記事一覧

着地に向かって

1日でも長く生きてほしいと願う人がいる。 長くなくても、ゆっくり、穏やかにと願う人がいる。 人は息を吐いて生まれ、息を吸って死ぬらしい。 人生の着陸態勢に入って…

nosoyasu
4年前

再発

ちょうど一年前、noteにしたためた母の乳がん発覚から手術。 あれから一年経とうという秋に、母が骨折で入院。単なる骨折なのかと思っていたが、乳がんからの再発および転…

nosoyasu
5年前

母退院

乳がんの左乳房全摘手術を終えて、本日母が退院することとなった。 退院前日のモヤモヤについてnoteに記したが、彼女自身余裕が出たと見えて、その影を潜めている。 手術…

nosoyasu
6年前

本音

母の乳がんは、本日左乳房摘出手術により終了した。 私は連休を使って帰省していた。 昨夜(手術の前日)母が自宅に電話をしてきた。 家には父、姉、私、私の息子(5歳…

nosoyasu
6年前
1

「頼られる」と「都合よく使われる」の紙一重

ある意味、私は、何事もある程度のことはだいたいはできるし、だいたいできるからイヤでもない。これは強みでもある。 だが、この一見器用にも思える資質を持っていると「…

nosoyasu
6年前
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整理する時間

樹木希林さんは生前、「癌で死ねるのはありがたいこと。自分のことや周りのこと、気持ちを整理する時間があるから」とおっしゃっていた。 希林さんが亡くなった数日前に、…

nosoyasu
6年前
1

めんどくさい人

先日、久しぶりに占いに行ってきた。 何かを占ってもらいたいという目的も明確にしていなかったが、とにかく、今を、これからを見て欲しかった。 何についてでもいい。見…

nosoyasu
6年前
2

母の揺れる思い

母が乳がんとわかってから全摘手術決断までは、あっという間だった。 手術は、10月初旬と決まった。 常に気丈なふるまいだった母に、こまめに電話をするようになった。 …

nosoyasu
6年前
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母へ

2018年のお盆に帰省した時「お母さん、おっぱいにシコリがあるのよ。だから再検査なの」と言われた。 12月に80歳になる母が、毎年かかさず受けていた人間ドックで、今回初…

nosoyasu
6年前
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着地に向かって

1日でも長く生きてほしいと願う人がいる。

長くなくても、ゆっくり、穏やかにと願う人がいる。

人は息を吐いて生まれ、息を吸って死ぬらしい。

人生の着陸態勢に入っているなら
長さではなく、限られた時間を穏やかにと願う。

そのために出来ることは、けっこう少ない。

側にいて、言葉にならない声を、うん。そうだね。と、聴くことしかできない。

私の声が届いていると信じて。

心安らかになってほしいと

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再発

ちょうど一年前、noteにしたためた母の乳がん発覚から手術。

あれから一年経とうという秋に、母が骨折で入院。単なる骨折なのかと思っていたが、乳がんからの再発および転移が怪しいという見立て。え?一年で。80歳で?と家族としては信じられない、受け入れがたい状況となった。

なぜなら、手術からは順調に体調も回復し、元気に一人で出かけたり、家事も普通にできていた。食欲もあり、顔色もよく、衰えをほぼ感じら

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母退院

乳がんの左乳房全摘手術を終えて、本日母が退院することとなった。

退院前日のモヤモヤについてnoteに記したが、彼女自身余裕が出たと見えて、その影を潜めている。

手術後、麻酔が切れた時には、たいだい痛みが出るものだ。
私も2回の手術経験があるが、やはり2回とも痛みがあった。
姉もアキレス腱断絶の際の手術では、麻酔が切れた夜は痛かったと言っていた。
その経験を母にも伝え、痛いときは我慢せず痛み止め

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本音

母の乳がんは、本日左乳房摘出手術により終了した。

私は連休を使って帰省していた。

昨夜(手術の前日)母が自宅に電話をしてきた。
家には父、姉、私、私の息子(5歳)がいた。
彼女は、万が一のことがあっては・・・との思いもあり、電話をして来たようだが、父から受話器を渡された私が電話口に出ると、姉が出ると思ったのか、『あんたはどっち?お姉ちゃん?』と母。
「いや、お姉ちゃんじゃないよ」と私。
「あー

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「頼られる」と「都合よく使われる」の紙一重

ある意味、私は、何事もある程度のことはだいたいはできるし、だいたいできるからイヤでもない。これは強みでもある。

だが、この一見器用にも思える資質を持っていると「頼られる」こともよくあるが、しかし、「都合よく使われる」こともあるのだ。

人は、自分がやりたいこと、自分がやったほうがうまくいきそうなことは、自分でやるのだ。
でも、「まぁこれは自分がやらなくていいか、そこまで重要性を感じない、やりたい

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整理する時間

樹木希林さんは生前、「癌で死ねるのはありがたいこと。自分のことや周りのこと、気持ちを整理する時間があるから」とおっしゃっていた。

希林さんが亡くなった数日前に、母の乳がんが確定診断となった。

希林さんの言葉が何回も繰り返しTVで紹介されるたびに、本当なのかなー、ご家族はどんな思いだったのかなーなんて。希林さんの言葉をそのまま受け入れることができない自分がいた。

乳がんと宣告され、手術を決めた

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めんどくさい人

先日、久しぶりに占いに行ってきた。

何かを占ってもらいたいという目的も明確にしていなかったが、とにかく、今を、これからを見て欲しかった。
何についてでもいい。見えるものを、感じるものを、伝えて欲しかった。

全体的に私という人は、それほど新しもの好きでもなく、なにか突拍子もないことをするのでもなく、慎重に物事を考えて、考えて、時にはそのまま行動しないことも多い。ただ迷って迷って、ある時突然行動す

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母の揺れる思い

母が乳がんとわかってから全摘手術決断までは、あっという間だった。

手術は、10月初旬と決まった。

常に気丈なふるまいだった母に、こまめに電話をするようになった。
と、ふと、ある時、母の声が止まった。
『あなたと話しているうちに、涙が出てきちゃった・・・』

気丈な裏側に、癌という自分の親族を死に追いやった病魔への恐れ、心細さはきっとあったはず。少し時間が経って、自分の身におきていることを冷静に

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母へ

2018年のお盆に帰省した時「お母さん、おっぱいにシコリがあるのよ。だから再検査なの」と言われた。
12月に80歳になる母が、毎年かかさず受けていた人間ドックで、今回初めておっぱいにシコリが見つかったのは、ほんの数ヶ月前のこと。
今までも再検査の項目は時々みつかるものの、特に異常はなかった。
お盆の帰省の際に、母から言われた時、”はたして本当に80になる老婆が乳癌なんてできるんだろうか”と半信半疑

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