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伝説のつるぎ 大熊健司
2021年9月26日 00:19
金曜日、仕事が終わる。これから待っているのは至福の二連休だ。不思議と家に向かう足取りも軽い。 この二連休は珍しく和太鼓の練習が休みのため、本当の意味での二連休だ。 帰って何をしようか、それはもう決まっている。 家に着く。手洗いとうがいをしっかりとし、スーツから部屋着に着替える。よし、準備は完璧だ。 俺は昨日の夜に届いた段ボールを開ける。うん、これだ。そこに入っていたのは、土鍋。ちょっとや
2021年9月19日 00:27
「清志は、将来なんかやりたいことあんのか?」 公民館での練習を終え、いつものようにみんなで片付けていると、竜さんは清志にそう尋ねた。「将来、ですか。」「ああ。」「うーん……」 清志は答えに困ってしまった。 昔とは違い、今は太鼓という自分が打ち込めるものを見つけた。でもだからといって、将来的に何かやりたいことを見つけたわけではない。まだ高校生の清志にとって、将来というのははるか遠いことの
2021年9月12日 00:20
「かたつむりっていう童謡あるじゃないですか?」「大桃さん、私が聞きたいのはそんな話ではなくてですね、日曜日にクラスメイトと遊んだという話なんですよ。」「先生いいですか?物事には順序ってものがあるんです。いいから、聞いてくださいって。」「わ、分かりました。」 樽井は椅子に座りなおし、今一度姿勢を正した。「かたつむりっていう童謡、先生もわかりますよね。」「ええまあ。でんでん虫虫かたつむり、
2021年9月5日 00:35
「じゃあ高森、乾杯のあいさつやってくれよ。」「え、俺がすんの?」「そりゃあそうだろうな。」 初芝がそう言って笑う。「頼むよ、幹事さん!」 照井も調子よくそう言った。「まあそれじゃあ……」 高森は渋々ジョッキを持ち上げる。「それでは、久しぶりの再会を祝して、乾杯!」「「乾杯ー!」」 ここは都心にあるスポーツバー。 高森は久しぶりの飲み会の会場として、学生時代に何度も足を運んだ