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楽しく読めて難しくない!『枕草子』オススメ5作品


 ・学校に行っていたのに、居眠りして古典の授業聞いてない
 ・「枕草子?春はあけぼの…やった…よな?」くらいしか知らない
 ・文法や教科書みたいな堅苦しい内容を読むとしんどくなる

私がまさにこれ!学校にはほぼ、弁当食べるためと居眠りするために行っていたようなもの(ドヤ顔で書いているけど、誇れることじゃない)。

大人になってから『枕草子』に興味を持って、もっとたくさん読んでみようと思った時に本探しに苦労…。本屋大賞みたいに話題の本じゃないし、好きな人も少ないから、どれがオススメなのか分からず、手当たり次第に読みました。その中から楽しく読めて、難しくない『枕草子』5作品を紹介。日本の紙の本が手に入らないため、Kindleで読めるものだけを集めています。

作品はお気に入り順に並べています。原文や教科書に近い内容の本は、頭に入らず読むのが辛いので最初から読んでいません。


1.『本日もいとをかし!!』 小迎裕美子

難易度:★☆☆☆☆
楽しさ:★★★★★
学び :★★★☆☆
共感 :★★★★☆

『枕草子』に興味を持ち、清少納言に憧れるキッカケとなった作品です。「日常あるある」がメイン。1,000年前の人も今を生きている私たちも、同じことで喜び、苛立ち、悲しんでいたんだなって感想を持ちました。清少納言を身近に感じます。とっつきやすく、笑えて、気楽に読めるので、全く『枕草子』のことを知らない人も楽しめます。

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清少納言は辛口発言なんですが、”その人”に苛ついているんじゃなくて、その人の”行為”に苛立つことを書いている気がします。

”その人”をトピックにしたら、”その人”の存在を否定する言葉に繋がります。だけど、その人の”行為”をトピックにしたら、読んだ人それぞれに当てはまる誰かを連想するから、「あるある!」と笑って頷けるんだろうなって。

この漫画家さんの絵が好きで、繰り返し読んでいます。『紫式部』版もあるので、興味がある方はぜひ読んでみて下さい。清少納言とは少し違った雰囲気で、現実的な考えの式部にも共感すること間違いなし。

2.『枕草子のたくらみ』 山本淳子

難易度:★★★☆☆
楽しさ:★★★☆☆
学び :★★★★☆
共感 :★★★☆☆

文章だけの作品で言えば、これが一番お気に入りで再読。時代に翻弄されたセレブの定子と家族。清少納言が『枕草子』に込めた「ウラ話」を知ることができます。楽しそうな、キラキラした随筆の裏側で悲しい出来事がいくつも起こっていたそう。壮大な物語を読んでいる気分でした。

著者さんは『枕草子』の随筆と歴史的背景の見比べながら、清少納言が『枕草子』を書いた本当の理由や定子と清少納言の友情を、物語のように書き綴っています。『枕草子のたくらみ』の意味が分かった時、涙がでました。まさか古典で泣くなんて…。

この作品での難しい部分は、藤原家の名前が似ている、家系図、時代背景、貴族の階級です。1回目は流し読みしたので、関係図や出来事に混乱しました。2回目は、登場人物と簡単な特徴を書いて整理。物語が一気にドラマティックに感じました。好きなセレブとその付き人、の設定で読み進めると抵抗が少ないです。


3.『枕草子 いとめでたし』 天野慶

難易度:★☆☆☆☆
楽しさ:★★★★★
学び :★★★★☆
共感 :★★★★☆

Kindle Unlimitedで読めます。歴史や歴史上の人物に興味を持ったときは、まずは子供の本から読むようにしています。難しい言葉も内容もなくて、解説も優しいから読みやすいんです(流し読みできます)。

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『枕草子』がどんな内容で、作者の清少納言はどんな人なのかを軽く学ぶ「入門書」みたい。この本を読んでみようと思ったのは、絵が可愛いから。清少納言、スズメ、ちごうり(ちご{子供}の顔が書かれた瓜)のキャラが、随筆の解説を丁寧に教えてくれます。豆知識はつい、誰かに言いたくなります。

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好きなのは「古典お役立ち資料集」の特集。平安時代の服装、身の回りものを絵辞典で表現されています。「大内裏」、「東宮」、「女房」などの言葉の意味も、子供向けに分かりやすく書かれています。旧国名や古典の言葉辞典も役立ちそう。


4.『まんがで読む 枕草子』 学研教育出版

難易度:★★☆☆☆
楽しさ:★★☆☆☆
学び :★★★★☆
共感 :★★☆☆☆

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少女漫画のような絵が好きな人にオススメ。学研が出版しているので、「学び」の要素強め。ドラマティックな内容で、教材寄りに描かれた漫画です。最初に紹介した『本日もいとをかし!!』とは真逆の空気感。写真の絵はカラーですが、途中からモノクロに変わります。

5.『枕草子/ビギナーズ・クラシック 日本の古典』 角川書店

難易度:★★★★☆
楽しさ:★☆☆☆☆
学び :★★★★★
共感 :★☆☆☆☆

「これ、初心者向け?違う?」と表紙を見返したほど。私には難しかったです。教科書に近い内容で、とことん『枕草子』を知りたい人にオススメ。または、原本に挑戦したい人のウォーミングアップのために読むには向いていそうです。

【番外編】無理だった…読むのを断念した『枕草子』

『ヘタな人生論より枕草子』 荻野文子

この作品を気に入っている人からすれば、ムッとされちゃうかもしれません。でも、ごめんなさい!私は、この本との相性が合わなかったです。百聞は一見にしかずなので、未読の人は本の試し読みをオススメします。人によって、受け取る印象が変わるはずなので。

『枕草子』の随筆の解説が2〜3ページあるのですが、その半分が著者さんに起きた出来事の不満を書き綴っているように感じました。清少納言のようなキャラで書き綴っているのかもしれないのですが、「今の若い人は…」みたいに、チクチクと小言を聞かされている気分になって、読むのが辛くなったのが正直な感想。「人生論」という言葉に惹かれて買ったのですが、人生のアドバイスや学びはわずか数行でした。

取り上げている随筆がネガティブなキーワードだから、解説も自然とそうなるだけだ!と、ポジティブな方も読んでみたのですが…あまり良い気分になることはできませんでした。

逆に興味が湧いて、著者さんについて調べてみました。荻野文子さんは駿台予備学校、代々木ゼミナール、東進ハイスクールで古文の講師を務めた経験があって、「マドンナ古文先生」と呼ばれています。高学歴な彼女を、学歴がなく勉強もできない私が偉そうに文句を言ったら怒られますね。


色んな『枕草子』を読んで面白いと思ったのは、現代語訳する人によって清少納言という女性のイメージが変わります。ある本では、強気で毒舌。ある本では、繊細で愛情深くて才気ある女性。

イメージが変わっても、どの性格で描かれても全部「清少納言」なんだろうなって、違和感なく受け入れられるのが不思議。訳す人が、それだけ清少納言に想いを馳せているからなのかな。Kindleにない本も読んでみたいので、何かオススメがある方は教えて下さい!


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