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現実を見ることはできない

いつも理想というフィルタを通して僕、いや僕達は世界を見ている。物が落下するのを見るとき、ある程度それがどのような軌道を描くかは想像出来るし、そう期待してそれを見る。まさかそれが空中でバウンドするなんて思ってもみないし、それが落下途中に消えるとも思わない。

物の動きは物理の法則によって規則的に動くから僕達は落下するそれに奇異な目を向けることはない。でも人の行動は違う。目の前の宿題に素直に向かうと思いきやふと視界に入ってしまったお菓子に手が伸びてしまったり、散らかった部屋の掃除をしようとふと思い立ったりする。

人はほぼ常に理想と反した行動を取る。それなのに人間は自分のことや社会のことを、まるで落下する物体を見るのと同じように見ている。きっとこういう行動を取ればああなるだろうと、成り立つわけもない法則を考えて、盲信して人を、社会を見る。

人は平気でそれを裏切る。当然のことだ。それなのに僕達はそれに怒りを覚えたり落胆したりする。愚かだ。

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