われないままのシオれた鯉のぼりが滑稽である。これじゃあ、まるで煮干しじゃないか。

傘をさしながら晴男(ハルオ)は近所の戸建ての雨に打たれる鯉のぼりを見上げた。

雨の日だろうと散歩は欠かせない。

次に河川敷を沿うよにいつもの散歩コースを歩いた。

「だんだん水位が上がってきたなぁ」

前方にまたがる橋の、危険水位の目印より少し下を濁った水が流れる。

 近所を一周した晴男は、傘を畳みバタ

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妄想 短編小説 『運命の突起物』

妄想 短編小説 『運命の突起物』

いま俺は生死の狭間にいる。

時間にして僅か1秒、しかし体感では5秒程度。毛穴の一つ一つさえも鮮明に見えて、コマ送りのように再生される。

これが走馬灯というやつなのか?

状況を俯瞰し、慌てつつも冷静。しかし確実にその二者択一を迫られている・・・!

(遡ること、1時間前)

「おい、ここのペグしっかり打てよ〜」

「そっちしっかり持ってて」

「せーの」

「後はその穴にロープ通してしっかり張

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