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鹿が考えること

鹿が考えること

ここはとある国の森の中。
そこに一匹の鹿がいました。鹿の毎日は、規則正しく起きて、角の手入れをしてからはじまります。それから食事をとり、散歩し、本を読み、寝る前に少しだけお酒を飲みます。たまに友だちとも遊びます。

来る日も来る日もそれは繰り返されます。春が来て、夏毛に生え変わり、秋になり、厳しい冬が来る前に冬毛に生え変わります。毎年、少しずれたりもしますが、ほぼ同じような周期です。

冬のある日

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鏡

この頃、人の顔というものが、よくわからなくなった。認識が難しいのだ。
あれ、この人はこんな顔だったかなと思うことが増えた。

以前とは何か異なるような顔。

顔つきや目つきが変わった。

ということでもない。

11月のある金曜日、学生時代の旧友に久しぶりに会った。
その日は襟巻きがなくても過ごせるくらい麗かな日だった。

酒を飲みながら待っていた私は、つい待ち切れず瓶ビールを二本も空けていい心持

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苺

君と食べるはずだった苺を一人で食べてしまった

やってしまったと少し落ち込む

最後に髭を剃ってからずいぶんと時間が経った

これ以上はもう伸びない顎髭を左手で撫でながら苺を頬張る

『苺ってなんだか赤くて粒々しててあまりにも綺麗だから食べたら死んじゃいそう』

『毒だったらどうしよう』

『苺と毒ってなんだか似てると思わない?』

そう言ったのは君だ

スーパーで野菜売り場を

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天使にみえた

天使にみえた

ホワイトアスパラガスを食べていたら思い出したことがある。

それは忘れようにも忘れられない体験だったはずなのにいつのまにか僕の頭からはすっぽり抜け落ちていた記憶だった。
あの日以来ああゆうことは起きてないし、たぶんこれから起きる確率もぐっと低いだろう。

まぁまた起きたところで驚きはしないだろうが。

僕はその日、池袋の街中で真っ白な髪を持った三人の少年に出会った。それも別々の場所、別

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明暗

明暗

あまりに星が綺麗だったので
今日は駐車場で寝ることにした

北斗七星がちょうど視界の右に位置している
僕はあんまり目が良くないから見えない星もあるけれどあれは北斗七星だ

反対向きって言っていいのかわからないけれど
柄杓からは水が溢れそうになっている

そのうち柄杓から溢れた水は僕の顔に少しかかった
なんか甘いな、そう思った

今ごろベランダのユーカリの鉢も喜んでいるかもしれない

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穴

この頃、よく夢を見る。

脈絡のないシーンからまた次のシーンへの展開の連続、たぶんそれが夢だ。

この頃、よくこんな夢を見る。

僕は広い大地に一人座り込んでいる、周りには何もない、広大な大地だ。辺りには砂埃が舞っている。
木一本、野良猫1匹、自動車さえ見当たらない。
ガソリンスタンドもコーヒーショップもない。

あるのは強い風と永遠の砂。そして穴だ。

そんなに大きい穴じゃな

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TVのない生活

TVのない生活

こんな時だからこそ何かやらなくちゃと思ったのがはじまり。

仕事は無期限でお休みみたいなもので、外出しても行くところもない。ご飯を食べて、映画を観て、音楽を聴いて、小説を読んで、ニュースを見てがっかりして、この繰り返し。

進む道は真っ暗闇のトンネルで通り抜けるにはまだ少し時間がかかる。これはもう誰が何と言おうが確定事項だ。【一筋の光明を見出す】なんて言い方をしたら古くさいかもしれないけど、明かり

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