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取締役と執行役員、何が違う?

「え、どっちも役員でしょ?」「取締役の方が偉い・・・?」

普段あまり接点がない役職だけに、違いを説明しようとすると、意外にも難しかったりします。

最近はCxO(Chief x Officer)という役職も登場し、より一層、違いが分かりにくくなってきています。

解説します。


違いを知るための鍵は「会社法」


まず、取締役と執行役員との違いを整理してみましょう。


取締役:
経営方針などの決定権を持っています。まさに経営の責任者です。


執行役員:
取締役の決定に基づいた業務執行者です。経営方針などの決定権は持っていません。


つまり、両者の違いの一つは「経営方針」などの決定権を持っているか否かにあります。



これら違いをより深く知るための鍵は「会社法」です。

会社法では、取締役、会計参与、監査役の3つが役員と定められていますが、執行役員は任意設置の役職で、会社法による定めはありません。

つまり、執行役員は会社法では"役員"ではありません。

また、取締役が会社と結ぶ契約は委任契約ですが、執行役員は一般社員と同じく雇用契約を結んだ立場で、法律上の扱いも従業員なのです。


取締役と執行役員、責任の重さも違う


詳細は割愛しますが、取締役は「取締役の第三者責任」と呼ばれ、会社以外の第三者に対して損害賠償責任を負うことがあります。

例えば、取締役が任務を怠り、第三者に損害を与えたとしましょう。

そのとき取締役は、責任を追及され、損害賠償責任を負うことがあります。

この責任の重さも、両者の違いのひとつです。


執行役員の設置目的は、経営と業務執行の分離による意思決定のスピード向上


こう見ると、取締役と執行役員は違うことが分かりますよね。では、何故わざわざ執行役員を置くのでしょうか?

答えは設置目的にあります。

執行役員を設置する目的は、「経営と執行の分離」です。

執行役員に現場の業務執行を任せることで、取締役への業務集中を避け、意思決定のスピードを早めることを狙っています。

同時に、分離することで、経営の健全性や透明性の向上も狙っているのです。


執行役員とCxO、何が違う?


さて、ここまで取締役と執行役員の違いを見てきましたが、最後にCxO(Chief x Officer)との違いを見てみます。

CxOは「最高○○責任者」と言われるように、特定の業務・機能の責任者のこと。

CxOも会社法に定められた役割ではありません。従って、取締役に任命されていない限り、法律上の扱いは従業員です。

では、同じ従業員という立場でありながら、違いはどこにあるのか?


もともと執行役員は、取締役に代わって、事業の陣頭指揮を執る立場として期待されていました。

この観点で、CxOも事業の陣頭指揮を執る期待は変わりません。

ただ執行役員と比べて、CxOは経営者およびその道のプロの観点を持ち、全社的な視点で企業価値や戦略を提言する点が大きな違いです。

加えて、ある特定領域(人事や財務など)の最高責任者という立場を明示することで、社内外に責任の所在をわかりやすくなり、情報集約・指揮系統の強化や信頼感を高める効果もあります。

こうした意図があり、執行役員とは別に、昨今CxOという職種を導入する企業が増えてきているのです。


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