私の推し苔④ ホソバギボウシゴケ
今日は、この晩秋の時期に観察したい
私の推し苔、ホソバギボウシゴケをご紹介。
遊歩道沿いの岩の上や縁石の上
人工的な石垣の表面など、
岩に好んで着生するタイプの苔で、
陽当たりが良く乾燥しやすいような環境で
比較的簡単に観察することができます。
乾燥状態と濡れた状態とで変化が著しく、
その変化を簡単に観察できるのが
ホソバギボウシゴケの一つの魅力なんですが、
今回注目したいのはそこではなく、
晩秋の頃合いになると目立ち始める
ぽちっと赤くなっている先端の部分。
実が生っているように見えちゃいますが、
胞子植物であるコケには花がないので
実が生ることはありません。
この赤いぽっちの正体は胞子を飛ばす為の器官。
ホソバギボウシゴケにとっての
お花に相当する部分なんです。
コケには花がないと言った直後に
花に相当する部分だとか言ってみたり
ややこしくてスイマセン笑
苔愛好家は胞子を飛ばす為の器官、胞子体を
苔の花と呼んで愛でるのです。
このデザインがたまらんのです(^^)
チョンと尖った赤いベレー帽のオシャレさん。
ホソバギボウシゴケという名前の響きって
なんだかちょっと聞き慣れないと言うか…
(コケの名前は大体聞き慣れないと思うけど笑)
分かりやすいところで言うと、
ジャゴケとかネズミノオゴケとかは
見た目の印象からダイレクトに命名されてるので
名前の響きだけでなんとなく想像できますよね。
ホソバギボウシゴケは、
細い葉っぱの…ギボウシ…?なにそれ?
ってな具合で全然分かりませんでした。
でも、由来を知るとなるほど、納得!
ギボウシは漢字で書くと擬宝珠と書きます。
神社の橋や欄干の柱の先端にくっついている
スライムのようなアレのこと。
(例えが幼稚でスイマセン笑)
ホソバギボウシゴケの赤いベレー帽が
この擬宝珠にそっくりというわけです。
来年の春には赤いベレー帽を脱ぎ捨てて
胞子を飛ばし始めます。
神社の擬宝珠もパカっと頭が開いて
何か飛ばしてたりするかもね…笑
今日は強烈な寒気が入ってきて
突然の冬本番モード。
ホソバギボウシゴケの赤と緑に
雪の白が加わってクリスマス先取り気分です笑
さすがに湿り雪で結晶は見れなかったけど、
湿った雪の粒も拡大して観察してみると
思いの外キレイなんですよ(^^)
しかし、寒いっ!
冬本番に入れば-5℃だろうと-10℃だろうと
元気モリモリで全く平気なのに、
この季節の変わり目の5℃とかの方が
よっぽど寒く感じます。
せっかくの状態の良い推し苔だったんですが、
身体がついてこず早々に撤退…。
また晴れた日に改めて楽しむとしよう。