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自伝は、不安を解消してヒントをくれる。『ぼくは強迫性障害』 筒美遼次郎 著

本書『ぼくは強迫性障害』は、「家の鍵を閉めたか何度も執拗に確認」に代表される、強迫性障害の当事者による体験記です。

同様の症状に悩んでいる方に対して、本書のような体験記が「悩んでいるのは自分だけではない」という場を提供し、一種の自助会のような役割を果たしてくれます。


日本の都市部では、コミュニティが壊滅状態になっており、所属する職場以外の価値観に気付きにくくなっています。職場以外のコミュニティ(価値観)に普段から触れていれば、様々な気付きがもらえるのに、それが得にくい社会になっています。

忙しい現代人は、仕事で疲れ果てて、それ以外のことをする体力・気がないかもしれません(それを常識として認める、日本社会が異常なんですけどね)。自伝は、当事者たちの経験と本音を、短時間で伝えてくれます。それらを読むと、自分だけではなかったという安心感や、同じ境遇から対応するためのヒントをもらえます。

もちろん、本だけでなく、全国各地で開催されている当事者会(自助会)を頼るのも手です。探せば、方法はあります。人を、頼って下さい。出来れば、深刻な状態になる前に、頼って下さい。

本書は、そんなことに改めて気付く、きっかけになるかもしれません。


<本書メモ>
・誰かの体験記・自伝は、一種の自助会になる

・著者は、行動療法とフォーカシングで強迫性障害を直した。振り返ると、書籍と人が頼りになった。ネットは、イマイチだった。

・著者は、強迫性障害を治す過程で、同じく強迫性障害に悩んだ「田村 浩二」さんの書籍が分かり易く、繰り返し実践する上で参考になった(お陰で、大体治った)。森田療法の本人メッセージにも、かなり影響を受けている

・著者は、学校の警備員として2年間働き、小学生や主婦などの生活に肌で触れ、それまでの会社員的世界とは異なる社会価値観にどっぷり浸かった。これにより、強迫性障害が良い方向に向かった気がする。

・そのうち、自分を強迫していた虎が、実は猫だったことに気付いた

・合わなかった仕事を辞める前に、強迫性障害を知って、色々な医者にあたってみれば良かった(現実的には、難しかったが)



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