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「定型発達」第14回-定型発達の「普通」

#発達障害#アスペルガー #ASD )当事者から見た普通の人達( #定型発達 )の不思議な特徴とその理由について書いていきます。連載。

・「当たり前」「普通」「人並み」の価値

定型発達の人達からしばしば聞かれるのが「当たり前」「普通だ」「人並みに」という言葉です。
「学校に行くことは当たり前」「そんなのは普通じゃない」などは今もよく聞かれますし、昔は「人並みに結婚する(嫁に行く)」などとも言われていました。
定型発達の人達はそのことをとても大事なことと考えているように見えます。彼らの価値観の中では「普通であること」は疑問差し挟む余地のない重要なことのようです。

・なぜ「普通」であることが「良いこと」なのか

では、彼らはなぜそう考えるのでしょうか?
第13回で書いたように、定型発達は自分で考えて判断するよりはグループやそのリーダーの意見を採用します。
「普通」というのは、彼らが自分の所属していると考える最大のグループの意見(だと彼らが思っているもの)を意味しているようです。グループの意見に従うことによってグループの維持を図る(和を乱さない)ことが、定型発達にとっては大切だと考えれば、彼らが「普通」であることを「良いこと」と考える理由がわかります。

・同調圧力のしくみ

「普通であること」を「良いこと」と考えれば、「普通でない」ことを行う人がグループ内にいるときに、(グループの和を乱す)それに対する不安が生まれます。
その不安の表れの一つが「排除」であり、「普通でない」ものを「別のもの」としてグループからはじき出すことによって「自分は(そうではないので)グループのメンバーだ」という安心を得ようとします。差別・ハラスメント・いじめなどの形で現れます。

それができない、あるいはやるべきでないと考えられた時にしばしば行われるのが「普通でない」ことをやめさせて「普通にする」よう促すことです。これが同調圧力です。
「普通に(他の人と同じように)する」ことに困難を抱える発達障害者にとっては、周りの人から無理なことを要求されると同時に「自分は普通のこともできないダメな人間だ」という自己肯定感へのダメージも与えられるという大変良くない結果を生みます。

難しいのは、同調圧力はしばしば「あなたのためを思って」という好意的な形を取ることです。しかし、その根底には自分のグループの安定を保ちたいという定型発達的な気持ちがあるように思われます。

まとめ

定型発達の人達がなぜ「普通であること」を大切にし、それが同調圧力とどうつながっているのかについてを書きました。
発達障害だけでなく、社会的マイノリティの人々にとって、同調圧力は大変に厄介なものです。世の中の大半を占める定型発達の人にこのことを理解してもらい、「多様性」が当然のことと考えられる社会になるよう、できることをしていきたいと考えています。

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注意:この文章は著者の個人的な考えによって書かれています。
「すべての」定型発達の人に当てはまるわけではありません。
発達障害には「 #自閉症スペクトラム (ASD/アスペルガー症候群を含む)」のほか「ADHD」および「LD」があります。ここではASDである私の視点からの記述のみを行っています。

#普通 #人並み #排除 #差別 #ハラスメント #いじめ #同調圧力 #マイノリティ #多様性

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