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安易なメタボ対策は、寿命を減らす。『50歳を過ぎたら粗食はやめなさい!』 新開省二 (著)

本書『50歳を過ぎたら粗食はやめなさい!』は、「痩せていると、要介護になりやすい。低栄養が認知症、脳卒中、心筋梗塞を引き起こす。5000人を超える高齢者の追跡調査でわかった、目からウロコの健康長寿法」を紹介する本です。

著者は、東京都老人総合研究所に勤務し、老年学・公衆衛生学を専門として、日本公衆衛生学会奨励賞や都知事賞などを受賞した新開省二 氏です。


厚労省と東北大の、世界最大規模の調査研究により、痩せ型は肥満型よりも約10歳も寿命が短くなることが分かっています(詳細はコチラ参照)。一方で、痩せ型は肥満型よりも生活習慣病が少ない為、老後の辛さは減るかもしれません。国家財政的には、トータルの税金支出が減る痩せ型老人の方が、好ましいという見方もあります。

行き過ぎたメタボ対策は、人生寿命を減らす可能性があります。一方で、生活習慣病が深刻になると、長く生きても辛さが増します。どう生きるかは、個々人が選択するべき話です。その選択肢を選ぶとどうなるか、背景にある事実データを知ってから選んだ方が、安心感が得られます。本書は、その選択肢を選ぶための、手掛かりの一つになる筈です。


<本書メモ>

  • 高齢者の粗食は、健康寿命の悪化を引き起こす。生命活動に必要な動物性タンパク・炭水化物を取らないと、エネルギー不足となる。それを補うために体内タンパクを分解してしまい、体重減/免疫悪化を引き起こす。

  • 50歳まではメタボに気をつかい、それ以降は栄養・体力・社会参加に気を使って、健康寿命を延ばすべき。

  • 脳梗塞は、欠陥内部に粥状物質が沈着して欠陥内部が狭くなるアテローム血栓タイプと、血管が弱くなり壊死して傷つくラクナ梗塞タイプがある。欧米人は肥満による前者が多いが、日本人の脳梗塞の半分は後者。つまり、タンパク等の栄養をしっかり取らないことによる栄養不足で脳梗塞を引き起こす人も多い。


<参考>
東北大と厚労省による、体格と寿命の関係調査をまとめた記事です。




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