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181.え~チャップリンって、パブリックドメインじゃあないの?【保存版】

48.格安チャップリン映画のDVDは著作権侵害?


2006年7月21日。格安DVD販売で「モダン・タイムス」など、チャップリン映画九作品の著作権が侵害されたとして、リヒテンシュタインの法人が東京のDVD販売会社2社などに、格安版販売差し止めと、約9,400万円の損害賠償などを求める訴訟を東京地裁に起こした。

販売元 ‏ : ‎ パイオニアLDC



訴状によると、「ロイ・エクスポート・カンパニー・エスタブリッシュメント」は、チャップリンが設立し、作品の著作権を保有し、管理している。販売会社2社は、作品を無断で複製し、書店やレンタルビデオ店に頒布して販売するなどした。

チャップリン個人の作品のため、1977年の死亡から著作権保護期間の計算が始まり、9作品のうち7作品について、2015年まで保護されるなどと主張している。

ロイ社が販売会社に警告したところ、販売会社側は、「日本での著作権は保護期間が終了している」と反論している。

しかし、著作権が仮に終了していたとしても、無断で複製し、書店やレンタルビデオ店に販売することには問題がある。

もし、これを認め、著作権が切れているからといって、無断で別の商品から複製したとしたならば、内容(著作権)の問題ではなく、他人の所有物からの無断複写になってしまう。

判決はどう判断を下すのだろう?

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より


 


※判例、原文のまま


※最高裁
事件番号:平成20(受)889号 判決言渡日:平成21年10月8日

チャップリン事件

 

主 文
本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。 理 由 上告代理人角田雅彦の上告受理申立て理由第1について 1 本件は,被上告人が上告人らに対し,著作権法(昭和45年法律第48号) の施行日である昭和46年(1971年)1月1日より前に公開された原判決別紙 「映画目録」記載1~9の劇場用映画(以下,これらの各映画をそれぞれ同目録の 番号に従い「本件映画1」などといい,「本件各映画」と総称する。)の著作権侵 害を理由として,著作権法112条1項,2項に基づき,DVD商品の複製及び頒 布の差止め,その在庫品及びデジタルリニアテープの廃棄を求めるとともに,民法 709条,719条,著作権法114条3項に基づき,損害賠償を求める事案であ る。上告人らは,本件各映画の著作者は団体たる映画製作会社のみであり,仮にそ うでないとしても,本件各映画は団体の著作名義をもって公表されたものであるか ら,旧著作権法(昭和45年法律第48号による改正前のもの。以下「旧法」とい う。)による著作権の存続期間については,旧法6条が適用され,本件各映画の著 作権は,存続期間の満了により消滅したと主張して争っている。 2 原審の適法に確定した事実関係の概要は,次のとおりである。
(1) 本件各映画は,いずれも独創性を有する映画の著作物であり,大正8年 (1919年)6月から昭和27年(1952年)10月までの間に公表された。

(2) 本件各映画は,いずれもチャールズ・チャップリンが原作,脚本,制作な いし監督,演出,主演(本件映画3を除く。)等を単独で行い,その発案(本件映 - 2 - 画8を除く。)から完成に至るまでの制作活動のほとんど又は大半を行っている。 その内容においても,チャップリン自身の演技(本件映画3を除く。),演出等を 通じて,同人の思想・感情が顕著に表れており,本件各映画の全体的形成に創作的 に寄与した者は,チャップリンである。

(3) 本件映画1,2の各映像にはチャップリンの原作に基づき同人が制作をし たことが,本件映画3の映像には同人の原作に基づき同人が監督をしたことが,本 件映画4~7の各映像には同人の原作に基づき同人が主演,監督をしたことが,本 件映画8,9の各映像には同人の原作に基づき同人が主演,総監督をしたことが, それぞれ同人の実名をもって示されている。また,本件映画7の映像にはA社がそ の著作権者であることが,本件映画8の映像にはB社がその著作権者であること が,本件映画9の映像にはC社がその著作権者であることが,それぞれ示されてい る。

(4) 本件映画1~6については,アメリカ合衆国著作権局において,いずれも 著作者をチャップリンとする登録がされたが,本件映画7~9については,それぞ れその著作者をA社,B社,C社とする登録がされた。

(5) 被上告人は,昭和31年(1956年)に本件各映画の著作権すべてを取 得した。

(6) チャップリンは,昭和52年(1977年)12月25日に死亡した。 (7) 上告人らは,被上告人の許諾を得ずに,本件各映画を複製して,DVD商 品を作成し,頒布している。 3(1) 旧法の下において,著作物とは,精神的創作活動の所産たる思想感情が 外部に顕出されたものを意味すると解される。そして,映画は,脚本家,監督,演 - 3 - 出者,俳優,撮影や録音等の技術者など多数の者が関与して創り出される総合著作 物であるから,旧法の下における映画の著作物の著作者については,その全体的形 成に創作的に寄与した者がだれであるかを基準として判断すべきであって,映画の 著作物であるという一事をもって,その著作者が映画製作者のみであると解するの は相当ではない。

また,旧法の下において,実際に創作活動をした自然人ではな く,団体が著作者となる場合があり得るとしても,映画の著作物につき,旧法6条 によって,著作者として表示された映画製作会社がその著作者となることが帰結さ れるものでもない。
同条は,その文言,規定の置かれた位置にかんがみ,飽くまで 著作権の存続期間に関する規定と解すべきであり,団体が著作者とされるための要 件及びその効果を定めたものと解する余地はない。
これを本件についてみるに,上記事実関係によれば,本件各映画については,チ ャップリンがその全体的形成に創作的に寄与したというのであり,チャップリン以 外にこれに関与した者の存在はうかがわれないから,チャップリンがその著作者で あることは明らかである。 (2) 旧法の下において,独創性を有する映画の著作物の著作権の存続期間につ いては,旧法3~6条,9条の規定が適用される(旧法22条ノ3)。
旧法3条は,著作者が自然人であることを前提として,当該著作者の死亡の時点 を基準にその著作物の著作権の存続期間を定めることとしている。

しかし,無名又 は変名で公表された著作物については,著作者が何人であるかを一般世人が知り得 ず,著作者の死亡の時点を基準にその著作権の存続期間を定めると,結局は存続期 間が不分明となり,社会公共の利益,法的安定性を害するおそれがある。著作者が 自然人であるのに団体の著作名義をもって公表されたため,著作者たる自然人が何 - 4 - 人であるかを知り得ない著作物についても,同様である。

そこで,旧法5条,6条 は,社会公共の利益,法的安定性を確保する見地から,これらの著作物の著作権の 存続期間については,例外的に発行又は興行の時を基準にこれを定めることとし, 著作物の公表を基準として定められた存続期間内に著作者が実名で登録を受けたと きは,著作者の死亡の時点を把握し得ることになることから,原則どおり,著作者 の死亡の時点を基準にこれを定めることとしたもの(旧法5条ただし書参照)と解 される。

そうすると,著作者が自然人である著作物の旧法による著作権の存続期間 については,当該自然人が著作者である旨がその実名をもって表示され,当該著作 物が公表された場合には,それにより当該著作者の死亡の時点を把握することがで きる以上,仮に団体の著作名義の表示があったとしても,旧法6条ではなく旧法3 条が適用され,上記時点を基準に定められると解するのが相当である。

これを本件についてみるに,本件各映画は,自然人であるチャップリンを著作者 とする独創性を有する著作物であるところ,上記事実関係によれば,本件各映画に は,それぞれチャップリンの原作に基づき同人が監督等をしたことが表示されてい るというのであるから,本件各映画は,自然人であるチャップリンが著作者である 旨が実名をもって表示されて公表されたものとして,その旧法による著作権の存続 期間については,旧法6条ではなく,旧法3条1項が適用されるというべきであ る。団体を著作者とする旨の登録がされていることや映画の映像上団体が著作権者 である旨が表示されていることは,上記結論を左右しない。

(3) そうすると,本件映画1~7の著作権の存続期間は,平成15年法律第8 5号附則3条,昭和45年法律第48号附則7条,旧法22条ノ3,3条1項,9 条,52条の規定により,いずれも少なくとも平成27年(2015年)12月3 - 51日までとなり,他方,本件映画8,9の著作権の存続期間は,平成15年法律第 85号附則2条,昭和45年法律第48号附則7条,旧法22条ノ3,3条1項, 9条,52条,著作権法54条1項の規定により,少なくともそれぞれ平成29年 (2017年)12月31日まで,平成34年(2022年)12月31日までと なる

したがって,本件各映画の著作権は,その存続期間の満了により消滅したという ことはできない。 4 以上と同旨の原審の判断は,正当として是認することができる。所論引用の 最高裁平成19年(受)第1105号同年12月18日第三小法廷判決・民集61 巻9号3460頁は,自然人が著作者である旨がその実名をもって表示されたこと を前提とするものではなく,旧法6条の適用がある著作物であることを前提として 平成15年法律第85号附則2条の適用について判示したものにすぎないから,本 件に適切でない。論旨は採用することができない。

よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。

 (裁判長裁判官 宮川光治 裁判官 甲斐中辰夫 裁判官 涌井紀夫 裁判官 櫻井龍子 裁判官 金築誠志)

 

結論は、チャップリンの著作権は、「それぞれ平成29年 (2017年)12月31日まで,平成34年(2022年)12月31日までと なる」という結果ですね。

そう、2022年12月31日意向が楽しみですね。
きっと、チャップリンは笑っているかもしれませんね。


49.著作権の保護期間が死後70年まで延長に


 
文学・音楽美術・写真など、著作権の保護期間を現行の著作者の死後年から、欧米並みの年への延長を求めていくことで関係団体の意見が一致した。2006年9月中にも共同声明をまとめ、文化庁に著作権法の改正を要望することになった。

同庁は声明や利用者側の意見を踏まえ、2007年度中にも文化審議会の著作権分科会で法改正を目指すとしている。

国内の著作権の保護期間を巡っては、日本の映画やアニメの人気が海外でも高いことから、国際競争力を伸ばすなどの趣旨で2004年、映画のみ欧米並みの公表後70年に延長されたばかり。

しかし、その他の著作物についても、欧米では著作者の死後70年が標準となってきているが、日本では、死後50年間のまま残され、政府が唱えている「知的財産立国」の視点からも、保護期間の視点からも、保護期間の延長は急務とする声が上がっていた。

このため、日本文芸家協会や日本音楽著作権協会、日本美術家連盟、日本写真著作権協会など関係14団体は、2006年7月上旬に東京で懇談会を開催。

その中で、「日本だけが保護期間が短いというのは問題だ」ということで一致。また、「欧米で70年間保護される文学作品が、日本では、作家に無断で翻訳されてしまうなどの不都合が生じる」と言った声が相次ぎ、「70年保護」で意見がまとまった。

2006年度、死後50年を経過するのは、詩人の高村光太郎や歌人・会津八一など、72007年度は、評論家の徳富蘇峰ら。
2008年には、日本画家の横山大観、2009年には俳人の高浜虚子、永井荷風。三島由紀夫は2020年、川端康成2022年に死後50年を迎える。



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