なぜ、退職金制度があるのか?
多くの企業で導入されている退職金制度。
「あと5年勤めればこれだけ貰えるぞ!」と、夜な夜な計算したこともあるのでは?笑
ただ、改めてその目的や効果は何かと問われれば、意外に説明が難しいものです。
解説します。
退職金制度の狙いは「退職後の生活保障」と「長期勤続の奨励」
退職金制度とは、退職する際、その働きに応じて退職者に金額を支給する制度です。
その内容は各社で異なりますが、多くは勤続年数、等級、役職などの要素を考慮しながら、組み合わせで算出されたりします。
では、退職金制度はどんな狙いで導入されているのでしょう?
狙いは「退職後の生活保障」「長期勤続の奨励」の2つです。一つずつ見ていきましょう。
1つ目の狙いである「退職後の生活保障」です。
終身雇用が前提だった時代、長期雇用慣習のもとでは企業が従業員の退職後の生活保障も考慮していました。
言い換えると、終身雇用の延長線上にある「老後の所得保障」として退職金制度が導入された訳です。
ただ、終身雇用という前提が崩れた現在、もう1つの狙いである「長期勤続の奨励」の目的の方が強まっています。
企業としては、採用コストをかけて獲得した従業員に早期離職されるのは困ります。
だから、従業員に長く働いてもらうため、勤続年数に応じて退職金の支給額を多くする制度を設け、長く働くことへの動機付けを狙っている訳です。
また「優秀な人材確保」という狙いで、退職金制度を導入している企業もあります。
就職・転職でも、退職金制度が入社意思に影響
日本では、多くの企業が退職金制度を導入しています。
少し前までは国内7割超の企業が導入するほどで、求職者は「退職金制度はあって当たり前」と受け止め、入社意思を固める際にその有無を気にする場面がありました。
また、制度がある=支給する余裕がある=経営が安定している、という印象へと繋がります。
本来、企業は退職金を用意する「義務」はありませんが、こうした背景から未だに多くの企業が退職金制度を用意しているのです。
このように退職金制度は従業員にとってメリットの多い制度です。
退職金制度導入は、経営的にリスクがある!?
しかし、退職金制度は多くのメリットを享受できる一方で、経営的には一定のリスクがあり、導入に悩む点も多いものです。
例えば、資金繰りの問題です。
例えば、ある日突然、大量の従業員が自己都合によって退職となったとしましょう。
そうなると、多額の現金を支払わなければならず、急に資金繰りが厳しくなる可能性もあるのです。
退職金制度の導入は、こうしたリスク面も考慮しながら慎重に設計する必要があります。
制度設計や導入の際は、メリットだけではなく、こうしたリスク面も考慮しながら検討したいですね。
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