今日の僕を明日の君へ(06)
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代わり映えのしない寮生活について、単純に悪口を言うのではなく、レトリックを駆使して面白おかしく表現するのが寮生たちの習性で、巧者については、学業の成績とは関係なく切れ者として見られた。無慈悲な寮監や横暴な寮長、いかれた同級生について、数多の短所を裏返して強引に長所に仕立て、数少ない美点の揚げ足を取って欠点とし、些事が大事件のように語られる代わりに、大事件は些事として捨て置かれた。
記憶力と創作力に富んだ寮出身の学生起業家にとって、古巣