「CPIの誤謬」。- 日本で「賃金」が上がらない理由。
「CPIさえ下がれば庶民の騒ぎは収まる」。
そういうたかをくくった態度が見て取れる。 "技術" 的には2022年度の補正予算29兆円で電力会社へ「補助金」を出すことに起因しているが、この "技術" が曲者。経済効果は一人当り29万円の「給付金」と一緒だが、本来物価やCPIとは全く関係がない。
”リアル” な体感物価は+6%を超えている ↓ 。
これと似たような "CPI操作" がここ数年頻発。代表例が「GOTOキャンペーン」だ。これまた政府による「補助金」で ”見た目” ▼30%以上値引きされた旅行代金がCPIに算入され、▼1%も名目値を引き下げた。
??? うちの奥さんが iPhone 利用者で買換えを考えているが、14万円を超える14シリーズが高過ぎるので今と同じSE(8万円前後)を検討中。ところが、総務省のCPIの中では値下がりしているらしい(苦笑)。
これは「機能性評価」という "マジック" で、新製品などで付加価値が上がった分を「値下がり」と判定している。自動車や他の機械製品でも同じなので新商品を出し続ければ「値段は上がらない」?
この他にも「帰属家賃」で、建物劣化で年平均▼1%下がる家賃が5年後に同じなら、米国式CPIでは+5%になる。これも日本では扱いが違うようだ。
ここまで ”リアル” な物価と開きが出ると「CPIの誤謬」と言える状態。これを政府や首相が大手を振って通そうとする点に、この国の病巣の根深さが覗える。当然 Beneficiary(受益者)が存在する。今なら:
財務省と現・日銀総裁(低金利)と企業経営者(低賃金)
「補助金」の企業向け給付を「物価引下げ」に転換するアイデアはどこかの ”賢い” 官僚が政治家に進言したのだろうが、はっきりいって浅知恵。それどころか「失われた30年」の根本原因となっている。日銀総裁が「来年のCPIは+1~2%に低下する」と根拠不明な発言をしているのも、ひょっとすると「CPIなどどうにでもなる」の裏返しのようで訝しい。
これはCPIに限らず、建築物の構造計算データ改竄や自動車の検査不正、食品の産地偽装も全て根っこが一緒。目先の "都合" を優先させ問題を先送りした結果、ツケが大きくなった。CPIの場合は「利上げ」が遅れ、とんでもない「円安」となって返ってきた。
昭和の高度成長が前提となって組まれている日本経済は「賃金」も「年金」も全て物価=CPIに連動している。だが20年もの「デフレ」を経て「お金」に窮した政府も企業も「低物価」志向に陥ってしまった。
2016年以降、人手不足による人件費上昇で「インフレ」に転じた時 ↓ モデルチェンジ出来なかった。それが "操作" に走らせた原因だろう。
日本は仮にもG7の一員であり「市場主義経済」を標榜している。「信用」を基準に動いているマーケットで「嘘」は御法度。給料も上がらず「失われた30年」はある意味「嘘」の代償であり*マーケット軽視の報いでもある。
CPIは「損切丸」のシリーズになって来た感もあるが、その甲斐あって(苦笑)国内の雰囲気も大分変ってきた。こういう「嘘」「操作」に気付いてきており、来年春闘の「賃上げ」要求もCPIの+3%ではなく「体感物価」に近い+5%を目指すという。気が付いていようがいまいが、このままでは #政府に殺される 。
29兆円の補正予算と同時進行で:
こんな事をしれっと言われたら、羊のようにおとなしい国民でもさすがにキレる。薄く広く集金した「お金」を自分の「お友達」だけに配る政策はもう限界。兎にも角にも「信用」を取り戻すことが先決だ。
その第一歩として「CPIの誤謬」を解消し、リアルな「体感物価」に近付けることから初めて見てはどうか。メディアも過大な忖度は止めて "事実" を堂々と書けば良い。そうすれば「金利」も「賃金」も「年金」も全て ”正常化” する。 ”ビフォーアフター" で改築・増築を重ねた「昭和建築」はもう建直しの時期に来ている。
一点、物価も賃金も上がる「アメリカ型」と、どちらも上がらない「日本型」はどちらが幸せなのか。|損切丸|note には注意が必要。「賃上げ」が実現して「アメリカ型」に移行すれば「物価」はもっと上がっていく。結果、多額の「預金」「現金」保有は今よりもっと危なくなる。「お金」の使い方は少し訓練が必要になるかもしれない。