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雨の日、キャンプの帰り道。

和歌山熊野でのキャンプ。

夜明け前からずっと雨である。
雨が好きなので全然いい。
なんなら、降水確率100%を分かっていて、キャンプ場が空いているだろうと思ってやってきたから、何の動揺もない。
雨の日は涼しいし、テントの中でポツポツと断続的に続く雨粒の音を聞いて過ごすのも楽しい。

この日はすごい偶然があった。
相棒が温泉で朝風呂に入っている間に、ふと、熊野古道を歩き終わってお店に行くといつも売り切れていて食べられたことがないシュークリーム屋さんに、午前中に行ってみようと思い付いた。
さすがに昼前なら売り切れていないはず。
一人で大雨の中、車で10分の場所にあるシュークリーム屋に行ってみたら、お客さんは一人しかおらず、売り切れていないとのことだった。
ラッキー!
独り言を言い、普通のシュークリームと、今月の限定のキャラメルバナナシュークリームを1つずつ買うことにした。箱詰めを待っている間、先客で店にいた女性に目をやった。

あれ。

知ってる人のような気がするけど、マスクと髪の毛で顔がほとんど隠れていて自信がない。
スペインのカミーノと熊野古道を歩いた人がよく持っている、木でできたキーホルダー(私ももちろん持っている)を机の上に置いている。
デュアルピルグリムは大体友達」ってラップで言いたいくらいの仲間意識はあるものの、まさか。
女性の足元を見ると、私がカミーノを歩く時に履いているのと同じkeenのtarghee2だったことで確信。
彼女の名前を呼んだら、その女性も驚いて私の名前を呼んだ。

この女性は、何年も前からカミーノのブログを書いている人で、私が7年前にカミーノを初めて歩く準備中に読ませてもらって参考にさせてもらった人。彼女のブログでおすすめされていたのを見て私も同じ靴を買ったのである。
私がスペインを800km歩き終えてから、ひょんなことからメッセージをやりとりをする仲になり、ルピュイの道を歩く際も、詳しい資料をくれて、歩いている最中も色々と助けてもらったり、カミーノ絡みで初めて直接会うこともできた。
歳も近くてノリもあったので、東京在住の彼女が大阪に来たタイミングで都合が合えば、数年に一度くらいご飯を食べたりする間柄である。
そんな彼女が、なんと偶然東京から関西に来ていて、旅行が中止になったからまた熊野古道を歩くことにし、このシュークリーム屋にたまたま寄ったらしかった。



こんなことってあるの?と会った瞬間は興奮した私たちだったが、カミーノを歩いたことのある人なら分かると思うが、こんなことってカミーノ仲間の間では、割とある。
「カミーノマジック」と呼んでいるのだが、偶然の出会いとか再会とか、思わぬところでばったりとか、またカミーノを歩くタイミングが被るとか、スペインでだけ偶然会うとかしょっちゅうある。
スペインを800km歩いて旅するような人たちは、旅の好みや行動パターンや旅の仕方、行き先が似ているから、そういうことは割と起こりうるんだろうと思う。
それでも驚いた。
カミーノマジックだね、と言い合って、記念に写真を撮って「じゃあ、また!」と言って別れた。
ちなみに前夜の花火大会も同じ場所で見ていたらしい。
偶然の再会にかなり興奮しながら、シュークリームを2個持って温泉へ戻った。

シュークリームは言うまでもなく美味しかった


ランチは、請川にある「みるりいな」という川沿いの素敵なログハウス調のレストランへ。熊野古道の旅の途中に何度か寄ったことがあるが、いつもなぜか臨時休業でご縁がなかったのだが、今回初めて開いていて、大満足。
熊野牛すじオムハヤシライスが最高にボリューム満点味満点であった。

ご飯普通サイズが大盛りレベル



大雨で寄り道もせずにまっすぐ帰る道。
果てしなく長いトンネル。
窓ガラスにくっつく雨粒。
ワイパーが弾く音。
カミーノの旅で大雨が続いた道の途中で、木々やポンチョに打ち付ける雨の音、ぬかるみを踏む靴の音を、「なんて素晴らしいミュージック」って言って笑ったベルギーの彼のその言葉のおかげで、私は今日も雨を楽しめている。
彼の水色のビー玉みたいな目も雨のミュージックも。
いくつもの景色と言葉が、今の私を支えて、人生を楽しくさせている。
偶然と必然、新しい出会いと再会。
世界中にマジックは散らばっているはず。
これからもまた旅に出て、いくつもそういったものに出会えると思うと、私の人生はまだまだ楽しくなるはずだと強く信じたい。

そんな風に思う雨の日、キャンプの帰り道。




熊野でキャンプ2022編はこれにて終了。


そしてまた、明日からはソロキャンプ。
今回のキャンプ飯の方向性は既に決めている。念のため小さいステーキ肉も買ってある。
小雨予報ではあるけれどまた、行ってきます。



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