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紅いもが昔も今も愛されるワケ

先日に紹介した「タンナファクルー」のnoteで想像を大きく超える反響をいただきました。ありがとうございます。まだタンナファクルーに出会ったことがない方に、おいしさをお届けできると嬉しいです。

沖縄のお土産として、お取り寄せして。お楽しみください。

沖縄土産といえば、ここで紹介するまでもない、言わずと知れたものもあります。

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例えば、紅芋タルト
今では沖縄土産の定番ですよね。紅芋をふんだんにつかったペーストをタルトに載せて焼いた焼き菓子です。

お土産の定番の「ちんすこう」と比べると”イマドキ”なお菓子のイメージがあります。しかし紅芋タルトの歴史は意外と古く、誕生は今から30年以上前のことでした。沖縄県の読谷村(よみたんそん)の「村おこし」の取り組みで生まれた一品だそうです。

この紅芋タルト、コーヒーにもお茶にも合うし、お土産に職場や友人に渡すと必ず喜ばれるんです。紅芋タルトのおかげで沖縄の紅芋が若い人にも愛されるお洒落な食材として”裾野が広がった”ような印象を持っています。

”広がった”というのは、それまでは紅いもっておばあちゃんの食卓で毎日並ぶもの。おいしさは昔も変わらずですが、私の子供の頃には、スイーツの主原料になったり、若い方を惹きつけるような華々しい食材ではなかったと記憶しています。

お米と並ぶ日々の「主食」であり、素朴な存在の食材でした。おばあちゃんは毎朝1〜3本の紅芋を蒸かして、1日かけて食べていました。

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紅いもは今から400年以上前に、中国(明)から苗が沖縄に持ち帰られたことをきっかけに沖縄での栽培が始まりました。その後、薩摩藩にも苗が分けられ本土にもじわじわと普及していきました。

戦前の沖縄では王族などの一部の人を除いて主食は米ではなく、紅いもだったそうです。海水以外の水源が乏しく、水はけが良すぎる島国の沖縄では稲作が盛んではありませんでした。代わりに台風や干ばつに強い紅芋の栽培が発達し、人々のエネルギー源としての役割を果たしていたためです。

今では、お米も県外産のものを何不自由なく買うことができます。
そんな時代になっても、おばあちゃんはあえて紅いもを食べていました。もちろんお米も食べますが、朝と昼は紅いもを食べることが多かった。もし今もおばあちゃんが元気だったら、その理由を聞いてみたいです。

今となってはその理由を推測することしかできないですが、健康志向だったおばあちゃんは、白米よりも栄養価が高いことを知識として、そして体感的に知っていたのではないかと私は考えています。

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精製された白米よりも、食物繊維が多く、芋類特有の加熱に強いビタミンCを含んでいます。また、余分な水分の排泄に必要なカリウムも豊富に含んでいます。

糖質が高くカロリーが高め・・そんなイメージからか、ダイエットを意識している時は「いも」って敬遠しがちな食べ物ですが、ご飯の代わりに置き換える取り方なら、むしろ代謝や腸内環境の改善に大切な栄養素を補強することができるので、ダイエットの味方になります。

なぜ紫色なのか

紅芋を紅芋たるものにするのは、あの紫〜赤色の鮮やかな色。
その色味は「アントシアニン」という色素からできています。

色素と言っても、れっきとした栄養素。アントシアニンはブルーベリーに含まれていることで有名なように、紫や青色を呈する成分です。ちなみに一般的なサツマイモが黄色いのは、βーカロテンという黄色・橙の色素を持つためです。いずれも抗酸化作用を持ち、現代人に必要な栄養素の一つであります。

心理学では、紫色はエキゾチック、大人、神秘、高貴、二面性、不安定を想起させる色だそうです。

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ちなみに「紫」は青色の色味を持つ”寒色”の仲間。寒色は、人の食欲を減退させる働きを持ちます。本来であれば紫を見たときに「美味しそう!」って感じにくい色なのです。

それでも、なぜ私たちは紅芋に惹かれるのでしょう。

紅いもを一度でも口にしてみると、甘く、ねっとりとクリーミー。サツマイモにはない舌触りの良さを持ちます。見た目とは裏腹に心を豊にするおいしさを持ちます。
だからこそ一度食べると、虜になり、私たちは魅了されるのではないでしょうか。

紅芋を使った沖縄人が大好きなメニュー

紅芋は栄養源として沖縄の人々の成長と健康を支える役割を果たしてきてくれました。それが今ではスイーツとして食の楽しみを広げる役割も担うようになり、県内外からも愛されるようになったのです。

その愛は一時のブームなどではなく、400年以上の歴史をもった深いものなのです。

最後に、沖縄の人が大好きな紅芋メニューを紹介したいと思います。

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一つは「ウムニー」
芋煮(いもに)を沖縄の方言でいうとこう呼びます。紅芋とお砂糖を一緒に煮て作るうむにーは沖縄の家庭の味、母の味。時々無性に食べたくなります。


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二つ目は「紅いも」のアイス
沖縄の人気のアイスクリーム屋さん・ブルーシールの人気フレーバーです。甘味がしっかりしていて芋独特の風味が楽しめます。

見た目はそっくりな、フィリピン産の紅いもを使った「ウベ」とよく混同されますが、味は違います。ウベの方はよりさっぱりとしていて、少しだけ粘りを感じます。これもまた美味しい。食べ比べをしても楽しいですよ。


三つ目は「うむくじ天ぷら」 (写真がなくて、ごめんなさい)
紅芋とサツマイモ由来のデンプン、砂糖を混ぜて作ったタネを素揚げしたおやつです。もちもちとしたお餅のような食感と、紅芋の香り、ねっとりとした甘味がくせになります。
私にとっては家庭の味というよりも、給食の大好きなメニューの一つでした。年に数回しか出ないので、献立表にうむくじ天ぷらの文字を見つけた時はすごく嬉しかった。その生地は、県内のスーパーや通販で購入することができます。興味のある方は、ぜひ探してみてください。

いかがでしょうか。
ここまで書いていて、私はすっかり紅いもの味が恋しくなってきています。

実は、昨年からの観光客の大幅減少で紅いもタルトの売り上げが半減。タルトの生産会社だけでなく、読谷村の紅いも農家さんも大きな打撃を受けているという記事を見つけました。こちら
農家さんとの契約も少しずつ打ち切らざるを得ない状況のようです。

応援したいと思い、本当に微力ながらお取り寄せをしています。もし紅いもタルトのファンの方がいらっしゃいましたら、一緒にいかがですか? 
紅いもタルトはこちらから買えます

それでは、みなさま、良い日曜日を。

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