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毎年恒例、和歌山ではまぐりを焼く【ヤサグレ会】

お盆に友達のしめちゃんと一緒に友の墓参りに行き、毎年恒例の和歌山の黒潮市場へ、はまぐりを焼きに行った。
カメラのGRを連れて行ったのだが、しめちゃんと出かけると私たちはずっと喋っているのでカメラを出すタイミングがあまりないし、喋っていて周りの景色をあまりゆっくりと目を向ける時間がないから写真撮影に向かないことが分かった。
しめちゃんと台湾に行った時もあんまり写真がないのはそういう理由だったのだろう。
そんなわけで、GRをポケットに入れて、隙をついて撮影した写真をいくつかを。

アイコスの調子が悪かったらしいしめちゃん
(これは他人の吸い殻)
線香はいつもしめちゃんが持ってきてくれる。
(これは売り物の線香)

お盆になると墓参りの帰りに必ず来ている和歌山だが、昨年は緊急事態宣言中で中止しており、久しぶりの和歌山ドライブとなる。
今年は天気やいろんな都合で1週遅らせることになった。
いつもは和歌山のマリーナシティで夏の花火大会が行われる日とバッティングしてしまい、駐車場もBBQのゾーンも混んでいるのだが、今年は1週遅らせたおかげで花火大会はなく、空いていそうな雰囲気。
今年も例年通り、ポルトヨーロッパの駐車場に車を停めて入場無料のポルトヨーロッパの中を通り抜けて黒潮市場に向かうという贅沢なショートカットをした。
しかし駐車場が高すぎる。
1回1000円でも高いと思っていたのに、今年は1500円であった。
物価が上がってきていることをあまり身近に感じていない呑気な私たちだったが、ここにきて駐車場の値上がりに恐れおののく。
ポルトヨーロッパでヨーロッパ気分を一瞬だけ味わって通り抜け、そういえばここでNHKの朝ドラ「カムカムエヴリバディ」の収録をしてたよね、ふかっちゃんがここで踊ったな、オダギリジョーもここを歩いたな等、思いがけずのロケ地巡りとなって少しテンションが上がった。

謎キャラ
ここで深津絵里がワンピースを着て踊った。
あ、ごらんの通り非常に空いている遊園地です。

さて、黒潮市場。
いつもは物凄い混雑なのだが、やはりガラガラであった。
海外の人が和歌山観光ついでにここへよく来ていたが、今年もまだまだ観光客は少な目である。
BBQも席をとる必要がなく、自由に好きな場所へどうぞ、と言われた。

いつも決まって、はまぐりを買って焼くのだが、海産物コーナーで再び恐れおののいた。
はまぐりがむちゃくちゃ値上がりしていたのである。
5個で1500円。
そんな…ばかな…。
大きさや個数によって値段はまちまちではあったが、いつもは800円くらいで買っていたものが1500円!
物価が…恐ろしいくらい…上がっている…!
私たちははまぐりの前で震えて立ちすくんだ。
「どうする?」私は恐る恐るしめちゃんに聞いた。
「高すぎるな」としめちゃん。
数秒沈黙の後、「ここまで来たら買うしかないやろ」としめちゃんに言われて覚悟を決めた。
そう、私たちははまぐりを焼きに高速に乗ってはるばる和歌山くんだりまで来たのである。
買ったろうやないかい。
覚悟を決めたついでに牛バラ串800円とチーズフランク600円も勢いで買った。
そして、ちゃんといつも通り和歌山ラーメンを一人1杯ずつ買ってしめちゃんがそれを持ち、私が胡椒を別皿にちゃんと振って持ち運んだ。
役割分担は毎年同じなので何も言わなくても完璧である。

顔の穴が大きすぎることを指摘するしめちゃん。
ここのマグロのテーマソングが好きなのにかかってなくてガッカリする私

扇風機の風が来やすそうな位置のテーブルをしめちゃんが選んで、店員さんに炭火に火をつけてもらい、私のラーメンのメンマをしめちゃんのラーメンの中に全部入れて、それぞれ和歌山ラーメンをすすり始める。
しばらくして私がコーラを2つ買いに行き、しめちゃんが「メンマ多すぎるから」とぼやき、「暑い!」と言って二人ともが手ぬぐいを首に巻くまでは、毎年ほぼ同じことの繰り返し。お約束。

今年は新たな展開が少しあった。
しめちゃんが、「なあ、BBQする前にラーメン食べる人っておる?」と私に今更聞いたのである。
「しかも炭火に火をつけてもらってめっちゃ暑い中、最初にラーメンを食べるっておかしくない?」と聞かれて私はハっとした。
確かに、炭火に火をつけてもらうのはラーメンが終わってからでもいいということを今更ながら気が付いて、顔面にじとりと流れる汗の憎たらしさが増した。
「ここでラーメン食べてる客、他におらんで」としめちゃんが言う。
「そんなん関係ないやん」と私が返した。
私たちは他の人がどうしているとか意識せずに我が道をいきすぎているから気が付かなかったが、確かに誰もBBQゾーンで最初にラーメンを食べている人はいなさそうだった。
でも、いいのよ。
食べたいものを食べたい時に食べたい順に食べましょうよ。
気を取り直してラーメンをすすり続けた。
今年の和歌山ラーメンは例年以上にのびていたが、それもまた良き。

それから、私が車の中に凍らせたお茶と手持ちの扇風機を忘れたことを嘆いた後、いよいよはまぐりタイム。
はまぐりは、何も考えずに焼くと、熱々の殻が弾け飛んで、ものすごいスピードで頸動脈を狙ってくる兵器となるから細心の注意を払わないといけない。
首に手ぬぐいを巻くのはその防御の意味である。
私は念入りにストールも巻いてスタンバイ。
しめちゃんが少しだけ殻が開いたはまぐりを見つけるとトングで殻を開いて剥がし、片方の殻をちぎって取り出し、「これ」と言う。
そしてすかさず私がそれにだし醤油を貝の身にピューっと注ぐ。
この一連の作業も毎年同じなので役割分担はできている。
1年に1度、お盆の和歌山のはまぐりタイムが、私たちが最も絆を感じる瞬間かも知れない。
この方法は5年位前に一番おいしくはまぐりを焼く方法を色々調べてたどり着いた方法である。ベストなのかは知らないが私たちはこの方法を気に入っていて信じて続けている。
そしてチーズフランクを焼いて、油断している瞬間にはまぐりの殻ではなくフランクの中のチーズから物凄い攻撃を受け、私の大事な高級カメラのGRがチーズの被害に遭ったりした。
それから最後に、それはそれは薄い牛バラ串をばらして一枚ずつ焼いて食べた。
今年から備え付きの調味料に「ほりにし」が増えていて、しめちゃんは大層喜んでいた。
そんな感じでわざわざ墓参りの後に和歌山までやってきてBBQではまぐりを食べる宴を終了した。
来年は私が日本にいないため来られないことをしめちゃんは少し嘆いたが、「また来よう」と私がさりげなく言って話を終えた。

今年は3丁目で。
向こうは海。
めんまは嫌いなのでいつも人にあげる私。
誰よりも艶やかなはまぐり。
マクロで撮った牛バラ串。マグロじゃないよ。
このフランクの先から熱々チーズがスプレー状に飛び出た。
はまぐりのうまい汁のあぶくを撮るのに必死な私。
とても空いていました。

黒潮市場でしめちゃんは梅酒を買って、私はいつものように桃のフローズンを買って飲んで、黒潮市場の隣のフルーツ村で訳アリの桃3つ500円を買って帰ることにした。
毎年毎年、ほぼ同じことを繰り返しているが、お約束をなぞって過ごすのもまた楽しいものである。


大阪に戻り、なんか物足りへんな、ということで近所のロイヤルホストに寄り、ドリンクバーとパンケーキなどを食べた。
「など」と書いたが、実は私はパンケーキを2回注文して6枚食べたし、しめちゃんはドリアを食べてからパンケーキ3枚を食べた。
それからドリンクを何往復も飲んで、ジョニーデップがどの時点からダサくなったと感じたか、そして、ブラッドピットがどの時点からかっこいいと思うようになったかを、2人それぞれの思った瞬間を発表し合った。
ジョニーデップはほぼ同じタイミングでダサいと思うようになったが(子供重視で作品選びをし出した時。つまりパイレーツ)、ブラッドピットはだいぶタイミングが違っていて、私は世界中で一番ブラピの魅力に気付いたのが遅い人認定を受けた。(しめちゃんはガイリッチー監督作に出た時からで、私のブラピ沼はワンハリからなので。遅。)

それから、私の週末の時間が何者かに奪われている話をした。
私の金曜の夜は朝方までNetflixを見て寝て、土曜の昼過ぎに起きて、適当に何かを食べながらソファーに横になって録画したテレビを見続けていたらまたお腹が空いて何かを食べて、ウトウトしたりして、気づいたら土曜は終わって日曜のAM2時過ぎになっており、慌てて「明日は早く起きよう」と思って寝て起きたら昼過ぎで、ワイドナショーとゴッドタンの録画を見て、またソファーに横になっていて、気が付いたら「鎌倉殿の13人」が終わって「え!」って声に出して、慌てて風呂に入るという私の失われた週末のリピート。どの時点で時間が奪われているのだろうか。いつも気づいたら鎌倉殿が終わってるというこの現象はどうなっているのかねという話をしたらしめちゃんが、「同じような感じやで、私もずっとゴロゴロしてる。でもその合間にお風呂はちゃんと入るし、風呂掃除をしたりコンビニに行ったり部屋を片付けたりはしてるけどな」と言われて、しめちゃんは本当にちゃんとした人間だとまた憧れてしまった。

車中往復と合わせて一日中喋っていたので喋ったことをあまり覚えていないが、最後にGRで撮った写真を一緒に見ながら、二人で撮った写真が全然イケてなくて、シワだのたるみだの太ってるだのほうれい線だの色々ダメだとしめちゃんが言い、数年前に同じ黒潮市場で撮った写真を見比べたりして老けたなあと落ち込み気味の私たちであった。
そして、私が「今日が一番若いんやで。数年後、今日の写真を見て、『この時は若かったなあ』って言う日が来るんやから。」と慰めになっているのかどうなのかポジティブなのかネガティブなのか分からない言葉を言い、そうやな、と一応二人で納得し、今日一番美しく写っているのは、焼かれているはまぐりだということで結論が出た。

二人ともそれに異論はなく、今年もこの日がいい夏休みの一日として締めくくられた。

これはパンケーキ1回分(3枚)
私は時間をあけて、2回食べた。


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