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『瞬間小説』

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短編小説より短い『瞬間小説』と、それよりさらに短い『超・瞬間小説』をご用意しています。(’~^)ゝ
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#短編小説

超・瞬間小説​『世界最強のエスパー』

超・瞬間小説​『世界最強のエスパー』



ある日、世界中の超能力者たちが集まり、最強王座決定戦が開催された。

「どんな物でも動かす念動力者」「決して死ぬことのない自己再生能力者」「他人の心を読む能力者」「瞬間移動能力者」「目からレーザー光線を発射する能力者」「透明人間」などなど、驚異的な能力を持つ者たちが命と誇りを賭けて戦ったが、優勝したのは意外にも「空気を操る能力者」だった。

この判定には誰一人納得していなかったが、異議を唱える

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瞬間小説『来たる分身時代 』

瞬間小説『来たる分身時代 』



「ごめんね。私、付き合ってる人がいるの。分身の術でもあったら、あなたとも付き合えたのにね。」

A子のその言葉が全ての始まりだった。

恋は盲目。A子の言葉を本気にした俺は、ネットで分身の術についての情報を必死に集めまくった。そして、得た情報をつなぎ合わせて実際に試してみたところ、なんと本当に分身できてしまったのである。

分身に成功した俺と俺は、もちろん真っ先に喜び勇んでA子の元へ走った。

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超・瞬間小説​『宇宙調査団の災難』

超・瞬間小説​『宇宙調査団の災難』



不時着した星は、犬の惑星だった。

犬の社会は、厳格な階級制度による管理社会だ。
縄張りを荒らした刑で処刑されそうになり、我々は必死で宇宙へ脱出した。

だが、宇宙船の損傷は激しく、すぐに他の惑星に不時着する事になった…。

まだ意識が朦朧な我々の顔を、この星の住民たちが覗き込む。

「大丈夫かニャ?」

<完>

☆表紙絵 by さとねこと さん → https://note.mu/sato

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瞬間小説​『不老不死の薬』

瞬間小説​『不老不死の薬』



「もういい加減、分かっただろ? そんな薬どこにも無いんだよ。」

砂漠のオアシスの給水所で、むせながら水を飲んでいる私に、ガイドの少年はおよそ子供らしくない、諭すような口調でそう言った。

「冗談じゃない! 見つけるまではあきらめてたまるもんか! 私の寿命が尽きる前に必ず見つけ出してやるんだ! 不老不死の薬を!」

少年はヤレヤレといったジェスチャーをしただけで、それ以上は何も言わず、小走りで

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超・瞬間小説​『四畳半の日常風景』

超・瞬間小説​『四畳半の日常風景』



俺の友人は変わり者が多い。

こっそり地球に潜入調査で来ている銀色の宇宙人や、この部屋で昔自殺した美少女の幽霊、一応近所にはペットの猿で通してる、しゃべるイエティ。

今日も4人で麻雀。

俺「この辺でツキの流れを変えてやる!」

他の3人「ツキなんて非科学的だなー!そんなのオカルトだよ!」

<完>

☆表紙絵 by さとねこと さん → https://note.mu/satonekoto

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瞬間小説​『彼女は巨人系』

瞬間小説​『彼女は巨人系』



ある日、世界各地で突然始まった巨大怪獣たちの襲撃。
日本でも怪獣対策本部が設置され、数々の怪獣迎撃案が協議されたが、唯一実現可能だった作戦は、防衛省と農林水産省が共同開発した人体巨大化プロジェクトだけだった。

早速、巨人化の志願者公募が行われたが、1ヶ月のプロレス訓練義務や巨大化した後は(衣服の巨大化が不可能な為)全裸で戦わないといけないという過酷な条件を見て、志願者なんかいないだろうと思っ

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超・瞬間小説​『今夜はカニ料理』

超・瞬間小説​『今夜はカニ料理』



カニ料理で家族だんらん。

「またカニなん?」と、妹がボヤく。

無理もない。
極寒高気圧のこの惑星では、甲殻類しか生息できないのだ。

父「おいおい、何を贅沢言ってるんだ! 広い宇宙のどこかの星じゃ、カニが高級料理だったりするかもしれんぞ?」

家族全員「そんな星あるかー!!!」

思わずツッコミがハモってしまい、
みんなで触角をカシャカシャ回して笑い転げた。

<完>

☆表紙絵 by さ

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瞬間小説​『勇者になる男』

瞬間小説​『勇者になる男』



世界を救う勇者に、オレはなる!

ドラゴン退治、姫の救出、幻の薬草調達など数々の依頼をこなし、ディスティニーランド全土に名を轟かせたオレは、稼いだ報酬で最強の武器と防具を手に入れ、戦闘技術も極限まで鍛え上げ、近い内に魔王を倒し、世界を救った勇者として伝説になる予定なのだ。

魔王の居場所はすでに突き止めていたが、乗り込むにはまだ早い。
念には念を入れ、魔王の弱点を調べておく必要がある。予備の武

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超・瞬間小説​『時間遡行の成功』

超・瞬間小説​『時間遡行の成功』



離婚の理由?

一人娘をあの事故で亡くしてから、夫は機械いじりばかり。
心の傷は私だって同じなのに。
さっきなんてタイムマシンが完成したとか変な事を…。
あ、 もう引越屋さんが来るから電話切るね。

(ピンポーン!)

「ただいまー、ママー♪」
「おかえりー♪ さあ仏壇のパパに挨拶しましょ。」

<完>

☆表紙絵 by さとねこと さん → https://note.mu/satonekot

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瞬間小説​『宵の惑星』

瞬間小説​『宵の惑星』



昔、初めて宇宙に出た人類が見た、我々の母なる惑星は、青かったらしい。

しかし今、最後の人類である「私」が見ているその星は、赤く乾いていた。

環境の悪化によって滅亡する事が確定した時、全世界はあわてて団結した。

巨大宇宙移民船を何隻も製造したが、代償に世界の環境はさらに悪化した。

結果的に余命を縮めた人類は、移民船を巡って世界規模の戦争に突入した。

戦争が終わり移民船は何隻か残ったが、

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超・瞬間小説​『天才ハッカーの野望』

超・瞬間小説​『天才ハッカーの野望』



僕は天才ハッカー。

世界中のデータベースから必要な情報を自動的に抽出し、世界中のコンピューターの全CPUで分散処理させる事で、普通なら百年以上かかる計算を数分で処理する事に成功した。

お! ついに計算結果が表示されるぞ!

僕の野望が実現する時が来た!

「ピ、ピピ……今週の乙女座は末吉。ラッキーカラーは灰色。」

<完>

☆表紙絵 by さとねこと さん → https://note.

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瞬間小説『おわかれ喫茶で会いましょう』

瞬間小説『おわかれ喫茶で会いましょう』



男「小さくて悪かったな! おまえだって人の事言えないだろ!」
女「ちょっと大きな声出さないでよ! 変な誤解されるじゃない!」
男「誤解って何だよ! だいたい、そんな理由で別れられるかってんだ!」
女「アンタのそういう器の小さいところが我慢できないって言ってるのよ!」

あ〜あ〜、あのカップル、別れ話がこじれてるな〜。
性格の不一致か性の不一致か知らないけど、ひどい痴話喧嘩だ。

それに比べると

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超・瞬間小説​『財産』

超・瞬間小説​『財産』



両親は死ぬ時、全財産をどこかの組織に寄付しやがった。

遺産をあてにしてた俺は悔しくて、死んだ両親を見返す為に必死で生きた。

なぜか次々と困難が襲い掛かるが乗り越える度に生きている実感が沸いてくる。

そんなある日、組織から両親の遺言状が届いた。

「愛する息子よ、それが人生だ。」

<完>

☆表紙絵 by さとねこと さん → https://note.mu/satonekoto

※投

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瞬間小説​『タヌキの嫁入り』

瞬間小説​『タヌキの嫁入り』



俺は、動物専門の詐欺師である。

動物と会話できるという、生まれながらの能力を利用し、動物カウンセラーとして森を渡り歩き、動物たちから金品を騙し取って生計を立てている。
人間社会に愛想をつかせた俺にとっては、うってつけの商売だ。

さて、今日のカモはメスのタヌキだ。
金を持っているかどうか怪しいが、最悪2、3日分の食料にはなりそうだ。

俺「えーと、つまり、こういう事だね? とある人間の男

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