渡邉ユカリ@フリーランス翻訳者

英日・日英翻訳者。ホテル勤務、貿易事務職、社内翻訳者等を経て2011年よりフリーランス…

渡邉ユカリ@フリーランス翻訳者

英日・日英翻訳者。ホテル勤務、貿易事務職、社内翻訳者等を経て2011年よりフリーランス。訳書にベン・リンチ著『ダーティー ジーン/Dirty Genes』他。Kindle版著書『翻訳者になるため 続けるためのヒント』 実務翻訳者になるための情報を積極的に発信中。

最近の記事

それでもまだAI翻訳アカデミーを受講すれば英語力ゼロでも翻訳で稼げるのではないかという希望が捨てられない方へ

最初にズバリ言っておきます。この講座には通訳翻訳の業界4団体から注意喚起が出ています。 ・https://jat.org/ja/news/%E3%81%8A%E7%9F%A5%E3%82%89%E3%81%9B ・https://www.jtf.jp/pdf/20231211.pdf ・https://www.japan-interpreters.org/news/sagimagai2023/ ・https://aamt.info/wp-content/uploads/

    • 海外取引の始め方

      海外の翻訳会社に登録するメリットとデメリット: メリット: 英語→日本語の翻訳者の需要が高く、仕事獲得の機会が増える。 複数の取引先との取引で安定した受注を目指す: 日本国内のエージェントとの取引だけでなく、海外エージェントとも取引することで仕事量の波をカバーする。 デメリット: すべてのやりとりが英語で行われるため、コミュニケーションの誤解が生じる可能性。 職務経歴書や契約書も英語で作成する必要がある。 時差により不便な時間に連絡が来ることがある。 支払いの

      • 翻訳者を目指す人が悪徳翻訳講座に騙されないようにするためには(2022年7月JACI同時通訳グランプリ発表資料とスピーチ原稿)

        昨年7月にJACIさん(日本会議通訳者協会さん)に呼ばれ、同時通訳グランプリでスピーカーとして登壇しました。通訳者の方々には、訳しづらい内容を早口で話したのに大変分かりやすい訳出をしていただいたそうでありがとうございました(本人は通訳を聞けない)。 あれから1年と少々経ちましたが、今回、新たな講座が出現して業界を騒がせています。 講座の宣伝方法と内容は少し違いますが、根っこの部分は同じです。発表資料とスピーチ原稿を共有させていただきますので、興味のある方はご覧ください。本

        • 怪しい翻訳講座の見破り方

          翻訳業界には翻訳が「簡単」「誰でもできる」「英語力がなくてもできる」と謳って大勢の受講生を集め、動画教材と受講生同士の交流手段だけを用意してろくに指導もしない翻訳講座が次から次へ現れて問題になっていますが、その特徴、「見破り方」を以下の通りお伝えしますので参考にしてください。 ・英語力が低くても(ゼロでも)翻訳者になれると誇大広告している ・お試しレッスンや授業見学の類が一切ない。あるのは宣伝動画内のダミーの受講生の体験談だけ ・LINEのLステップというしくみを使い、

        それでもまだAI翻訳アカデミーを受講すれば英語力ゼロでも翻訳で稼げるのではないかという希望が捨てられない方へ

          翻訳者になるため、続けるためのヒント

          こちらは2021年8月にJACIさんのセミナーに登壇した際の発表資料です。2021年当時の資料ですのでCATツールの名前など、一部現在とは違う箇所もありますがご了承ください。 翻訳者になるための道筋を示した資料が少ないため、どうすればいいか分からず、怪しい講座に心惹かれてしまう人が少なくないのかもしれません。 スライドだけですが、発表した内容の概要は何となくお分かりいただけるかと。こちらに置いておきますのでご自由にご覧ください。 また、このときの発表がきっかけで生まれた

          翻訳者になるため、続けるためのヒント

          翻訳者が受注時に確認したいこと

           翻訳を「きちんと内容を伝える」ものにするには、クライアントの協力が不可欠です。翻訳にかかわる多くの方が「翻訳は単に文字を変換する作業ではない」と述べていますが、伝わる翻訳にするには文脈が必要です。  そのためには、訳そうとしている素材の背景を知るための情報が必要です。今そこにある文章やフレーズ、単語、文字というのは、それだけで伝えたい情報の100パーセントを伝えていないことがあります。(この話は7/20のstand.fm 朝活で詳しくお話ししています)  例えば映像の中

          翻訳者が受注時に確認したいこと

          海外取引の際のEメール文例集

          私が実際に海外の取引先とやり取りする時に使っている英語です。 状況によってもちろんアレンジしますが、ほぼ毎回この形です。 もしよければ参考にしてください。 ■打診を受けた時 受ける時 Hi XXX, Thank you for the email and the offer. I am available for this task and fine with the content and the suggested deadline. Best regards, [自

          海外取引の際のEメール文例集

          Wordで書かれた原稿をMicrosoft Edgeの音声で読み上げる方法

          4月25日(火)のStand.fm配信でお話しした「読み上げ音声を使った推敲の方法」で使う「WordをPDFにしてMicrosoft Edgeで開き、読み上げ機能を使う方法」について詳細をまとめましたのでよろしければご覧ください。 1. WordをPDFに書き換える(Adobe、Just PDFなどを使う) 2. PDFファイルを右クリックして「プログラムから開く(H)」でMicrosoft Edgeを選ぶか(一時的)、または右クリック>プログラム>変更でMicrosof

          Wordで書かれた原稿をMicrosoft Edgeの音声で読み上げる方法

          翻訳で食べていけるのか問題について

          私は少し前から、中村保晴さんという方のぼくらが集う街「フリーランスタウン」というメンバーシップに参加しています。 フリーランス視点でのビジネスの考え方に関する記事が、翻訳者としても勉強になるものが多く、月額ワンコインの参加費はお得だと思うのでお勧めします。 特にこちらの「『あなたから買いたい』をつくる思考法。」という記事がお勧めなのですが、この冒頭部分で中村さんはこのようにおっしゃっています。 ここ最近、というか以前から翻訳者界隈では「翻訳で食べていけるのか」という話が

          翻訳で食べていけるのか問題について

          翻訳という仕事をするために必要な要素の棚卸し

          「翻訳の仕事をしてみたいのですがまず何から勉強すればいいですか?」という問いに対する答えは、その人の現在の状況によって違います。  ひとりひとり状況が違うので、答えはそれぞれ違うので個別に相談内容を聞いてお答えするしかないのですが、敢えて一般化して言うなら「まずは自分に必要な要素を棚卸しすることから始める」ことだと思います。  英日翻訳を例に取って言うと、翻訳の仕事に必要なのは英語力だけではありません。そう言うと、「そうそう、むしろ日本語力のほうだよね」と思う人もいると思

          翻訳という仕事をするために必要な要素の棚卸し

          フリーランス翻訳者が「オンラインプレゼンス」を高めて仕事の引き合いを増やすには

          「仕事が途切れない」フリーランス翻訳者になるには、インターネットという大海原で自分の存在を目立たせる必要があります。 1. 業界団体(JAT、JTF、JACIなど)のマイページ、翻訳者ディレクトリ、LinkedInなどに自分のプロフィールを記載する:潜在顧客からの問い合わせを増やす  自分につながる「窓口」をネット上にたくさん置くことで、直接取引のお客様からの単発/継続の仕事につながったり、翻訳者を探している翻訳会社・エージェントなどから声がかかることがあります。Link

          フリーランス翻訳者が「オンラインプレゼンス」を高めて仕事の引き合いを増やすには

          「売り込まない営業術」の限界

          翻訳者の営業方法のひとつとして、「ネット上のあちこちに自分の情報を置いて先方からの連絡を待つ」という方法についてこれまで複数のオンラインイベントに登壇して語らせていただきました。このアカウントでも1本、その方法について記事を書いて紹介しています。 この方法では基本的にターゲットとなる顧客や潜在顧客に直接連絡を取ることはしません。自分の「名刺」や「看板」の代わりとなるものをあちこちのディレクトリやプロフィールページに配置して「自分を見つけてもらう」という行動にとどまります。

          「売り込まない営業術」の限界

          フリーランス翻訳者の「売り込まない」営業術

          ※この記事は、2022.6.21にSDLジャパン様主催のウェビナーで話した内容と大半は同じです。ウェビナーの録画をご視聴になりたい方はこちらから。 ■なぜ「売り込まない」営業スタイルを取るのか  この記事では、翻訳の仕事を獲得するために私がやっている営業活動をご紹介します。私の営業活動は基本的に「売り込まない」スタイルです。なぜかというと、自分自身が営業のメールや電話を鬱陶しく感じるからです。商品やサービスの営業は「たまたまそれを欲しがっていた」時以外、基本は迷惑。これは

          フリーランス翻訳者の「売り込まない」営業術

          トライアルに合格して翻訳会社に登録してもなかなか仕事が来ない場合、どうする?

          目次  せっかく翻訳会社のトライアルに合格して喜んでいても、実際の案件がなかなか来ないことがあります。最初から全然仕事が来ないこともあれば、1度だけ仕事が来てその後全然来なくなってしまうこともあります。  そういう時、どうしたらいいのでしょうか。 ■特段何か心当たりがあるのでない限り、仕事が来るか来ないかは相手方の事情      結論から言うと、登録が完了した翻訳会社から仕事が来ない場合にその場で直接打てる手はほぼありません。のっけからガッカリするような答えで申し訳ないで

          トライアルに合格して翻訳会社に登録してもなかなか仕事が来ない場合、どうする?

          翻訳単価の決め方(英日、日英)

          目次  一般的にフリーランスの産業翻訳者はワード単価(英⇒日翻訳の場合)または文字単価(日⇒英翻訳の場合)で顧客(直取引クライアントまたは翻訳会社)と契約を結んで報酬を得ます。  自分の単価については皆さんあまり外では言わないのが普通ですので、業界団体のウェブサイトや資料を参考になさってもいいと思いますが、なかなか実態が分からず迷う方もいらっしゃると思います。 1. 自分が欲しい時給で決める考え方  例えば、通訳者の方が通訳に関連する資料の翻訳を頼まれたり、知人から個人

          翻訳単価の決め方(英日、日英)

          翻訳の仕事を探す方法

          この記事では、翻訳者たちが主にどのような方法で仕事を得ているかをご紹介します。他にもいろいろ方法はありますが、以下にご紹介するのはごく一般的な方法です。 目次 順にご紹介していきます。 1. 日本国内の翻訳会社の求人を探し、応募する。 ・求人欄を閲覧する  フリーランスで翻訳の仕事を始める際、最も一般的な方法は翻訳会社に応募してトライアル(選考試験)を受け、翻訳会社と契約を結ぶ方法です。主に以下のようなところに翻訳の求人が出ています。 ■翻訳者ディレクトリの求人欄(閲覧