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神秘的熊野古道。小雲取越をハイキング。

川湯温泉の朝。
事前に注文していたいつもお世話になっている大村屋のお弁当を受け取りに行って、バスに乗って出発。
昨日大雲取越を終了した地点の小口へとバスを乗り継いで向かう。


以前は竹籠に入ったお弁当だったのにプラスチック容器に変わって少し残念。

シャリバテしないように、バス待ちの間にお弁当を開けておにぎりの方を確認。
赤飯とおこわといなりとめはり寿司がある。
赤飯をまずバス停で食べて、おこわといなり寿司はリュックのサイドポケットに入れて、歩いている途中でもいつでも食べられるようにセットした。
小雲取越のルートマップはこんな感じ。
アップダウンはあるが、昨日ほどではないからだいぶ楽に感じられるはず。
気楽に歩くことにした。

熊野古道のイラストがかわいい。

熊野古道の道に時々現れるお地蔵さまに見守られながら進む。
1時間半ほど歩いてすっかり桜は散っていた「桜茶屋跡」に着いたのでお弁当タイムに入ろうと思ったが、それほど疲れはなかったので、お弁当の中身を確認し「なるほど」と頷いてから、おにぎりを食べながら先を進むことにした。(予約時に「椎茸は抜いてください」というワガママをお伝え済み)

「どちらへも 遠き山路や 遅桜」
ここまで来たら歩き通すしかないもんね。
「歩まねば 供養ならずと 亡き母が 
のたまいていし 雲取に来ぬ」


登ったり降りたりを繰り返し進む。
途中、ふいにシダ植物のぐるぐるの存在が気になってきた。
突然の、ぐるぐるの撮影に夢中になる時間がやってきた。

神秘的ぐるぐる

急にハマると全然前に進まずに無我夢中になる人と化した。
非常に楽しいぐるぐる撮影会であった。

更に進み、神秘的な場所に着く。
1箇所にだけ太陽があたり、キラキラしている場所。
そこは「賽の河原地蔵」のある場所だった。
石が積まれたところだけが輝きを放っていて不思議な世界観を醸し出していた。
熊野詣の道中に亡くなった人を弔うために建立されたお地蔵さまで、その前に積み上げられた石を賽の河原に例えている場所。怖いくらいの美しさがあった。
こういう畏敬を感じるゾーンが毎回あるのが熊野古道の魅力だと私は勝手に感じ取っている。

そこを通り過ぎて小雲取越のハイライト、絶景ポイントの「百間ぐら」に到着。

賽の河原地蔵
百間ぐら

紀伊山脈をパノラマで眺める。
爽やかな気持ちになる。
ここで本日初めて人に会った。百間ぐら前で、おじいさん2人がバーナーでお湯を沸かして缶詰やカップラーメンを食べていた。
健脚なお二人と一言二言喋って通り過ぎた。

ここまで来るとあとは緩く下るのみ。
お弁当を食べる場所とタイミングを完全に逃したのでそのまま降りてしまうことにした。
さすがに疲れてきて汗もポタポタと落ち、こけないようにずっとうつむいて歩いていた。
すると、足元に急にピンク色の世界が広がった。
桜吹雪のあとだった。
思わず見上げるが、もうほとんど緑になった桜の木があった。
うつむいても下に広がる世界の美しさに気づくこともあるし、見上げればまた景色が変わる。
この前、感動の大団円で終わったNHK朝ドラ「カムカムエヴリバディ」のモモケンのセリフが心に蘇った。

暗闇でしか見えぬものがある。
暗闇でしか聞こえぬ歌がある。
モモケンbyカムカムエヴリバディ

モモケンってば、いいこと言うわ、と思い出しながら、「見上げてごらん夜の星を」よりも、しんどい時はうつむくことを肯定したい今の私だった。

ピンクの道
新しいkeenの靴。
前の靴は1000km以上歩いてボロボロになったので、
色違いの同じタイプのものに買い替えた。

結局お弁当を食べないまま小雲取越を歩き終えてしまった。
なので、私の大好きな場所、「大斎原(おおゆのはら)」まで行ってしまい、そこでお弁当を食べることにした。
さすがにこの日本一の鳥居の場所に来ると、いくらしんどくても見上げてしまう。
眩しくていつ見ても格好良い。
和歌山名物のめはり寿司を残しておいて良かった。ゆっくりお弁当を食べながら、また桜餅みたいな桜の木を眺めてのんびり。
お弁当の中に「ぐるぐる」の仲間がいた。
珍しく野菜も山菜も全て喜んで完食。
旅で食べる時は食べ物の好き嫌いが消えがちなのはとてもいいことだと思う。
椎茸は避けてもらったけれど。

風がない。
大斎原はもともと熊野大社があった場所。
水害に遭い今の本宮大社に移ったのだが、もともとはこの場所。
太陽をつかんでしまった
神秘的熊野古道弁当な写真
めはり寿司は、醤油味の高菜で巻いたお寿司。
ぐるぐる!ゼンマイ
秋みたいな葉っぱの色。桜餅風。


熊野本宮大社の長い階段を登る余力と時間はなかったので今回は寄らず、いつも立ち寄るとりいさんのお店に寄り、とりいさんとカミーノの話、今後の旅の予定などを話して、木で作ったキーホルダーをまたもらってバス停へ。
バスの時間で焦るとろくなことがないし、時間も体力も少し有り余るくらいがちょうど良い。
熊野のシンボルの八咫烏(やたがらす)に別れを告げ、スペインのサンティアゴまで10755kmのモホン(道標)を確認し「また行くからな」と心の中で呟いてバスに乗り込む。
今回の熊野古道、これにて終了。

爽快感でいっぱい。
汗だくになった体をさっぱりさせるべく、バスで白浜に向かう。
和歌山2泊3日旅で、3カ所の温泉に浸かる。白浜温泉で整えて帰る計画。
なんとも贅沢な女の旅はまだもう少し続く。

足3本の八咫烏(やたがらす)
八咫烏マスク着用
入り口のみで今回は失礼させていただきます。
八咫烏とカミーノのホタテ貝マークの共演



YAMAPのデータによると、小雲取越はこんな感じとなった。

標準時間は4時間半弱なので、ゆっくり写真を撮りながら歩いたことを考慮してもまあまあ順調だった思う。
しかし、5時間弱歩いて休憩が5分というのがまさに私らしい。
休憩を取りすぎると歩く気がなくなりそうな気がするから、だらだらとゆっくり歩き続けている方が性に合っているとカミーノの旅で学んだ。
人それぞれのペースがあるから、こういうところを人に合わせて無理をするとしんどい生き方になるのだろうなと思ったりしている。


とりいさんが関わっていて登場する本2冊は
こちら。写真も綺麗だしわかりやすく説明が書かれていてどっちもお気に入り。↓↓

熊野古道の旅の話は#春の紀州熊野古道旅 でまとめています。


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