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【目印を見つけるノート】103. 車で川を下っていったんだ

きょうは必要な用事でお出かけ中です。
明日もそうかな。

⚫長良川下り

昨晩はダムのお話を急遽出しましたが、きょうは以前書いて倉庫にしまってある文章をお出しします。

ちょっと関連があるのかもしれません。
20世紀の終わりに長良川に行ったときのお話です。
(写真は神奈川のとある川ですーイメージ)

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郡上八幡(岐阜)の景色を写真で見て、行ってみたい、と愛知在住の友人に話したら、友人は長良川河口堰(三重)を見たいということで、長良川下りドライブが決まりました。

5月7日、快晴。私が三河安城に着くと友人はもういました。ふと見ると、いつものサニー(車)ではありません。新車のゴルフでした。

え、新車?
ふと、一抹の不安が……。

東海北陸自動車道で一路郡上八幡に向かいます。
5月快晴の光と緑にあふれたドライブがどれほど素敵なものか! 
山の緑が眩しくて。友人はハムなど地元ネタを続々繰り出します。
つばめがスイスイ飛んでいます。

途中で友人おすすめの蕎麦屋で早めの昼食を取りました。古色蒼然としたお店でしたが、有名らしいです。おいしかった。

郡上八幡を散策して、水汲み場や写真の橋も見て、いよいよ川下りドライブです。

美濃市を越えて岐阜市辺りまでは川沿いに道路がありました。山を抜けるにつれ、川は広く緩やかになっていきます。

岐阜市の広い河原で一回車を降りて休憩しました。お城に行けばよかったな。

そこからがワイルドでした。

木曽川、揖斐川がみるみるうちに近づいてきます。道のある側に橋を何度か渡りつつ走りましたが、だだ広い草原の一帯で道路は途切れました。
輪中(わじゅう)という、川中島のエリアです。

「川から離れていいから道路に出よう」と私は言いました。

だって、新車なのです。
でも友人は、「ここまで川沿いで来たから」と言って、河原に進みました。

たぶん数キロだったと思いますが、とんでもないワインディングロードに思えました。小石がピシッ、ピシッと車に当たる音に、「いやぁ!やめてぇ」と心で叫んでいました。

そういえば友人はダートラにはまっていたことがあったらしい……それは分かるのですが、車が適していません。

ワイルドな区間をやっと過ぎた私達の目の前に、丸い奇妙なものが並んで現れました。
そうですね……宇宙ステーションから居住空間ほどのカプセルがいくつも飛び出ているような。
長良川河口堰でした。

私たちは黙りこんでしまいました。
それまで見てきた景色の終点がこれなんだと。

河口堰の中は確か一部見られるようになっていました。入ってみました。
友人は魚道を眺めて、「魚なんかちっとも通っとらんがね」と言っていました。

もう夕方でした。
私たちは車に戻り、桑名の大きな橋を渡って名古屋に向かいました。
濃いオレンジの夕焼けで、他は真っ黒に見えました。

森博嗣さんの『幻惑の死と使徒』(講談社文庫)という小説で、主人公の犀川創平の新車をヒロインの西之園萌絵が運転して、ワイルドに砂利道を走るシーンがあります。舞台もそこそこ近くだと思われます。

「新車なのに」

犀川創平の嘆きの台詞には、「うん、うん」と深くうなずきます。
私ほどあのセリフに深く共感できる読者は少ないでしょう。

運転おつかれさま。

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その後、輪中という治水のシステムに興味を持って、蜂須賀小六(戦国時代の土豪)や平田靱負(江戸時代の薩摩藩士、幕府の命で木曽三川の治水工事を行う)のことを書きたいなと思ったのですが、平田靱負の話は杉本苑子さんがすでに書かれていました。

『孤愁の岸』上・下(講談社文庫)

同じことを考えたのが杉本さんだと知って嬉しかったです。

生まれ育ってきた場所で、川は常に近くにありました。
荒川と隅田川のはざまの俗にいう「ゼロメートル地域」に住んでいたこともありますので、水害も経験しました。

小さい頃、東京区部の川は軒並みとても汚れていて、潮臭い匂いもすごかった。

それでも、川はとても好きです。

東海道新幹線に乗ると、どの辺りか川で確認していたこともあります。
多摩川、鶴見川、相模川、酒匂川、富士川、安倍川、大井川、天竜川、矢作川、木曽川、長良川、揖斐川……高梁川、芦田川、太田川ぐらいまでなら。

そのようなことが積み重なっていますので、川もわたしの人生の大きなテーマなのです。

ブルース・スプリングスティーンの『THE RIVER』も大好きです。今日のnoteのタイトルはこの歌の1節をもじりました。


⚫お籠りクラフトとばら

フューシャピンクを使ってみよう!のシリーズです。この系統、マゼンタをうまく使いこなせたらいいですね。一歩間違えるとたいへんなことに……ですが。

ばらは雨もよいのせいか、あまり元気そうに見えません。

それではまた、ごひいきに。

おがたさわ
(尾方佐羽)

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