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群青と母

自分の家族はとてもドライ。
世の中には親友みたいな親子関係もある。
そうした家族に憧れた事もあった。
でも大人になった今は丁度いい。

幼少期のころ当たり前だったことが、大人になり、その当たり前のカラクリに気がついた時、親の偉大さと、愛情を感じたりする。
今日はそんな思い出を書き留める事にしてみる。

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小学1年生の夏。
うちは子供4人と、父と母の6人家族で、子供の頃に母にどうしてうちはお誕生日会をしないか尋ねた。
「6人も家族がいるのに、全部のお祝いをしたら2か月に一回お誕生日会を開くことになるでしょ?そんなのは大変だよ」と言われて妙に納得したのを覚えてる。
なので基本的に、誕生日にオモチャやゲームを買い与えられる事はなかったと記憶している。

隣の家の子はよく自慢をする子だった。
流行りのオモチャの新作。
みんなが夢中のゲーム機。
文房具も沢山持っていて、筆箱は最新式。
いいないいなって毎日おもちゃやゲームを見せてもらっていた。

中でも1番羨ましかった一品がある。
それは[天の川のかけら]だ。
その[天の川のかけら]は、ガラスの小瓶に入っていて、青い砂みたいな物だった。
七夕に「天の川のかけらを下さい」と短冊に書いて飾る。七夕が終わるとその短冊に小瓶がぶら下がってるというカラクリだと教えてもらった。

自分も真似をする事にした。
短冊に、天の川のかけらをください。と短冊に書いてベランダに飾った。
明くる朝、起きてベランダを見ると、小さなプラスチックのフィルムケースに、きれいな[天の川のかけら]が入っていた。
うれしくて母に[天の川のかけら]を見せ大喜びしてた記憶。
その貰った[天の川のかけら]は、隣の子の物よりずっとずっと青く、ずっとずっと綺麗な青い砂だった。
自分は何年も、七夕には短冊に同じ願いを書くのが定番になり、天の川からの贈り物を毎年楽しみにしていたのだ。

母は昔、日本画を描く人だった。
母の作品の多くは群青で書かれてた事を思い出したのだ。[天の川のかけら]は母の画材、群青を混ぜた物だったのだと、最近になって気が付いた。

難しい性格をしてる母
普通とは一味ちがう母
自分が今でも、異常に群青が好きなのは、母の影響な事は明らかだ。

次の母の誕生日には群青の小物でも選ぼうと思う。多分ね。忘れなければ。

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