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上がらない「家賃」が救い? - 何でもかんでも "むしり取る" ことに奔走する今の日本は異常。

 11/18 黒田日銀総裁 半期報告@衆院財務金融委員会:
 「生鮮食品を除く消費者物価指数(CPI)はエネルギーや食料品、耐久財などの価格上昇でプラス幅を拡大している。先行きは押し上げ寄与の減衰に伴い、年明け以降来年度半ばにかけて、プラス幅を縮小していく」
 「来年度以降は2%を下回る水準まで低下する」

 10月CPIが年率+3.7%(←9月+3.0%)に上昇。その直後、計ったように「CPI低下」発言。いつものように自信満々だがこの手品には "種" がある。首相自身が「CPIを▼1.2%引下げる!」と言い切っているが、また「GOTO方式」で「電力会社への兆単位の補助金 → 見た目のCPI引下げ」だ。

 首相も総裁もこれで騙せるという認識なのだろうが、我々国民も随分舐められたものだ。何度も言っているが「補助金」に「物価」引下げ効果など無い「財政悪化要因」と考えれば、むしろ将来の「インフレ」の芽となる。

 いずれにしろ「インフレ+2%目標」は既に達成されており「ゼロ金利政策」「異次元緩和」の正当性は失われている。それどころか、日本は唯一「マイナス金利政策」を維持している国として取り残されてしまった

 ”体感物価は+10%ぐらい”

 こういうコメントがネット上で見られたが、おそらくCPIよりこちらが正しい。 「CPIの誤謬」。- 日本で「賃金」が上がらない理由。|損切丸|note でも触れたが、4月の日銀アンケートで+6.6%だったのだから、続々と「値上げ」が起きている今、 "体感物価" は更に上昇

 年金も給料も金利も "体感物価" に連動させるなら、 全部+6~10%引上げなければ経済的整合性は取れないこの部分を全て財務省と企業に持って行かれているのだから、生活が苦しいはずである。

 海外と "体感物価" を比べる時、*最も違うのは「家賃」だろう。皇族が暮らすNYの「家賃」が良くメディアに載るが、その上昇度合いは東京とは段違い。元々高かったのが不動産価格の急騰と相まって更に差が開いた感じだ。東京の「家賃」は上がるどころか、一部低下している。

 標題に添付したのは2015年を@100とした "House Price to Income Ratio" で、不動産価格と「家賃」を比較した指数。元・職場の知り合いにニュージーランド人がいたのでよく聞いていたが、オーストラリアも含むオセアニアの「家賃」上昇が酷いNY同様、「お給料」も上がっているがそれを上回る上昇生活費の3分の1を占める「家賃」の急騰は厳しい日本が ”穏やかなインフレ” で済んでいるのは、この部分の "貢献" が大きい。

 ”品切れは御法度。足りないなら余る方がいい”

 筆者が百貨店でアルバイトしていた時に販売現場の店長が良く言っていたが、日本ではこの精神が貫かれている。根っこは「お客様は神様です」東京の飲食店舗数は世界の主要都市を凌駕する多さ ↓ だが、住宅数も常に住居者を上回る。これが「家賃」が上がらない理由だ。

 もっともマンションの供給過剰では中国には勝てない(苦笑)。人口の差はあるが、双方に共通しているのが「少子高齢化」需要が縮む中取捨選択は進み、 ”付加価値" の乏しい店舗・物件は ”淘汰” されていく。今はその変化の真っ只中。一部 ”高付加価値" な物件では「値上げ」が起きているが、本格的な「値上げ」は ”淘汰” の後になるだろう。

 バブルを経験した世代の筆者には実感があるが、「インフレ」経済では常に「人件費」が「物価」に追い付かない。これはバブル時代の日本も今のアメリカも一緒「インフレ」を知らない30代以下の日本人には ”肌感” としてしっくり来ないかもしれないが、はたで思うほど生活は楽では無い「預金超過」の日本ではおそらく「デフレの20年」の方が楽だったはず。

 参照: 物価も賃金も上がる「アメリカ型」と、どちらも上がらない「日本型」はどちらが幸せなのか。|損切丸|note

 筆者には年金で暮らす母がいるが、ここに来て生活の圧迫感が凄くなっている。例に漏れず医療費の自己負担も介護保険の年金からの天引きも引上げ「これまでと同じ生活」を続けていると気が付けば「貯金」は底を尽き壊れた給湯器の交換もままならない「お金」を立て替えてくれる親族がいなければお風呂も炊事も "冷たい水" になる

 日本中でこんな事態に陥っている年金家計が増えているのではないか

 筆者も当事者として実感しているが、結局「子供・孫世代」が何とかするしかない「損切丸」的観点で「金利」の話をすれば「預金大国」日本のコアは高齢者 "誤謬" があるにせよ、仮に預金金利がCPIと同じ@3.7%なら、1,000万円の「預金」に年間37万円「利息」が付く。これは年金家計にはとてつもなく大きい。結局「子供・孫世代」の負担も軽減する事になる。

 何でもかんでも "むしり取る" ことに奔走する今の日本は異常

 そりゃあ ”XX党に殺される” なんてハッシュタグも立つ。ここまで来ると「支出」に切り込まなければもうどうにもなるまい新設の新幹線や空港など作っている余裕は無いはずだ。

 社会保障費の話をすれば、大変な仕事をこなしているお医者さんには恐縮だが、病院に "勤めるだけ" で「お給料」2,000万円は高過ぎる(もちろんそれに値するお医者さんもいる)。その大元は国から支給される医療費 ≓ 税金だ。特に**「日本XX会」が束ねる民間医療機関に手厚く、それがそのまま ”票” に繋がるという構図が続いている。

 **逆に大学病院など公的な機関は予算を削り込まれ、研修生が "無給" で働かされるブラック化が進む。それなのに今の受験における「医学部」人気は尋常では無い地方の国立大学医学部に入るのに東大と同等の学力が求められるという。私立の医大を出すには6年間で2億円かかるというが、本当に元が取れるのか? かつて「高給取り」の代名詞だった銀行員「金利の自由化」を経て給料は激減、今では就職希望ベスト10にも入らない。「規制」に守られた医療も同じ運命を辿るのは必定と思うが...お医者さんは立派な仕事だが、これからはよほどが高くないと厳しい気がする。

 今朝(11/18)も「20代・30代にも介護保険負担を」なんて "とんでもニュース" が飛び出したが、こんな事を続けていたら政権が持つまい"羊のようにおとなしい日本人" も声を上げる時が来ている「円安」「インフレ」をきっかけに色々なことを見直す良い機会だろう。「これまでと同じ生活」は続けられなくなってきている


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