【50音順】2021年に読んで面白かった本50冊+α
ブログの方でたまにやってた「今月のおもしろかった本」シリーズの更新がここ2か月ほど滞ってましたんで、この機に2021年分をまとめて50音順でまとめておこうと思います。
2022年のスタートに読みたい、気になる一冊を見つけてもらえたら恐悦至極であります。それでは早速ダーッとみていきましょうー。
あ:A World Without Email: Reimagining Work in an Age of Communication Overload
著者はSNSのアカウントを持たず、集中力と「ディープワーク」の専門家として知られるニューポート氏。メール以外にもネットに振り回されてる人にオススメ。
ほかには、「愛が深まるセックス体位365」とか「明日の幸せを科学する」とかも面白かったです。
い:insight(インサイト)――いまの自分を正しく知り、仕事と人生を劇的に変える自己認識の力
まずは自分が何者かを知るところから。ワークもいくつかついていて、自分でも気づいていなかった自分の本心に気づかせてくれる一冊。いわゆる自己省察ってやつっすね。
ほかには、「1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書」なんかは各々の心に響く話が数話くらいは見つかるんじゃないかなーと思いましたね。
う:「運命」と「選択」の科学 脳はどこまで自由意志を許しているのか?
科学的には「運命」ってものはどこまで決まっているといえるのか、どこまでなら後天的に覆せるのかといったところを最新の知見から解説してくれる一冊。どうしようもないところまで努力しても意味はないんで、受け入れるべき部分とどうにかしてあらがってみる価値がある部分を見極めるのにもいいかもしれません。
え:AIの遺電子
AIが浸透した社会におけるAIと「ヒト」の葛藤が描かれてて、結構考えさせられるマンガ。今年読んだ漫画の中では個人的一位ですね。RED QUEENは続き物で、現在連載中のBlueAgeはオムニバス形式になってます。
ほかには慶応の今井先生の「英語独習法」は英語を科学的に勉強したい人にオススメ。あとはオックスフォード帰りで現東大の大黒先生の「AI時代に自分の才能を伸ばすということ」なんかは前著に比べて平易で前提知識ゼロでも読みやすいんじゃないかと。
お:オルガスムの科学――性的快楽と身体・脳の神秘と謎
神経学者、内分泌学者、性科学者の3人の専門家が真面目にオルガスムについて考えている本。別にやらしい気持ちなしで普通に勉強になる一冊になってます。
ほかにはフェイスブックCOOのシェリル・サンドバーグ氏の「OPTION B」は逆境対策に、「男を維持する『精子力』」は「オトコ」であり続けるために一読しておきたい本ですね。
か:THE CATALYST 一瞬で人の心が変わる伝え方の技術
なぜ人を動かすことができず、むしろ逆の行動を誘発してしまうのか、人がこちらの意図に従ってくれない理由と気持ちを害さず快く行動を起こしてもらうにはどうすればいいのか?を科学的に解説してくれている一冊。読了後、何度か頑固な知り合いに試してみたらあっさりこちらに従ってくれてびっくりしましたね。
「外国語学習の科学」は第二言語習得論の最新の知見を紹介してくれていて、外国語を学びたい人は必読。「感染列島強靭化論」は衛生の観点から日本の将来を照らす一冊になってます。
け:言語と音楽、驚異の起源 〈脳と文明〉の暗号
これはすごい読んでいて楽しかったっすね。読む前は「うなり声を上げながら読んだ」「度肝を抜かれた」という論評をみて、正直「それは言いすぎじゃないの?」とか思ってたんですけど、読了後にはそう感じた自分を愚かしく感じましたね。言語や音楽に対する疑問を少しでも持っている人は絶対読んでみたほうがいいと思いますね。
こ:幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない: マインドフルネスから生まれた心理療法ACT入門
ACTの入門書といえばこれ。加速する幸福神話に対抗するためにACTはぜひ常備しておきたい武器の一つ。全部で33章から構成されていて、1週間で1~数章ずつ実践しながら読み進めてみるのがお勧めです。
ほかには、「こわいもの知らずの病理学講義」は講義のように楽しく病理学を学ぶのにオススメ。「呼吸を科学する」は呼吸の専門家が呼吸のしくみから肥満との関係、病気まで幅広く平易に解説してくれている一冊で、呼吸は我々が一生付き合っていくものである以上、ある程度の知識は身に着けておきたいところです。
さ:The Seven Sins of Memory: How the Mind Forgets and Remembers
ここ20年間の脳のニューロイメージングに関する研究に基づいて、「記憶に関する7つの大罪」が語られている一冊。特に、SNSやスマホといった今まで予想もしなかったテクノロジーによる変化に関する議論が面白かったですね。例えば、GPSを使って目的地まで移動すると空間把握能力や記憶力に影響が出るのか?ってなところは誰もが気になるところでしょう。そのうち日本語版も出るんじゃないかと思います。
ほかには、マインドフルネスの入門書として、Googleでも採用されているプログラムを踏まえた「サーチ・インサイド・ユアセルフ」とか、様々な天才たちの共通項を探った「才能を伸ばすシンプルな本」なんかも面白かったっすね。あとは、身体の最高のコンディションを整えるための「最高の体調」は、健康を維持したい人は必読っすね。
し:Just Work: How to Root Out Bias, Prejudice, and Bullying to Build a Kick-Ass Culture of Inclusivity
自分の仕事環境について立ち止まって見つめなおし、よりよいワークライフバランスを構築するための「選択肢」を提示してくれる一冊。まるで長年自分によりそって一緒に仕事をしてきたような優しい語り口で、ハラスメントに悩んでいる人とか、同僚の悩みを解決してあげたい人にも役に立つかもしれません。
ほかには、「情動」について最新の脳科学から考察するバレット博士の「情動はこうして作られる」とか、批判的思考ではなく「科学的」思考を鍛えるための「思考力改善ドリル」なんかも勉強になりましたね。
す:スーパーベターになろう!──ゲームの科学で作る「強く勇敢な自分」
ゲーミフィケーションの知見を活用して前に進む力を手に入れようぜ!ってな一冊。「ログインボーナス」とか「仲間との協力プレイ」「経験値」のようなゲームに当たり前に備えられてる要素は人間のモチベーションを自然に引き上げてくれるわけで、それを本当に自分がやりたい事柄に対しても使わない手はないよね、って話で、使いやすい方法から試してみると、面倒だったタスクも難なくこなせるようになるかもしれません。
ほかには、グーグル・ベンチャーズが使っていたという手法を解説した「SPRINT 最強の仕事術」はビジネス書好きの人におすすめ。あとは、「ストレスに負けない生活」なんかはさらっと読める割にストレスに対する知見を結構がっつりめに学べて、満足感のある一冊になってます。ノーベル賞も受賞したオートファジーの最新の知見をまとめた「SWICH」なんかも非常に勉強になりました。
せ:世界の経営学者はいま何を考えているのか――知られざるビジネスの知のフロンティア
自称「経営学者」みたいな人はメディアとかでたまに見るけれど、論文を書いたりしてる本当の「経営学者」って何をしてるの?みたいなことを解説してくれる本。経営学が追及する「問い」とは何なのか、というところからビジネスの現場でも使える知見まで含まれていて、結構幅広いニーズに合致するかもしれません。
ほかには、あまり表立っては語りにくい「セックス依存症」について解説された「セックス依存症」なんかも面白かったっすね。あとは、「世界10大美術館」とか「世界の名画 仕掛けられたメッセージ」とかを読んでたら早くいろんな美術館に出かけたくなりました。
そ:Solo: How to Work Alone (and Not Lose Your Mind)
タイトルの通り、「ソロワーク」の具体的な戦略とか個人的な体験なんかが語られている一冊。もっとも、一人で仕事をするのがベスト!って単純な話でもなく、あくまで「選択肢」を提示し、いろいろ試してみるのがいいんじゃない?って語り口も気に入りました。働き方の変革に関する過渡期にある今、ぜひ読んでおきたい一冊です。
ほかには、いかに我々が食事中に食事以外のことを考えているか?みたいな実験例が大量に紹介されてる「そのひとクチがブタのもと」は僕のお気に入りの一冊で、今年も読み返してみました。あとは、明日からでも実践しやすい科学的に裏付けられた幸福・成功に導くタクティクスが紹介されてるワイズマン博士の「その科学が成功を決める」なんかも読みやすくてお勧めです。
た:TIME SMART(タイム・スマート)―お金と時間の科学
我々にとって時間というものがどれほど貴重なものか、そしてその価値にどれほど「気づいていない」か、では具体的に時間をどう使えば幸福な人生を送ることができるのか、といったところを科学的な知見をベースに解説してくれていて、非常に勉強になる一冊です。私も今でも完璧には実行できていませんが、多分これをすべて実践できるようになればお金では買えない幸福を想像以上に手にできるはず。時間に追われる現代だからこそ一読しておくべき良書だと思います。
ほかには、11年ぶりに完全改定された「新・大学生物学の教科書」のシリーズは生物学の大きなマップをつかんでおくために、特に専門外の人にぜひ読んでほしい3冊です。あと、「Tap」はスマホでの買い物まわりエビデンスがまとめられていて、買い手も売り手にも役に立つ内容が多いし、読み物としてもなかなか面白いんじゃないかと。
ち:医学のあゆみ 腸内細菌と免疫 278巻9号
最近「腸内環境と免疫」に関する知見が大量に報告されているわけですが、日本語でわかりやすく解説してくれているものは少なく、この号は非常に貴重なものなんじゃないかと。以降私も個人的にこのテーマに関しては勉強を進めてるんで、そのうちnoteの有料マガジンなんかで共有したいと思ってるんですけど、ニーズありますかね?
ほかには、「地球をめぐる不都合な物質」はPM2.5やマイクロプラスチック、水銀といった物質が実際どのくらい人体に影響をもたらしているのか?っていう最近の知見を紹介してくれていて勉強になりました。
つ:つながる脳科学 「心のしくみ」に迫る脳研究の最前線
脳科学もまた発展が著しい分野の一つですが、専門用語も多く門外漢にはとっつきにくいのも現実でしょう。しかし、この本は漠然とした説明で済ませず、前提知識がなくてもちょっと背伸びすれば理解できるくらいの難易度で、脳科学ビギナーにはとっつきやすいんじゃないかと。
て:分析者のためのデータ解釈学入門 データの本質をとらえる技術
データを集めるとき、分析するとき、解釈するとき、すべての段階で注意すべきデータの取り扱いに関するエビデンスがギュッとまとまった一冊。全体をわかりやすく網羅的にまとめた本はありそうでなかったもんで、結構話題になってたのも納得でしたね。
ほかには、1万時間の法則を世に知らしめたグラッドウェル氏の「天才!」なんかも面白かったですね。(1万時間の法則の是非はおいといて)
と:トーキング・トゥ・ストレンジャーズ~「よく知らない人」について私たちが知っておくべきこと
こちらもマルコム・グラッドウェル氏の最新作。なぜ我々は他人のことを誤解してしまうのか、そしてその事実を自覚できていないのか、というのを複数の事例をもとに展開していく一冊。科学的な議論を求める人にはいまいちかもしれませんが、やはりグラッドウェルさんの著書だけあって読み物としては面白かったっすね。
な:なぜ「あれ」は流行るのか?―強力に「伝染」するクチコミはこう作る!
米国のマーケティングを研究する専門家がクチコミを生み出す6つの原則を解説した一冊。表紙とタイトルがちょっとアレな感じもしますが、現代において「口コミ」は非常に重要なビジネスの要素ですし、6つの戦略の妥当性も保証されてますんで、中身は結構ナイスなものになってるんじゃないかと。
ほかには、超内向型の私にとっては、「内向型人間が無理せず幸せになる唯一の方法」「内向型人間のすごい力」なんかは非常に納得感もあり、勉強にもなりましたねー。今もまだ内向型の真価を十分発揮するには至ってないですけど。
に:認知バイアス 心に潜むふしぎな働き
「バイアス」という言葉は日常生活でもよく聞くようになりましたが、それでもまだ日常生活には思っている以上の認知バイアスが隠れているんだよーってな本。「どうしてあんなものを買っちゃったのだろう」といった買い物の判断から、「東大生"なのに"かっこいい」のような無意識の偏見まで、意識していなかったバイアスがきっと見つかるはずであります。
ほかには、「日本が売られる」なんかはたいていの日本人が気づいていないであろう危機が紹介されていて、「こんなことに気づいてなかったのか!日本、思ってるよりやばいんじゃない!?」ってな感じで結構ビビりましたね。
ね:ネガティブな感情が成功を呼ぶ
ここ数年では「ハッピーこそ正義!」みたいな単純な風潮こそ薄れてきましたが、ネガティブはで着るだけ避けるべき!って考えはまだまだ主流でしょう。そんな中、本書は不安や怒り、悲しみといった一般に「ネガティブ」に分類される感情も見方を変えればむしろ「ポジティブ」な影響をもたらしてくれるんだぜ!ってなことを解説してくれてます。ACTなんかともつながるところもありますが、「不安になる自分はなんてだめなんだ!」ってな思考に陥りがちな人は早めに対策を打っといたほうがいいでしょうな。
の:脳はこうして学ぶ:学習の神経科学と教育の未来
学習に関わる神経科学の最新の知見を一般向けに分かりやすく解説してくれている一冊。著者が目指す教育の未来についても語られていて、学習者だけでなく教える立場にある人にも役に立つ内容がきっと含まれているはず。もちろん勉強した内容を長く記憶したい、会議の内容を忘れないでおきたい、読書の内容を覚えておきたい、といったニーズにもしっかり応用できます。
脳関連でいうと、「脳を鍛えるには運動しかない!」なんかは、運動と脳の関係、運動で脳をトレーニングする方法がまとまっていて、運動をするモチベーションにもいいかもしれません。あとは、「脳にいい食事大全」なんかは全面的に賛成できない面も少なくないものの、十分参考になる内容になっておりました。
は:How to Change: The Science of Getting from Where You Are to Where You Want to Be
意志の力に頼るのではなく、習慣をうまく使うことでなりたい自分に近づくための戦略を提示してくれている一冊。もちろんその戦略やガイドラインは科学的に証明されたものばかり。元となる論文はまだ確認している途中ですが、少なくとも「サンプル数:1」の巷のビジネス書よりは信頼できるでしょう。新年のロケットスタートのお供にいいかもです。
ほかには、成功者はかけがえのないパートナーと二人一組でのし上がってきたのだ!ってなことを示す「POWERS OF TWO」とか、心理学における「性格」の基本が学べる「パーソナリティを科学する」なんかも面白かったですね。
あとは、一時期「はたらく細胞」のシリーズを読んでたら論文を読んでてもマンガ中のキャラのイメージが頭にわいてきてたりしましたね笑。体内の細胞たちの活動のイメージをなんとなくつかむにはこれ以上ないコンテンツかもしれません。
ひ:ピダハン――「言語本能」を超える文化と世界観
アマゾンの奥地に住む少数民族であるピダハンを観察して分かった意外な事実から、我々の常識があらゆる面で瓦解していく感じが体験できました。言語だけでなく、色の概念や神話なんかも存在しておらず、彼らの不思議な世界観から自分たちの生活の「当たり前」を見直すきっかけになったりならなかったり。
ほかには、「皮肉」と「嫌み」の違いって?みたいなところを考察した「皮肉と嫌みの心理学」とか、様々なビジネス形態を一枚のシンプルな図解にまとめて見える化した「ビジネスモデル2.0図鑑」なんかも面白かったっすね。特に後者の読了後は、いろんなサービスとかお店を見かけたときにそのビジネスモデルをシンプルに考えられるようになって、なんとなく新しい眼鏡を手に入れたような感じがしましたね。
ふ:Put Happiness to Work: 7 Strategies to Elevate Engagement for Optimal Performance
チームでの仕事やリーダーシップに関する議論の中で今年一番印象に残ったのはこの本。多かれ少なかれ、仕事は労働時間以外の生活のためのものであるという事実を前提として、労働者のエンゲージメントを最大化するためにとれる戦略とは何なのかといったことを解説してくれております。ワークライフバランスこそ正義!といった考えからは少し距離をおいて、チームの成果と幸福を最大化するための効果的かつシンプルなタクティクスが見つかるかもしれません。
ほかには、性善説を前提に、ポストコロナの「ファクトフルな希望」を示した「ブループリント」は、ビルゲイツやエリック・シュミット、スティーブン・ピンカー氏らが推薦しているだけあって、非常に読み応えのある内容でした。また、「最高の体調」も取り上げた鈴木祐さんの「不老長寿メソッド」は「死ぬまで若い」を目指す人は必読っすね。
また、
読書と脳の関係を解説した「プルーストとイカ」
ブルーオーシャンに関する知見のアップデート版である「ブルー・オーシャン戦略」
個人の感想ではなくデータを基にしてプライマリーバランスの正体を考える「プライマリー・バランス亡国論」
仕事からプライベートまで幅広い分野で成功・幸せを導く「フロー状態」に没入するための「フロー体験入門」
といったところも面白く、勉強になりました。
ほ:POPULAR 「人気」の法則―――人を惹きつける謎の力
「人気」といっても、大きく分けて2つの意味があって、それを取り違えて間違った方向に進んでしまうと真に価値ある「人気」とはかけ離れた人間になっちゃうよ!ってな本。また、「人気」がある人は幼いころから定まっているようにも見え、子供を人気のある人間にすることはできるのか?ってなところを解説されておりまして、子育て中の親御さんも読んでおくといいかも。
ほかには、「翻訳できない世界のことば」なんかは休憩時間とかにパラパラと読んでると特定の状況にぴったりのことばが見つかったりして面白かったです。皆さんの好きな単語とかが見つかったらぜひ教えてくださいー。
ま:マンガ人類学講義 ボルネオの森の民には、なぜ感謝も反省も所有もないのか
人類学者と漫画家が実際にボルネオの民と生活を共にして見つけた我々との違いを漫画で面白く教えてくれる一冊。この本もまた、現代の私たちが当然と思って疑わない考え方が本当に正しいのか?ってなところを考えさせてくれます。これもまた、今年私が読んだ漫画の中では非常に高ランクでしたねー。
ほかには、今年は「マインドフル・セルフ・コンパッション・ワークブック」でセルフコンパッションのトレーニングを地道にやったりもしました。セルフコンパッションは概念的な説明だけだとイメージしづらいところも多いんですけど、本書はタイトルの通り、ワークがベースなので、少しずつ1か月くらいかけて実践してみると、感情に振り回されなくなったり、集中力が高まったりしていいかもしれません。
む:無(最高の状態)
「最高の体調」「不老長寿メソッド」でも取り上げた鈴木祐さんの最新作で、こちらはメンタル系の一冊。シンプルに言えば「マインドフルネス」系の本ですが、本書では「マインドフルネス」って言葉は使われておらず(多分)、ちょっと違った角度から「自動生成されるストーリーから距離をとって最高の状態に近づくためのヒント」みたいなところが紹介されてます。別に「悟り」を開くのが目的ではなく、あくまで「最適な状態」を目指すのが主眼なんで、多くの人にとって一読しておく価値はあるんじゃないかと。もちろん、上で紹介した2冊と同様、こちらも非常に読みやすい語り口となっておりまして、前提知識ゼロでも十分楽しめます。
め:名画に隠された「二重の謎」: 印象派が「事件」だった時代
推理小説仕立てで「絵画に目覚めた絵画」の正体を追求していく一冊で、絵画に特段興味がなくても知的好奇心が刺激される、新しいスタイルの美術書となっております。図版とかも豊富に含まれていて、写真を見るだけでも楽しめるんじゃないかと。
も:もっと! : 愛と創造、支配と進歩をもたらすドーパミンの最新脳科学
新しいことへの挑戦や喜びといったいわゆる「ドーパミンの仕業」と考えられていることだけでなく、創造力や恋愛、保守派の考え方、人類の進歩といったところまで、様々な領域でドーパミンが影響してるんだよ!っていう本。非常に面白い内容なんですけど、これを読むとしばらく「まさかこれもドーパミンの働きなんじゃ…」って思考に取りつかれる可能性がある点には注意です(私だけかもしれませんが)
よ:良い戦略、悪い戦略
世界的な経営学者を表彰するThinker50にも選ばれた著者によって、組織が正しい方向に前進していくための「よい戦略」と間違った方向に進んでしまう「悪い戦略」の驚くべき違いを提示してくれている一冊。必要なのはパワーポイントでもチャートでもなく、大事なのは〇〇である!(〇〇はぜひ本書を読んでみて下さい)ってなことが解説されていて、投資の場面でも非常に参考になりましたね。
ほかには、人間がいかに不合理な生き物か?ってところを行動経済学的に解説した「予想どおりに不合理」とか、遺伝子って何?ってところから最新の研究成果までわかりやすく口語調で解説してくれている「よくわかる分子生物学の基本としくみ」なんかも勉強になりました。
ら:LIFE SCIENCE(ライフサイエンス) 長生きせざるをえない時代の生命科学講義
「そもそも科学的思考とは何か?」といったところから、「病気って何?」「オートファジーって何?」「寿命を延ばすためにできることで、科学的に効果が証明されていることは?」といったことまで教えてくれる一冊。ES細胞、iPS細胞なんかを筆頭に、生命科学に関する知見は急速に発展しているわけですが、その基礎がわかっていなければ「〇〇細胞が発見されました!」ってなニュースが流れても本当の価値がわからないわけです。その点、生命科学の基本的な要素を学んでおくだけでも重要よねー、って考え方も身に着けることができるじゃないかと。そのあとで、「大学生物学の教科書」なんかを使って学習してみるのもいいでしょう。
オートファジーに関してもっと知りたい!って場合には手始めに「SWITCH」なんかを読んでみると、よりオートファジーの魅力に取りつかれてグレートかもしれません。
ほかには、おなじみの「LIFE SPAN老いなき世界」や「LIFE SHIFT100年時代の人生戦略」なんかも面白かったっすね。
ろ:ロウソクの科学
ファラデー先生の愛ある名講義に現代版の解説等を付したもので、科学の面白さを学ぶことができます。現代の成果主義の科学だけでなく、本来の科学の楽しさ、面白さそのものを再確認できる一冊。内容に関しても今でも問題なく通用するのはさすがファラデー大先生、って感じでしょうかね。
わ:Work Disrupted: Opportunity, Resilience, and Growth in the Accelerated Future of Work
この本をリストの最後に並べることができてよかったかもしれません。というのも、この本は仕事の未来に関して広範囲かつ示唆に富む慎重な議論に基づいて展開されているんですが、精神的に余裕のある時間にまとめて読んだ方が得られるものが圧倒的に多いと思うんですよ。その点、ここまで駄文を読んでこられた方はこの本を読み切るための粘り強さと集中力を持ち合わせているんじゃないかと。本の内容としては、テクノロジーは人間の仕事をなくすのではなく、どのように変えていくのか?というストーリーを主軸に、視点の転換を促してくれます。ツイートにもある通り、「人間らしくあるためのテクノロジーの在り方」を説いている点が気に入りました。
ほかには、
なるべく若いうちに知っておきたい事柄をサラッとまとめてくれている「What I Wish I Knew When I Was Twenty」
「生命とは何か?」という誰もが考える疑問にノーベル賞受賞者が真剣に取り組んだ内容を記した「What Is Life?」
2021年にはこれがはやるんじゃないの?ってのを専門家たちが本気で予測した「WIRED THE WORLD IN 2021」
といったところも面白かったです。ちなみに、最後のWIREDの2022年版はもう発売されてまして、私も先日購入して到着を心待ちにしているところであります。
▼まとめ
そんなわけで、2021年に読んで面白かった本をずらずらと並べてみました。2022年もいろんな面白い本を読みたいと思ってますんで、皆様のおすすめの本なんかも教えてください。
また、定期的に「おもしろかった本」シリーズも更新していく予定ですんで、今後ともよろしくお願いいたします!
それではまた!
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