【 地域おこし協力隊サポーターズ鹿児島 南九州市地域おこし協力隊 原本太郎 】
『地域おこし協力隊サポーターズ鹿児島』(以下:サポーターズ)について知ってもらうにあたり、昨年度はメンバーや活動紹介を毎月行ってきました。今年度からは現役の地域おこし協力隊(以下:協力隊)やOBOGの皆さんの背景にも迫っていきたいと思います。
第9弾の記事はこちら。
今回は『南九州市地域おこし協力隊』の原本太郎さんの想い(第1〜3章)について紹介していきます。
たまたま辿り着いた答えが協力隊だった
原本:僕は前職時代、景観デザイン関連の仕事をしていました。ありがたいことに各地で様々なプロジェクトに携わらせてもらったのですが、次第に違和感が出てきたんです。
地域の方とどんなにお話しても、実際に僕はそこに根付いて暮らしているわけではない。それでは、深い部分まで地域の方の気持ちや意図を理解できないと思ったんです。それで思い切って会社を退職することにしました。
そのまま鹿児島へUターンし、フリーランスとして活動しながら、テンラボ(※)に所属し、鹿児島県内の地域プロジェクトや対話の場のサポートを行ってきました。また、フリーランスとしてある県内企業と連携して、南九州市頴娃(えい)町のあるコンペに参加し、それが大きなきっかけとなったんです。
原本:コンペの内容は利用が少なくなってきた公園の活用がテーマでした。地域の方と一緒に考え提案したのですが、残念な結果に終わりました。
肩を落としていると、ある方々から「あの提案書、とても良かったよ」「一緒に何かできないかな?」と声をかけてもらったんです。それは『NPO法人頴娃おこそ会』(以下:おこそ会)の加藤潤さんと西村要さんでした。
頴娃で一緒に仕事をするにはどうしたらいいか?それについて考えていると「協力隊の制度を利用してみては?」という話になり、そのまま2021年4月からおこそ会に所属する形で協力隊に着任しました。
元々、協力隊になることは意識していませんでした。たまたま辿り着いた答えが協力隊だったんです。
日常のファシリテーション
原本:協力隊のミッションの1つとして取り組んでいたのが番所鼻自然公園内の廃墟撤去後の跡地活用でした。現在、毎月最終日曜日にキッチンカーが集まる『絶景ごはん』を開催しているところです。
その中で昨年3月に『おでんと、たきびと、』というイベントを行ったのですが、開催するに至るまでの調整が大変でした。
市のルールの中で“公園で焚き火をしていてはいけない”と定められていて、そのままではイベントの開催が難しい状態だったんです。
そこを、市の担当職員の方と対応策や違う視点での考え方を提案し、なんとかイベントの開催に至ることができました。
今までになかったものをどう理解してもらい、一緒に切り拓いていくか。そこが協力隊の中で一番苦労したことだと思います。
原本:協力隊関係なく仕事に従事する上で一番意識しているのは事業やプロジェクトに関わるメンバーや地域の方に対する報・連・相です。
例えば、何かしらの事業があるとして、物事が決まった後に報告するのではなく、事前に相談や情報共有をしておくとか。僕が所属しているテンラボでの経験も大きいと思います。
テンラボのお仕事を通して、県内の皆さんの成功や失敗を含めた話をたくさん聞くことができました。だからこそ、会議のときだけではない、日常のファシリテーションが大事なのではないかと感じるようになりました。
いかに相手が本音で気持ちよく話す雰囲気を作るか。それは報・連・相を含めた日常の積み重ねの先だと思っています。
間を繋ぐ存在として、楽しく
原本:実は任期中に協力隊の導入支援をさせていただく機会がありました。フリーランスとしての仕事だったのですが、川辺で子育てに関するプロジェクトに携わっていたんです。
内部調整をしていると「施設運営を誰がやるのか?」「運営者と行政の乖離を無くす必要があるのでは?」といった問題が出てきました。
それなら、誰が運営するにしても、行政と運営者を繋ぐ存在が必要なのではないか。そう思い、行政側に協力隊の導入を提案させていただいたんです。
行政側も了承してくださり、それで協力隊の導入支援に至りました。私が協力隊になったのと同様に、こちらも目的を為すために偶然生まれたものでした。
原本:今年、番所鼻自然公園の運営を担う法人を3月上旬に設立しました。法人名は『アソビシロ』にしました。遊びと余白をカタカナにした名称なのですが、僕自身、仕事をする上で楽しくありたい気持ちが強いです。
そして、一緒に関わる方や、その場所に来てくださる方も楽しいと思えないと色々なことに繋がっていきません。
最近は、サポーターズの地域別交流会を通して、南九州市以外の協力隊とも仲が深まってきましたし、協力隊以外にもテンラボで繋がってきたご縁もあります。
なので、行政と民間だけではなく、様々な間を繋ぐ存在になれると思うので、そういう点で周辺エリアの協力隊や行政の皆さんに役立てたら嬉しいです。
(終わり)