マガジンのカバー画像

浅香唯さんと僕たちの物語。

40
「浅香唯」さんと、文字を打つと僕のテンションが上がります。僕たちの生活に、浅香唯。
運営しているクリエイター

#短編

続「浅香唯のドリームビリーバー 」番組ステッカーを夢見る日常。

続「浅香唯のドリームビリーバー 」番組ステッカーを夢見る日常。

【今までのあらすじ】

ラジオに初めて送ったメッセージが浅香唯さんに読まれ、ペンネーム「奥田庵」となった僕は、全ての活動ネームを奥田庵に変えた。
その後、楽しくラジオを聴いていた六月。新たに「番組ステッカー制度」が開始される。番組でメッセージが読まれた人の中から一名にだけ浅香唯さんがペンネーム、もしくは本名など、「書いてもらいたい名前」をステッカーに記入してくれるという企画。僕は、「奥田庵」になる

もっとみる
覚醒【短編小説】

覚醒【短編小説】

ある日唐突に覚醒した。

「ん?」

唐突すぎて笑ってしまった。
浅香唯の「幸せの色」を聴き終わり、「愛の元気主義(1989ライブ版)」が始まってすぐに覚醒したのがわかった。
浅香唯が、観客に「みんな元気?!」と、呼びかけたところだ。
場所は、東海道線の茅ヶ崎と辻堂の間。

「ヤバっ」
と、思わず声が出た。

覚醒とは?

突然、視界が広がり頭の中がクリアになった感覚。
色々と体中にへばりついてい

もっとみる
歩ける気分【短編小説】

歩ける気分【短編小説】

昨日の帰り、バスが来るまで少し時間があった。
まだ夕焼け。
暑さも和らぎ心地良い涼しさ。

歩いちゃおうっかな。
と、次のバス停まで歩くことに。
スマホで音楽を聴きながらトコトコトコトコ。
腕を振りながら「健康になっていく」気がする自分に嬉しくなる。
もっと腕を振りつつ、足を出すとき腰を少しひねったり。

ああ、これから歩いて帰ることにしようかな。
なんて、気持ちも舞い上がる。
一つ目のバス停を越

もっとみる
インドアカレー【短編小説】

インドアカレー【短編小説】

電車が事故で止まってるらしい。
僕は帰るのを諦めて、なにかしら適当なものを食べて、ネットカフェにでも泊まってしまおうかと考えていた。

タクシー待ちの人の列。
改札に溜まる人混み。

とにかく駅から離れる。
しばらくすると、人の気配もなくなり、街灯の光すら弱い静かな道へと出た。

ふと、カレーの匂い。
少し先に、カレー屋の看板が見えた。
簡易的な看板。A4ぐらいの大きさで、丸文字の手書きで「インド

もっとみる
ポジション。

ポジション。

電車が駅について、ドアが開くと、作業員が四人入ってきた。
それぞれが、無言。視線も合わさず、距離を開けている。

電車の中は空いていた。
僕は、座席の隅でスマホをいじりながら、その四人をなんとなしに観察した。

全員が青いツナギ。
それぞれが、清掃道具を手にし、立っている。
年齢はバラバラ。
男三人。女子一人。
若い。中年。高齢。おばちゃん。
の四人。

特に仲が良さそうな気はしない。
あまり知り

もっとみる
シャッフル。

シャッフル。

一時間ほどの残業。
それでも、普段よりは二時間ほど早い退社。

外へ出ると、曇り空。
iphoneを取り出し、イヤホンをつけ、プレイリストより「浅香唯」シャッフル。
「ルカ」を聴きながら、横断歩道で信号が変わるのを待つ。
駅について、改札を抜け、階段を下りている途中で、電車がホームに入ってきた。
そこで、「GO! GO! 90'S」が流れ始め、そのまま車両に乗り込む。

と、今、降りた男性が座席に

もっとみる
「Ring Ring Ring」を聴く。【小説】

「Ring Ring Ring」を聴く。【小説】

高校の友人が突然謎の病になった。
医者が言うには、「どこも異常はない」とのことだったが、明らかに以前の元気は消え失せ、ずっとうつろなまま、ほぼ起き上がれない日々が続いていた。

「おじさんに相談してみたら?」と母が言った。
「おじさん?」
「栃木で独り暮らししている、親戚の。なんか、凄いパワーもってるらしくて、沢山の人の謎の病気を治してるんだって」

僕は、半信半疑で、栃木のおじさんの家を訪ね

もっとみる
ある老人の依頼。【短編小説】

ある老人の依頼。【短編小説】

宣伝用の動画を作ってほしいと依頼があり13時にその老人の家へ着いた。

車が1台分しか通れない狭い道を抜け、空き地を2つ挟んだ場所にその家はあった。少し壁にひび割れはあるが、どこにでもあるような一軒家。

インターフォンを押すと、老人が顔を出した。
眼光が鋭いが、特段威圧的でもない、白髪の短髪、紺のシャツにスエットパンツ。
「ご苦労様です」
と、僕に言った。
「よろしくお願いします」

居間へ案内

もっとみる