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【5分で読める】四辻御堂物語~水龍の巫女と妖狐の罠~(新しい日々、私を呼ぶ声⑥)【無料試読あり】

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このお話のあらすじ

2学期が始まった。花さん特製の料理を主人公宅に持ってきた三芳。全員集まってホームパーティーとなった。しかしそこにスオウの姿はなく・・・・・・。


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以下本文


 夏休みが終わり、2学期が始まった。晴菜は退院後、すぐに海外に行ってしまった。仕事の都合ということで、クラスメイトには挨拶無く転校していった。
 私には携帯に一言だけメッセージを送ってきてくれた。飛行機の窓から見える雲の上の写真付きで、『渚、またね』と、それだけのメッセージ。でも、さよならじゃない。またいつか、縁が結ばれることがあるかもしれない。そういう、『またね』だ。私はメッセージを頭の中で晴菜の声で再生させて、返事はしなかった。
 篠崎さんもすぐに退院して、2学期の始まりには間に合った。教室で最初に目が合った時、ズンズンとこちらに歩いてくる篠崎さんに、教室中がぴりついたけれど、「宮路・・・・・・おはよ」と小さい声で言うだけですぐに自分の席に戻っていった。篠崎さんの取り巻きも、クラスメイトも理解ができないようだった。
 私はその状況が可笑しくて、笑いを堪えながらみんなに聞こえる声で、「おはよ! 篠崎さん」と挨拶を返した。余計に混乱するクラスメイトたち。驚いた顔を見せた篠崎さんも、すぐに笑顔になった。とても綺麗な顔だった。

「おぉおかえり。学校は順調かい?」

 夕方、家に帰ると長老が待っていた。家中にいい匂いが充満している。

「おじいちゃん! 来てたの!? ていうかすっごくいい匂い!」
「花さんがお嬢ちゃんとこに持ってってくれってな」

 テーブルいっぱいに広がっているのは、スオウの屋敷に居る時に花さんとガン坊さんと作った中華料理の数々だった。食欲をそそるいい匂いと共に、鼻の奥をツンとした物が通り過ぎていく。

「すごく美味しそう・・・・・・。そうだ!」

 私は携帯を取り出して、ある人にメッセージを送る。

『これからうちで夕ご飯を一緒にどう? とびきり美味しい中華です。お父さんも一緒に』

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