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高校生の「海プラ」解決策に見る問題解決思考やSDGsやイノベーション

海に流出したレジ袋のゴミ(海洋プラスチックゴミ:海プラ)を魚が食べてしまう。この問題に対してどんな解決策を考えるか?答えは人それぞれ。「ゴミ拾い」や「レジ袋有料化」という大人が考える解決策「魚が吐き出すレジ袋」という高校生が考える解決策。SDGsへの取組姿勢やイノベーション創出に至るプロセス、発想や前提の違いを思った。

今朝、NHKのニュースで、ビジネスプランコンテストで準グランプリを受賞した洗足学園女子高生の海プラ解決策(「魚が吐き出すレジ袋」)を取り上げていた。

魚が好きな高校生が考えたビジネスアイデア。研究者や企業の協力も得たようだが、大事にしたいのは起点と発想の仕方。

海の近くに住む彼女たちは身近な問題を自分事と捉え、解決策を「魚の気持ちになって」考えた。「○○の気持ちになる」のは「関心」があればこそ。

問題を「プラゴミを魚が食べてしまうこと」と置いたときのゴール設定も解決策も実はいろいろ考えられる

ゴールを「海のプラゴミを減らす」に置いたときに出てくる解決策のひとつが「ゴミ拾い」であり、袋の「有料化」である。

このとき無意識に置かれている前提のひとつに「今使われているプラ袋」がある。「ゴミ拾い」はある種の奉仕、「有料化」はある種の罰則とも言え、視点は「人間の行動」に向いている。既定路線を元に人間の行動変容を期待したものといえる。

高校生の彼女たちはゴールを「プラゴミを減らす」ではなく、「魚がプラゴミを食べない」に置いた解決策として「魚が食べても吐き出すプラ袋の創造」を考えた。

このとき前提に置かれているのは「魚の味覚」である。ここには人間の奉仕も罰則もない。視点は「魚の行動」に向いている。魚に行動変容を期待してもいない。

どちらがイノベーティブか?と言われれば推して知るべし。

「魚が食べても吐き出すプラ袋」に使われる技術は、おもちゃやゲーム機の誤飲防止に使われているデナトニウムという既存のもの。企業が賛同し、生分解性プラスチックを使うことで、プラスチック自体の消滅も狙おうとしている。

生分解性プラスチックというものも何十年も前からある。
問題がコストとされることもいまだ変わらないようだ。
このあたりになってくると益々企業の出番だろう。高校生のように、ゴールや前提、視点を変えることで新たな解決策を見出して欲しいところである。

イノベーションは「融合」。
「全く新しいもの」というのは世の中それ程多くない。応用や展開、構想に繋げる縦横無尽な発想の方が大切ではないだろうか。

世界中で既に誰かが何かをやっている。
自ずと人は誰かの影響を無意識にも受けるし、各種の制約を考えれば拝借するのは結構なこと(合法的に)。

むしろ自前、オリジナリティにこだわり過ぎ、ノルマのように「出せ!」と言われて出てくるビジネスアイデアにめぼしいものはあまりなかったりもする。

まずは声高なSDGsより自然体の「関心」
観察力と柔軟な思考には自然体の「関心」が必要ではないだろうか。

眉間に皺寄せて考える頭でっかちなSDGsよりも、身の回りのことに「関心」があり、目が向いていれば自ずと何かに気づく(「無意識の観察」)もの。 

よく、社会問題の解決と言われるが問題は発見されなければ解決もされない。発見には観察と関心が要る。発見しても解決するには問題を課題に置き換える必要がある。

何を問題と捉えるか?ゴールをどこに置き、何を課題として、何を解決策と考えるか?アプローチはひとつじゃない

ゴールの据え方や解決策のアイデアには柔らか頭(柔軟な発想・思考)実現には技術周囲を巻き込む行動力が物を言う。

SDGsで何をしたらよいか、イノベーション創出に悩む大人は身近なことに関心を持ち、自分の「起点」と発想の仕方、無意識に置いている前提諸々、見つめ直してみるのも良いのではないかと。。。

なお、ビジコンの受賞者は以下の通り(出所:日本政策金融公庫(日本公庫))。

以下はご参考まで


歩く好奇心。ビジネス、起業、キャリアのコンサルタントが綴る雑感と臍曲がり視点の異論。