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平安女性に学ぶ。自分を守って充実した毎日を送る私なりの答え

古典文学『とりかへばや物語』を読んで女性として、人として、物事への不満を少なく、自分の毎日をどんな風に充実させるかを考えた。

↑この作品はKindle Unlimitedで読めるよ。原文の意味や雰囲気を残しつつ、分かりやすさ・読みやすさを重視した現代語訳になってる。古典の知識がなくても小説みたいに手軽に読めた。

あらすじ

平安時代、ある貴族のもとに2人の子供が生まれた。母親が違うけど2人はとても美しく、双子のように見た目がソックリ。兄は貴族女性のように和歌や芸術が好きで、妹は男の子に混ざって武芸に励む。父親はこの2人を「取り替えたいなぁ」と思いながら、男の子を「姫君」として、女の子を「若君」として育てる。成長した姫君(男)は宮仕えをして、若君(女)は才気を発揮して出世。そんな兄弟の平穏な生活を崩していく出来事が次々と起こる。平安貴族社会で兄弟がどう生きていくのかが描かれている。

平安時代の人の想像力すげぇ!!この時代に男女入れ替わりの話があるなんて!古典文学で色んな作品を読んでいるのだけど、古典ってレベルが高い。

今も多くの人に読まれて、教科書に載る名作が平安時代に生まれている。『竹取物語』は日本初のSFと言われているし、『源氏物語』は今で言えば少女漫画のようだし、『枕草子』はセレブに仕えるお仕事エッセイ、『方丈記』の鴨長明かものちょうめいは日本最古のミニマリストと呼ばれることもある。

今回読んだ『とりかへばや物語』は「性」の在り方、「女性」の生き方について。今の私たちが考えていることを、800〜1,000年前の人も考えていたのが驚きだ。平安時代が最先端な考え方だったのか、人間の心は1000年前の過去も、今も、1000年後の未来も変わらないのか。

古典文学は淡々とお話が綴られているんだけど、なぜか先を読まずにはいられない不思議な魅力がある。

『とりかへばや物語』には、女好きで最低野郎の宰相中将(※)がいる。彼は主人公の若君(女)の奥さんと不倫関係になった挙げ句、若君が女と知った途端に無理矢理関係を結ぶ。中将、マジ最低。

若君とその奥さんが妊娠。若君は男のフリが出来なくなり人生を狂わされる。中将、マジ最低。

中将はその女性たちを思いのままに出来たと喜んで、2人の女性を庇護するけど、若君(女)は生まれた息子にしか愛情がなかった。でも若君は理由があって息子の前から姿を消す。中将は家に帰ったら若君の姿がないから大慌て。彼はクズ男からストーカーになる。若君(女)、中将と若君の兄がどうなったのかはネタバレになるので伏せる。

(※)物語が進むたびに、役職名が変わっていくから混乱しやすい🫤

設定がすごい。登場人物たちに容赦ない感じがする。

若君(女)は女性にも、男性にもあまり関心がないように見えた。「人」として相手を好む感じがする。女性が男性の中で”男性”として働く辛さや心理描写は無く、淡々と描かれているからこそどんな気持ちだったのかと想像力が働く。

それにしても平安時代の人たちはすぐ惚れて、すぐ飽きて、すぐ失恋から立ち直って、すぐ出家。ある意味潔い。実際の貴族には、奥さん一筋な人もたくさんいたと思いたい(『枕草子』に出てくる一条天皇みたいに)。

歴史や古典を勉強する前は、「平安時代の女性は政略結婚させられて可哀想。」と思ったけど、今は少し違う見方をしている。

たしかに政略結婚させられ、政治の道具にもされ、女性を所有物にする男性に対してはアンパンチしたくなる。「時代だ」と一言で片付けるにしても、私が貴族の娘ならそんな扱いは嫌だな。

でも貴族女性たちは教養と芸術を磨き、男性たちに馬鹿にされない努力もしていたんじゃないかなと考える。普段は父親や旦那さんの言うことに従いながらも、芯を貫く時は意見をハッキリと主張する。それが和歌や『枕草子』にも書かれているのを見て、ただ「世知辛い」と思って生きたわけではないのかもしれないと思った。想像だけど。

男性は力で女性を支配したかもしれないけど、女性は知恵と知識で男性に対抗した気がする。力はいつか衰える。諸行無常しょぎょうむじょう盛者必衰じょうしゃひっすい。だけど知恵と知識は学ぶ限り増えるし自分の糧になっていく。ある意味、この時代の女性は強かったんじゃないかと私は思う。

私がこの時代の女性に学ぶのは、知識と知恵はつけ続ければ、世の中の理不尽や不満から自分を守ることができる。

無知のままだと、与えられたものや目に見えるものでしか判断できないから、不満が増える。誰かが自分に何かをしてくれないかと期待ばかり。恥ずかしながら20代の頃の自分がそうだった。あの時は本当に、毎日が楽しくなかったな。

知識や知恵をつけ始めてからは、物事の見え方を変えられて不満が少なくなった。他人基準の「幸せ」ではなく、自分基準の「幸せ」を見つける工夫ができるようになってきたと思う。

ああ…いいな、平安文学。沼にズブズブとハマって抜け出せない。なんて幸せなんだ。


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