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#エッセイ 記事まとめ

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noteに投稿されたエッセイをまとめていきます。
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#子育て

ろう者から手話を奪ったのは誰か?その結果、何が残ったのか?

前回のお話はこちら 5月初旬。連休は妻の実家で過ごした。10日間、ろう学校に入ってから初めての長期休み。再びろう学校に行くのを嫌がらないか、少し心配したけれど、むしろ楽しみだったよう。保育園よりも少人数で、アトラクションが多いろう学校が楽しいらしい。 今日はカーネーションを作った。赤い折り紙をびりびりとちぎり、茎が描いてある台紙に、でんぷんのりで貼り付ける。母の日にあわせてだが、二朗の付き添いは父親の僕。帰ったらサプライズで渡そう。ちなみに、クラスメイトのツバサも妹が生ま

近況報告とこれからのお話

連載を始めましたお久しぶりの更新です。先日ちらっと書きましたが、「紋白蝶」というサイトで、「この歓声は届かないけど」というタイトルの難聴の息子とろう学校に通った話を書く連載が始まりました。 すごく特別な体験だから、いろんな人から書くのを勧めてもらったし、僕自身書きたいと思っていたので、ようやく始められた感じです。 この連載を始めるにあたって、息子の同級生のお母さんたち、つまり「ママ友」には、こんなことをやろうと思っているという話をしました。全員、快く受け入れてくれました。

ポルトガル一人旅で子どもがうまれた話

子どもが年長に進級した。このままいけば、来年ランドセルを背負うことになるだろう。いつの間にか赤ちゃんを卒業し、少女へと歩を進める子を見てふっと不思議な気持ちになる。 わたしは一族郎党のほぼ末っ子として育った。つまり身近に赤ちゃんがいたことがない。そのせいかずっと「子ども嫌い」というより「子ども苦手」——いや、いい人ぶらずに言えばやっぱり「子ども嫌い」だったかもしれない。赤ちゃんが無条件にかわいい、という感覚がよくわからない。子どもとどう接すればいいのかわからない。無駄に道化

大人のためのサンタクロース考—「サンタは実在するか?」を本気で考えた

我が子から「サンタさんって本当にいるの?」と聞かれたら、どう答えるだろうか。一年前だったら、ぼくはどう答えたらいいか分からなかった。 ある種の後ろめたさを覚えながら「いるよ」と伝えるか、 あるいは「ねー、どうなんだろうね、父ちゃんも直接見たことはないからなぁ…」と御茶を濁すか。 未就学の子どもが四人いるぼくは、「これは将来質問されたとき困ったことになるかもしれん」と一抹の不安を覚えていた。 けれど、先日のクリスマスに心境の変化があった。 12月25日の朝、サンタクロースか

息子の買ったイカのぬいぐるみがバズった結果、なぜか自分が水族館のイカグッズを作ることになった件(なんで?)

動揺しすぎてラノベみたいなタイトルを付けてしまった。 生きてるとたまに「そんなことある?????」って出来事が起こること、ありますよね。今回がそれです。 先日、息子に買わされたえらく出来の良いイカのぬいぐるみのことを、何気なくTwitterに呟いたところ 何が世のツボにハマったのか8.4万いいねのバズりが発生し(なんで?) 何を思ったか水族館の方からDMが届き(なんで???) 通話の結果、なぜか私がダイオウイカVSマッコウクジラの絵を描くことになり、そのイラストが印刷

チコちゃんカット

 「チコちゃんの前髪にしたい」とお子が言い出した。言うまでもなく、NHKのテレビ番組「チコちゃんに叱られる!」に出てくるチコちゃんだ。あの、おかっぱ頭の。

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蕾に気付いた娘たち

#スポーツがくれたもの 戸惑い 長女の卒園式、そして入学式。指折り数えて待った節目は、桜前線とともに颯爽と過ぎ去った。そんな晴れやかな卒業の裏で、予期せぬもう一つの卒業が突風のように訪れた。  3月下旬のことだった。夕飯前、うたた寝をしている娘たちと、料理に蓋をし、出来上がりを待つ妻。私はスーツから部屋着に着替え、手持ち無沙汰にスマホを眺めていた。静寂の中、唯一しゃべり続けていたテレビのアナウンサーが「大手スポーツクラブ大量閉店」というニュースを読み上げた。  閉店、廃

怪我した指に息子が貼ってくれたもの

木曜・ 朝 息子の幼稚園の支度がスムーズに進んだ。 家を出る時間まで少し余裕がある朝になった。 何気なく自分の指を見たら、いつの間にか右手の人差し指の側面に傷があった。 血が少し滲んでいて、割と深く切れていた。 それまでなんともなかったのに、傷があるなと認識したら急にズキズキと痛みだした。 「どこで怪我したんだろ・・」 そう私が呟くと、年中の息子が遊んでいた恐竜のおもちゃを投げ捨て、私に駆け寄る。 「見せて!!ママ血が出てる!!絆創膏持ってくるね!!」 息子は絆創

大人スイッチをOFFにして、息子と過ごした休日は楽しかった!

先週の土曜日は、1日中雨。 車を持っていないわが家では、必然的にお家を中心に過ごすことになる。 晴れの日は、近所の公園に行くとだいたい誰かがいて一緒に遊んだり、お昼ごはんを買って自転車でちょっぴり遠出したりして、なんだかんだあっという間に1日が過ぎるけれど 雨の日、家で息子と2人きりで過ごす1日は、時間がたつのがおそいおそい。 「雨の日 子供 過ごし方」 Google先生に答えを求め、ネットサーフィンをしていたとき、「シュタイナー教育」というワードが気になって、ここ

国語ってなぜ学ぶの?という問いに、どう答えればよいのか悩んだときのエピソード

「国語ってなんで勉強するの?」 もし、子供からこんな質問をされたら、みなさんどう答えますか? 今回は、僕のエピソードを交えつつ、とある著名人の名回答をご紹介したいと思います。こんな美しい答え方があるんだ...そう思わざるを得ません。 ひとまず、こんな息子です質問への回答の前に、少しだけ背景を説明しますね。 小学生になる僕の息子が、なんでそんな質問をしてきたのか? それは、彼の「好き嫌い」がはっきりしていることが原因の1つです。 例えば、好きなものといえば、ダンボールを使

シャツワンピースを着て試着室で泣いた話

 大学生の夏、バイトを終えた足で深夜バスの停留所へ向かった。  前輪と後輪のあいだにぽっかりと口を開けたトランクルームがある。荷物を預ける乗客が長い列を作っていた。  運転手が流れ作業のように長方形のトランクケースを次々に投げ入れているのを横目に、乗車口へ向かう。肩からかけたトートバッグはバスの中に持ち込むと決めていた。  乗車口へ行くと、特有の匂いが充満していた。久しぶりだな、と思いながら数段のステップを登る。発車まで音を立てて唸るエンジンの匂いか、いつ乗っても新品のような

しずけさが満ちる夜。ささやかな、記念日。

こんな、息をのむような静けさと、すいこまれるように見つめてしまう時間が、あるのだなと思った。 休日の夜。もう少ししたらみんなで寝ようという時間に、ふと気づいたら、起きている間はずーっとおしゃべりしているんじゃないかっていくらい話すのが大好きな息子が、やけに静かだった。 なにかに集中して遊んでいるのかな? まさかもう、寝てる……?と思って息子のいる方を見ると、彼は、絵本の並んだ本棚の前に座り込み、手にとった1冊の本を開いて、じっと見つめていた。 しばらくすると、ページをめ

息子たちが描いた『スイミー』の絵は、ちっとも『スイミー』に見えなくて、とてもうつくしかった

8月の終わりに、保育園の壁にこどもたちが描いた「海の絵」が掲示された。 色とりどりのクレヨンと絵の具を使って思い思いの世界が描かれている。まるでほんとうの海のなかにいるような心躍る光景が、とてもとてもきれいだった。 半月以上経って、息子が衝撃のひとことを放った。 「この間保育園で描いた『スイミー』の絵ね、」 ん!?あ!? え、あれ『スイミー』の絵だったの!? 『スイミー』ってあれだよね、アメリカの絵本作家のレオ・レオニ師匠の代表作で、赤い魚群の中で1匹だけ黒い「スイミー

雷が鳴ったら、へそ信仰の伝道師が姿を現す

息子は雷がきらいだ。 遠雷がゴロゴロと鳴るだけで、慌てて寝室にかけこみ、身を隠す。 タオルケットの中から顔も出さずに「おうちの中にいるから、雷鳴っても大丈夫だよね!」なんて言っているのが滑稽だ。 しばらく様子を見ていると、突然、がばっと立ち上がり、必死に着ているシャツをズボンの中へ押し込みはじめる。 「おかあさんも!シャツ入れたほうがいいよ!こうすればおへそ取られないから!」 あ、そうなん?だいぶ対策ゆるめでいけるんやね。 「へそくらい取られてもいいよ」 息子の