見出し画像

初めての円空(あべのハルカス美術館)

時折、相談に乗ってもらっている人生の先輩から、「円空の仏像は素晴らしい」と、かねがね聞いてはいたが、確かにこれは素晴らしい!

正直、円空の作品(仏像)は京都には少ないし(現在確認されているだけで4躰)、人気も今一つだが、これは円空の出身が美濃であり、作品の確認が愛知県と岐阜県に集中していることも、京都で人気が今一つな理由かもしれない、しかし、だからと言って、円空の作品がいまいちな訳ではない!

円空はその生涯に十二万躰という作品を日本中に残していると言われる。今回の展示で初めて知ったが、蝦夷地(北海道)にさえ、50躰もの作品が見つかっている。彼自身が行ったのか?庶民の信仰の対象として、作品が移住者と共に移り住んだのかは、説明書きではわからないが、おそらくは後者だろう。

今回の、あべのハルカス美術館での特別展では、写真撮影が可能な作品も多くあったので、そちらを皆さまと観ながら、円空の作品について、素人ながらいろいろと考えてみたい🤔

平日の為か、エントランスはスムーズに通過。


立派な仏像が出迎えるが、こちらは複製。


金剛力士(仁王)立像 1685年頃
顔面と身体のバランスがかわいい☺️
また、いい感じで身体が彫られていないのも味がある😆入って直ぐにお出迎えの一作


同金剛力士(仁王)立像背面
後ろに回ると、御神木クラスの樹に彫り込んだことがわかり、ビックリする😨


両面宿難坐像 1685年頃
二人の武人が重なっている像とのことだが、正面の武人のCOOLな表情に対して、後ろの武人のニヤリ😏とした顔が、二面性を表すようで、非常に興味深い…💧


角度を変えると、正面の武人は目を閉じているようで、後ろの武人は怒りを表している様にも見える💦


観音三十三応現身立像 1685年頃
展示会場に強いインパクトを与える!


そのネーミングから、京都の三十三間堂の仏像を連想させるが、こちらは三十三体ではなく、三十一体の展示(ちなみに三十三間堂の仏像は1000躰並ぶという)。ただ、趣きが違うので、比べてはならない💦


賓頭盧尊者座像 1685年頃
これは読めない💧
「びんずるそんじゃざぞう」
奥にエントランスにあったレプリカの本物が見える✨


会場は多くの人で溢れているのに、なんというお静かなお姿なのだろうか…


この首の傾け方、その表情は正に傾聴する者の姿そのものではないだろうか?
御体の艶は✨、この像が「撫で仏」であり、永く人々の深い信仰の対象であったことがわかる🙏


護法神立像(2躰) 1685年頃
ちょっとした人の背丈程ある💦子供の頃、小学校🏫にあったトーテムポール(インディアンの文化を模したもの)を連想したのは、私だけ?


不動明王及び二童子立像 1685年頃
こちらも、見ごたえのあるスケールだ!


正面に立つと、今にも不動明王が語りかけて来そうな程に迫力がある💦


円空の作品の多くは、その技法から、背部が削れたような、独特なシルエットになるが、背面には墨書された作品名などが書かれている為、背面もわかるようにパネル展示がされている。


如来坐像・観音菩薩坐像 1685年頃
個人の求めに応じて、このようなサイズの仏像も造ったようだ!大きいサイズのものと比べて、精密に造り込まれている様にも思うが、或いは視力に何らかの問題があったのか?何か意図によるものかは説明書きにはなかった💧ただ、若い頃の作品は、精密に仕上げられている傾向があると言われる。(今回写真に収めた作品は、全て同年代)

このように、円空の作品を観ると、その素朴さが際立っている。一見「手を抜いているの?」なんて思って観ると、その部分に自然な樹の風合いを利用したイメージの世界が広がって行くのがわかる。おそらく彼の仏像は、観る者、いや、信仰する者一人一人が全く違う姿の仏像を思い描いているのだろう。

「仏像のお姿に余地を残すこと」それは、信仰する者一人一人の求めに応じた姿の表現であるのかもしれないし、それこそ、多くの人々に寄り添う為に敢えて考え出された、円空の技法とも言えなくはないだろうか?

この記事の始めに、京都では、円空の人気が今一つだと伝えた。そして、それが作品の確認個躰数の少なさから来るものではないか?としたが、改めて特別展を観終えて、それは京都という地域が得意とする大君や公家、または高級武家から依頼された作品(仏像)ではなく、円空の作品が、絶対的に庶民の為に造られた作品(仏像)であること、その辺りの違いが、まるで水と油の様に馴染まなかった可能性があると思う。

円空の作品と趣きが違う京都の仏像☝️

これは現在だけでなく、或いは京都が都(首都)であった当時は、より強く現れてはいなかったか?京都には(住んでいる私でさえ思うが)、そんなツンとしたところがある。

というところで、今回の特別展も終了なのだが、お土産コーナーが、なかなか面白かったので、ご紹介しておきます👇


小さいもので、一躰数万円のレプリカ!


大きいものだと十万円を越える💦

レプリカの所有が決して悪いものだとは言わないが、円空の思いや、当時の人々の思いを想像することが、大切なのではないかな?と思うのですが…

最後に、あべのハルカス美術館のワンフロア上、エスカレーター前からパチリ👇


有料展望フロアでなくても、ここで十分です👍

と言う有料展望フロアにも行けない(お金がない)、庶民な私が円空と初めて出会ったお話しでした。

終わり


この記事が参加している募集

休日のすごし方

一度は行きたいあの場所