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臀物語

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タイトルをしりとりで繋げる物語、です。 「しりものがたり」と読みます。 第1,第3,第5日曜日に更新予定です。 詳しくはプロフィールに固定してある「臀ペディア」をお読みください。
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2021年12月の記事一覧

毛糸

「大将、掃除終わりました。」
「おお、ありがとう。」
 樋口は包丁を研ぐ手を一旦止め、古河(こが)の方を向いて答えた。
「もうあがっていいぞ。」
「はい。」
 しかし古河はその場を動こうとしない。
「どうした?」
「あの……もしよければ、大将が訪朝研いでる姿、見ててもよろしいですか。」
「勝手にしろ。」
 樋口はまた包丁を研ぎ始めた。

「お前、ここで働き始めてもうどれくらいになる。」
「四年くら

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みかん畑

長かった午前の授業もやっと終わり、皆が待ちに待った昼休みの時間がやってきた。
 珍しく学食にしようと決めていた三人は、午前の終わりを告げるチャイムが鳴るとすぐに学食へと向かった。
「席まだあるかなあ。」
「すぐ出てきたし、大丈夫だろ。」
 食堂に着くと、案の定、席はまだほとんど埋まっておらず、三人はすぐに席を確保すると、各々昼食を買いに行った。

「まっつんは何にしたの?」
 三人が席に着くと、陽

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小包

「この前、覚えのない小包が家に届いたんですよ。」
今日は打ち合わせということで、出版社の近くにある喫茶店へ。しかしなかなかいいアイデアが出ず、暗礁にのりあげていた。
「聞かせてください。」
雨相はずっとカチカチしていたボールペンを置き、姿勢を正した。
「あ、はい。」
高森もかしこまる。
「この間うちに小包が届いたんですけど、全然覚えがないんですよ。」
雨相は真剣そうな表情で頷く。
「なにかネットで

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タケノコ

今日は土曜日、仕事は休みである。
市役所勤務の公務員は残念ながら高給ではないが、こうして土日祝日がしっかり休みなのがありがたい。
都会で就職をした友人などとたまの機会に飲み、仕事の話をしたりすると心底そう思うものだ。
サービス残業に休日出勤は当たり前、趣味に費やす時間もないという。
それもまた人生。自分の選択である。
休日という安心感からすっかり昼過ぎまで寝てしまった石嶺寛太は、まだ眠そうな顔をし

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