🚲【ゲストコラム】自転車冒険家・西川昌徳さん「私が旅をする理由」 ②〜過去の旅とこれからの予定〜

オージーケーカブト

2022年8月11日 09:17

オージーケーカブト公式noteです。
オートバイ用／自転車用ヘルメットのメーカーとして、各ジャンルのライダー、アスリート、個人やチームのヘルメットをサポートし応援しています。

いまKabutoが応援する、各シーンで頑張っている「人」を通じ、その方が関わる世界をより深く知っていただきたく、ご本人によるレポートやコラムなどを掲載しています。

今回は、競技ではなく自転車で「旅」をする、また自転車を通じて子どもたちとも関わる西川昌徳（にしかわ・まさのり）さんに執筆いただきます。（第２回目/全4回予定）

MOUNTAIN BIKE JOURNEY2022の小学生チーム。この写真は北海道・網走で友人が差し入れをもって応援に来てくれたときのもの。みんなが旅を見守ってくれます。みっちゃんありがとう！

（▼第１回自己紹介編）

🚲これまでの旅とこれからの旅

オージーケーカブトnoteをご覧の皆さんこんにちは。
北海道からこのお便りを書いています。
ちょうど今、子どもたちと自転車旅をするためにこの土地に来ていて、ちょうど今日（執筆時点、8/9～）から中学生とともに北海道を走る22日間の旅がはじまります。
今日は、この僕がやってきた子どもたちとの旅について書こうと思います。

小学6年生と四国一周をしたMOUNTAIN BIKE JOURNEY2020のゴールシーン

　子どもたちとともに出かける自転車旅MOUNTAIN BIKE JOURNEY（マウンテンバイクジャーニー）は、2018年からはじまりました。
子どもたちにとって、これから生きていくうえで大きな自信となるような、自分の人生を生きていくうえでの助けとなるような、そんな旅をともにやりたいと思ってはじめたんです。

　旅って人生に似ている、と僕は思っています。予定どおりにいくこともあれば、突然のトラブルに見舞われることも。けれど思いがけない素敵な出会いで一気に世界が広がるようなこともあります。良くも悪くも、起こることをどう受け止めるか、そしてそれに意味を見出すか。それが旅だなと僕は思うのです。

🗻MOUNTAIN BIKE JOURNEY（マウンテンバイクジャーニー）

　子どもたちとの旅をはじめるにあたって、誰が聞いても分かりやすい「おお！そんなところまで！」と言ってもらえるような旅のルートを考えて出てきたのが、“日本一低い山から日本一高い山まで走ってきた”というイメージ。日本一高いのはもちろん富士山で、日本一低いのは諸説ありますが、立地的に大阪の天保山という山を選びました。

MOUTNAIN BIKE JOURNEY2019夏のスタート地点天保山にて。まだちょっと緊張している様子がとても懐かしいです。この子たちは今では中学3年生になりました。

　旅の名前はマウンテンバイクジャーニーにしました。もちろんマウンテンバイクで旅するからこの名前なんですけど、実は山と山を繋ぐからマウンテンバイクジャーニーという意味合いもあるのです（オヤジですみません）。

　はじめの2年間、夏に小学6年生たちと富士山の旅をしました。そして2年目からは小学生とは別に中学生とともに自転車旅をはじめました。
5年目のいまでは、いまざっと振り返って12回ぐらい子どもたちと自転車旅をしてきました。

MOUTNAIN BIKE JOURNEY2019ゴール地点の富士山頂を目指して登山しているところ。頭が痛くなったりしたけれどほんとによくがんばりました。

🗾一生に一回だけの自転車旅

　僕の旅は、一生に一回しか参加できないという約束なので、だいたい50人の子どもたちが僕の旅を卒業していったことになります。
いまでは卒業生たちが僕の旅のサポートに一緒に走ってくれることも増えてきました。人生のバトンがつながれていくようで僕はとても嬉しいです。

中高生3名とともに1ヶ月かんでタイ〜シンガポール2500kmを走った旅の帰国後、
お迎えのご家族と共に記念撮影。

　僕の旅はこんなスタイルです。毎回5名を定員として、スタッフも僕ともう1人だけ。サポートカーはつきません。毎日の宿泊先も何も決まっていません。決まっているのはスタートとゴール地点、そして日にちだけ。保険みたいなものが僕は好きじゃないんです。

　大きな一歩を踏み出した子どもたちはもちろんとても不安で、心配で、途方もないことに踏み出してしまったような気持ちになります。けれど、この旅に踏み出そうと決意した仲間たちとともに、寂しさも、しんどさも、そしてもちろん喜びも分かち合いながらゴールを目指して走っていく。

MOUNTAIN BIKE JOURNEY2022 ひたすらまっすぐな道を走る小学生メンバーたち

　分かっているから、歩むことができる。のではなくて、分かっていないけれど、こわい気持ちもあるけれど、けれどきっと歩めばそこに世界が開けていく、そして自分自身も成長していく。そして何より、ともに歩んでいく仲間がいる。そのことは、不安とともに生きるこの社会において大きな意味を持つと僕は信じています。

MOUNTAIN BIKE JOURNEY2019 キャンプさせてもらった河原を出てスタートするところ。

💝ときどき訪れる素敵な瞬間

　ときどきみんなで大きな世界を見ているような、希望を見ているような、そんな瞬間が訪れます。ずっと寂しくて泣いてた仲間が大きな笑顔をむけてくれるようになったとき。置いてけぼりになりがちだった仲間が必死についていこうとペダルを踏み込む姿。自分の日常をすっかり忘れて旅の仲間が家族みたいな当たり前みたいな感覚になっているとき。そして美しい景色や、美味しいものや、素敵な人に出会ったとき。

MOUNTAIN BIKE JOURNEY2022北海道　利尻富士をバックに
手づくりの夕食をみんなで食べているところ。

　人生を歩むということは、もちろん勉強したり、受験したり、就職したりという物差しで動いていることがあります。けれども、僕が自分の人生を生きていて、つらいとき、くじけそうなとき、それでも自分がなにかに踏み出そうともがいているとき。そんなときに自分を支えてくれるのは、こんな旅で拾い集めてきた希望のようなもの、そんなように思うのです。