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スタートアップ企業の作り方って?相談にのる時に使う資料を公開【第1回】

伊藤忠テクノロジーベンチャーズ(ITV)小川です。元々自分で起業していたり新規事業開発をやってきたので、知人たちも含めて起業したい人たちや創業間もないスタートアップ企業から「そもそもどうやってチームを作って起業するのか」「事業計画ってどう作る?」「アイデアの出し方や検証の仕方がわからない」「ユーザーヒアリングってどうするの?」「VCって投資するときどこを見てる?」「この事業計画ってどう思うかアドバイス欲しい」などの様々なポイントで相談を受けることが多いですが、私も相手が「ざっくりどこで悩んでいるか・課題は何か」を掴んだ上で「押せばうまくいくツボ」をアドバイス出来るよう心がけています。ご参考までに今まで起業家から相談を受けた時に議論用に適時使ってきた「基礎パワポ資料」を一部順次公開していきます。こんなこと知っとるわい!という人も多いでしょうが、ご自身で「あ、こんなこともあるのね」って頭の体操に使ってください!また、今後皆様からご相談があった時に、場合によってはこの資料を見ながらお話しすることもあると思います。世の中には先人・賢人たちの沢山類似の資料があり、それらを使いやすいように自分なりにアレンジしてマッシュアップしてきた資料ですのでご容赦ください。(また今回シード・アーリー向けになっていますので、シリーズA/B以降の会社には別資料を別の機会にお出しする予定です)
コロナで大変な時期ですが、ZOOM等で相談に乗っていますので気軽にご連絡ください!壁打ち、千本ノック、お付き合いします笑 よい案件であれば投資検討させて頂きます

スタートアップ企業の作り方(プロセス概念図)

下記の私が勝手に作った「Startup Nine Forces」「Five Fits’ Journey」のプロセスに沿って、ポイントをこれから数回に分けてお話ししていきたいと思います。今回は、下記上段の「Startup Nine Forces」での「VC投資の理解からアイデア出し」、下記下段の「Five Fits’ Journey」での「FMFからCPF/PSF」あたりまでの前半部分を公開予定です。宜しくお願い致します!
まず相談を受けるときに、「下記のどこで悩んでいるか」からお話しすると思います!それから、「ふむふむじゃあ、ここから話しましょうか」ってお話しを始める感じです。

図1

■「VC投資の前提理解」の腹落ちが必要

ベンチャーキャピタル(VC)が求めていること、思考回路を理解するのが大事です。求められているのは「急成長する会社」。VC投資は、運用期間10年で投資元本の2-3倍の投資倍率(投資回収額÷投資金額)成果を求められるハイリスクハイリターン投資。実はざっくりのイメージとして、10社投資したら、「1社が5-10倍以上の大当たりホームラン」、「2-3社が3-5倍ぐらいのヒット」、「残りは損してしまう」過酷なビジネス。要はVCは、投資検討時に全ての案件で「5-10倍以上のホームラン案件」になるか見ています。もっと過酷な現実としては、実際は20-30倍以上の特大ホームラン案件がファンドに複数社入っていないとファンドとしては成功しません。

図2

■チームの結成力と団結力をつける

創業メンバーの強さが絶対的に大事です。例えて言うなら、未知のジャングルや戦時中の戦闘態勢の時に、どういうメンバーと一緒だったら生き延びるのか。

図3

■起業の「想い」モチベーション・強さ

後でも出てきますが、Founders Market Fit(FMF)と呼ばれる創業メンバーがチャレンジするビジネス領域に通じているか強みがあるかも滅茶苦茶大事で、その上でどうしても起業して実現したい夢や解決したいProblemやPainが強烈に「想い」としてあるのが、絶対的に必要です。そうでなければ続かないし、負けてしまうと思います。要は、得意で情熱が持てることをやれ、と。

図4

■「ビジネスアイデアの出し方・磨き方」を極める

何らかの解決したい課題ProblemやPainをどうしても解決したい「想い」を元に、具体的にイケているビジネスアイデアを出していくには、頭の使い方や発想方法にちょっとしたコツがあります。この段階から相談に乗ることも多いので、下記を良くアドバイスします。

図5

■具体的なアイデア出し・アイデア磨きの手法

いわゆる100本ノックですが、言葉を選ばずに言うと、全く新しいものは存在しないと割り切って、臆せず良いビジネスを参考にしまくることをお勧めします。参考の仕方が大事で、海外事例を先に持ち込んだり、先行事例を改良したり、組み合わせを変えたり、ポジションをずらしたりするといった工夫が必要です。

図6

■アイデア出しの秘伝のレシピのひとつは、「参考にしまくる」笑

二番煎じ、米国成功事例追随、全然OKです。後から出た方が改良出来て先頭ランナーを追い抜けますね。

図1


■アイデア出しの秘伝のレシピのひとつは「順列組み合わせ」

例えば、わけわかんないけど「××業界のメルカリ」とか、なんかわかりやすくてワクワクしたりしますね笑。ちょっと笑っちゃうような組み合わせを考えるのも頭の体操に良いです。ちなみに僕の起業した会社3Diは、「(Second Lifeの様な)仮想空間業界」の「Red Hat」でした笑。Red Hatは、オープンソースのLinuxをパッケージに組み上げて提供するディストリビュータでしたが、3Diもセカンドライフそっくりの仮想空間を実現するOpenSimulatorというオープンソースに独自ツールを組み上げて、パッケージとしてB向けに提供するディストリビュータでした。因みに最初からそうだったわけでは無く、喧々諤々揉めて最後に舵を切りました(Pivot)。これはどこか別の機会にでもお話ししたいと思います。

図8

■「(賢い)人に会いまくる」「ブレストしまくる」「考えまくる」

賢い人に会いまくる、想定ユーザーから声を聞きまくる、業界関係者が集まる会で一気に人脈作るなどの、直接会って足で稼いだ情報が非常に大事です。後々のビジネス展開の人脈にもなりますし。「考えまくる」については、死ぬほど考えてしばらく寝かせる名著「アイデアの作り方」をご参照あれ。

図9

■(参考)米国著名アクセラレータのYcombinatorの「How to Evaluate Startup Idea」

は良く解説が出ていますので他のサイトをご覧あれ

図10

■(参考)巷に溢れているアイデアチェックは「気付き」に使う

天邪鬼的で恐縮ですが、「スタートアップが避けるべき7つのアイデア」等、一瞬はっとさせられるものの良く考えると判断基準が主観に依存しオカシイものも多々あり、あくまで「気付き」に使う感じです

図11

■一連の流れを理解するのに必須の3つの書籍

特にネット・IT系の会社であればこの3つはこの順番に繋がって理解が必要で、3つとも必読書。ネット・IT系以外のディープテックやバイオ・医療系などはまた別の書籍が良いと思います。
アントレプレナーの教科書
リーンスタートアップ
グロースハック完全読本

図17

■ビジネスモデルキャンバスは結構便利

これも解説は巷に沢山あるので他のサイトをご覧いただくのが良いかと思いますが、初期的にチームでうんうん唸りながら議論するのに適していますね。時々使います。

図12

■アイデア出しからビジネスモデル議論に使うと便利な議論用の基礎ツール

これも巷に沢山ありますが、基礎的な議論用のツールはホワイトボードなどでチームで議論するときにとても便利です。議論しているときに、同じことを言っているのか、実は違うことを考えているのかわからなくなったり、問題点が見えなくなった時に良いですね。僕が良く使うのは、ユーザーヒアリングなどの論点だしにロジックツリー、市場規模推定や売上推定にざっくり算出するフェルミ算定や因数分解、競合分析の3C/4C/5Cです。それぞれ何てことない基礎ツールですがチームの議論に意外に便利。使い方はどこかで別途説明します。

図13

■ユーザーヒアリング系はみんなが悩むところ

これは「リーンスタートアップ」などで巷の書籍でもユーザーヒアリングの大切さを説いているものの、「で、ユーザーヒアリングって具体的にどうすればいいのか?何かコツがあるのか?」ってかなりの人が謎に思っていると思います。経営コンサル会社やマーケティングなどの経験がある方は土地勘があるかと思いますが、慣れていないとユーザーヒアリングがなあなあで、答えが出ていない、意味をなさないケースが多いため、間違った方向に行ってしまうリスクが非常に高い、恐ろしいところだと思っています。僕も相談された場合、真剣に議論に付き合って想定される答え(仮説)出しにお付き合いするケースが多いです。
下記の3つのプロセス、特にCPF(Customer Problem Fit)、PSF(Problem Solution Fit)でのユーザーヒアリングは大事です。

図14

CPF(Customer Problem Fit)、PSF(Problem Solution Fit)でのユーザーヒアリングの考え方(例)

下記はチームメンバーとロジックツリーを作りながら、ヒアリング項目を洗い出すときに、よくホワイトボードで書きながら議論する時に使うものです。聞きたい事と想定される答え(仮説)が網羅されているかどうかを確認しながら使います。
①CPF(Customer Problem Fit)は、その顧客に本当に問題が存在するか?
という問いに対して確認していくものです。ターゲットユーザー属性をいくつか決めて、ターゲット市場の類似や競合製品やサービスのことを細かく聞いて何かProblemか見定めてい行きます。
②PSF(Problem Solution Fit)は、その顧客に存在する問題に対してソリューションやサービス・製品が適切かどうか?という問いに対して確認していくものです。機能や価格について聞いていき、「自分だったら買うのか」「他人に勧める?」「購入後、無くなったら困る?」といった質問の工夫もします。
③上記のCPFとPSFを経た上で、対象ユーザーセグメントごとの数や売上単価が推定できてくるので「市場規模」と「売上」も一緒にざっくり計算して推定してしまうと良いです。

図16

本日はここまでです。また別の機会に続きを少しお出ししたいと思います。ご相談されたい方は是非ご連絡ください!




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