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着地に向かって

1日でも長く生きてほしいと願う人がいる。 長くなくても、ゆっくり、穏やかにと願う人がいる。 人は息を吐いて生まれ、息を吸って死ぬらしい。 人生の着陸態勢に入っているなら 長さではなく、限られた時間を穏やかにと願う。 そのために出来ることは、けっこう少ない。 側にいて、言葉にならない声を、うん。そうだね。と、聴くことしかできない。 私の声が届いていると信じて。 心安らかになってほしいと願って。 頑張ってとは言わない。十分頑張っているから。 ただ、ただ、側にいて

    • 再発

      ちょうど一年前、noteにしたためた母の乳がん発覚から手術。 あれから一年経とうという秋に、母が骨折で入院。単なる骨折なのかと思っていたが、乳がんからの再発および転移が怪しいという見立て。え?一年で。80歳で?と家族としては信じられない、受け入れがたい状況となった。 なぜなら、手術からは順調に体調も回復し、元気に一人で出かけたり、家事も普通にできていた。食欲もあり、顔色もよく、衰えをほぼ感じられない状態だったからである。しかし一度転び、二度目の転倒からは、物凄い勢いで衰え

      • 母退院

        乳がんの左乳房全摘手術を終えて、本日母が退院することとなった。 退院前日のモヤモヤについてnoteに記したが、彼女自身余裕が出たと見えて、その影を潜めている。 手術後、麻酔が切れた時には、たいだい痛みが出るものだ。 私も2回の手術経験があるが、やはり2回とも痛みがあった。 姉もアキレス腱断絶の際の手術では、麻酔が切れた夜は痛かったと言っていた。 その経験を母にも伝え、痛いときは我慢せず痛み止めを頼むことを勧めていた。 ところがである! 母、どのくらい痛いのかしらーって思

        • 本音

          母の乳がんは、本日左乳房摘出手術により終了した。 私は連休を使って帰省していた。 昨夜(手術の前日)母が自宅に電話をしてきた。 家には父、姉、私、私の息子(5歳)がいた。 彼女は、万が一のことがあっては・・・との思いもあり、電話をして来たようだが、父から受話器を渡された私が電話口に出ると、姉が出ると思ったのか、『あんたはどっち?お姉ちゃん?』と母。 「いや、お姉ちゃんじゃないよ」と私。 「あー、そっか。」と母。 しばし普通の話をしたが、姉に話があったんだろうなと勝手に察

          「頼られる」と「都合よく使われる」の紙一重

          ある意味、私は、何事もある程度のことはだいたいはできるし、だいたいできるからイヤでもない。これは強みでもある。 だが、この一見器用にも思える資質を持っていると「頼られる」こともよくあるが、しかし、「都合よく使われる」こともあるのだ。 人は、自分がやりたいこと、自分がやったほうがうまくいきそうなことは、自分でやるのだ。 でも、「まぁこれは自分がやらなくていいか、そこまで重要性を感じない、やりたいという気持ちが少し優先順位として低い時」は、そこまでして自分がやらなくてもいいの

          「頼られる」と「都合よく使われる」の紙一重

          整理する時間

          樹木希林さんは生前、「癌で死ねるのはありがたいこと。自分のことや周りのこと、気持ちを整理する時間があるから」とおっしゃっていた。 希林さんが亡くなった数日前に、母の乳がんが確定診断となった。 希林さんの言葉が何回も繰り返しTVで紹介されるたびに、本当なのかなー、ご家族はどんな思いだったのかなーなんて。希林さんの言葉をそのまま受け入れることができない自分がいた。 乳がんと宣告され、手術を決めたあの日から、10日が経った。 先週1週間、これまでになく、たくさん母と電話で話

          整理する時間

          めんどくさい人

          先日、久しぶりに占いに行ってきた。 何かを占ってもらいたいという目的も明確にしていなかったが、とにかく、今を、これからを見て欲しかった。 何についてでもいい。見えるものを、感じるものを、伝えて欲しかった。 全体的に私という人は、それほど新しもの好きでもなく、なにか突拍子もないことをするのでもなく、慎重に物事を考えて、考えて、時にはそのまま行動しないことも多い。ただ迷って迷って、ある時突然行動することもけっこう多い。。。というのが見立てだった。 あれ?これでも新しいものに

          めんどくさい人

          母の揺れる思い

          母が乳がんとわかってから全摘手術決断までは、あっという間だった。 手術は、10月初旬と決まった。 常に気丈なふるまいだった母に、こまめに電話をするようになった。 と、ふと、ある時、母の声が止まった。 『あなたと話しているうちに、涙が出てきちゃった・・・』 気丈な裏側に、癌という自分の親族を死に追いやった病魔への恐れ、心細さはきっとあったはず。少し時間が経って、自分の身におきていることを冷静に、客観的に受け止め、やはり『癌』という事実に、気持ちの整理は追いついていかなった

          母の揺れる思い

          母へ

          2018年のお盆に帰省した時「お母さん、おっぱいにシコリがあるのよ。だから再検査なの」と言われた。 12月に80歳になる母が、毎年かかさず受けていた人間ドックで、今回初めておっぱいにシコリが見つかったのは、ほんの数ヶ月前のこと。 今までも再検査の項目は時々みつかるものの、特に異常はなかった。 お盆の帰省の際に、母から言われた時、”はたして本当に80になる老婆が乳癌なんてできるんだろうか”と半信半疑だったし、今までも石灰化は見つかっていたから、あまり心配もしなかった。 お盆の